耳鼻科と気象病

最近気象病というものに興味を持ち、いろいろネットやら文献で調べたりしているのですが、結構身近な問題なのでご紹介したいと思います。
ご存じの方もあると思うのですが、気象病というのは気圧、湿度、風、気温などなど、刻々と変化する気象状況によって引き起こされる様々な病気のことです。よく言われているのが、前線が通過するとぜんそくが悪化するとか、寒いときには脳卒中や心筋梗塞がふえるというのもそうですし、冬になると気分がふさぐ「冬期うつ病」や、逆に春暖かくなると発症するうつなどもあります。インフルエンザやカゼなどの上気道感染症の流行には空気の乾燥が関係していますから、これらも気象病といえると思います。

さて私が気象病に興味を持ったのかといいますと、別名ストレス難聴といわれる急性低音障害型感音難聴という病気があるのですが、その発症に気象条件が関係しているじゃないかと疑ったからなのでした。低音障害型感音難聴で当院を受診する患者さんは年間で10例から20例、平均すれば月に1〜2例のペースということになりますが、何故か2,3日以内に2,3名続けて診ることがあるのです。
そこで、昨年末までの6年間のデータを調べてみたのが下のグラフです。12月から1月にかけての冬期間は少なくて、春と秋に多く発症している傾向がありますし、年によって多少のばらつきがありますが、毎年似たような傾向がみられたのです。
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文献的にも同じようなことを言っている人がいますし、急性低音障害型感音難聴と同じく「内リンパ水腫」が原因と考えられるメニエール病については、寒冷前線の通過と共に発症するという説もありまして、もしかしたら急性低音障害型感音難聴もまた、気象病なのではと推測したのでした。ところが推測だけなら誰でも出来るわけで、問題はその推測が正しいと証明できるかどうかなのです。
これが実はなかなか大変な話で、とりあえず現在やっているのが気象庁のサイトから6年分の山形市の気温、湿度、気圧などのデータをダウンロードして、それを急性低音障害型感音難聴の患者さんが発症した日に、何か特別な変化がなかったか調べています。気圧は低め、気温は急に上昇した日の発症は多いようなのですが、なかなか統計的に有意差が出ずに、このままではいわゆるネガティブデータになってしまいそうです。

急性低音障害型感音難聴の発症には季節や気象の影響の関与は否定できないものの、それ以上に社会生活におけるストレスとか、本人の性格(几帳面さ)や生活習慣(睡眠不足、運動不足、水分の摂取不足)なども影響しているというのが現在のところの結論です。

何だかとりとめのない話になってしまいましたが、耳鼻科領域では、その他にも鼻出血なども気象と関係がありそうで興味深い分野なので、もう少し研究してみて何か分かりましたらまたこのブログでも紹介したいと思います。

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Commented by osha-p at 2010-03-03 09:33
おはようございます。
以前、チューブをしていたころは気圧に敏感で台風が近づいてくる時はめまいでした。
メニエットという治療法があるのですが、高気圧状態をつくってくれるのでいいかな?と思っていたのですが、なんせ8年も前、この治療はまだまだひろまってはいませんでした。
私はチューブしていた以外は気圧云々はないのですが、低気圧で調子悪い人は多いみたいですね。
Commented by jibikai at 2010-03-03 15:41
osha-pさん、こんにちは。
今回調べているのは、急性低音障害型感音難聴の聴力低下のきっかけが
何かということなのですが、気象の変化以外にも、高速エレベーターや
飛行機の高度変化など、気圧の変化が関わっていると思われる例が
何例かありました。
メニエール病のめまい発作にも気圧の変化が関係しているケースも、
きっとあるんじゃないかと推測しています。

ただ、それを科学的に証明するのはなかなか難しく、論文も限られている
のが現状です。ただし幸いネットから過去にさかのぼって気象データを
調べられるようになりましたし、エクセルなどを上手く利用すれば
大量のデータ処理も簡単にできるようになってきていますので、これからの
研究テーマとして、気象病というのは面白いんじゃないかと思っているのです。
Commented by 美辞ん堂ふゆう at 2010-03-07 16:44 x
こんにちは。

入院中、主治医の先生が「調子はどうかな? こんな天気だし、少し悪いかな?」と聞いてくれたことが、2度か3度はありました。
そのときは「気象と体調の変動」を関連付けるという考え方を知らなかったので「なぜ天気の話題が出てくるの?」と思っていました。

1,2年前になり「気象と関係がある」という考えもあるのだと知りました。

最近、私が雨の日にすることは「雲の上には太陽がある」ことを、イメージすることです。現実生活で、ストレスがあるのは「心の太陽に雲がかかっている状態」で、それでも「雲が晴れれば太陽はあるのだ」と、イメージすることで、少し強くなれるように思います。
Commented by jibikai at 2010-03-08 18:47
美辞ん堂ふゆうさん、こんばんは。
普通に暮らしている人でも、ある程度は気象の影響を受けることは
避けられないです。でも、恒常性といって自分の身体を良い状態に
順応させる能力が備わっているので、調子が悪くならずに済んでいる
のだと考えています。
ところが自律神経失調状態などで、こういった恒常性が保てなくなると
気象の影響なども受けやすくなるんじゃないかと思っています。
Commented by peanut-street at 2010-03-09 17:19
おひさしぶりです。
なるほど気象病ですか。
我が家に水位で気圧を知るおもちゃ?みたいのがあるのですが
微妙に頭痛や耳閉感などとも関係があるような気もします。

Commented by jibikai at 2010-03-09 17:25
peanut-streetさん、お久しぶりです!
耳鼻科に関係したところだと、やはり耳閉感、めまい、頭痛
などは気象との関連が疑われる症状です。
ただそれを証明するのはなかなか難しいようです。
Commented at 2010-03-09 19:22 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by jibikai at 2010-03-11 18:41
鍵コメさん、こちらこそよろしくお願いします。
Commented at 2010-03-20 06:42 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by jibikai at 2010-03-20 08:25
鍵コメ at 2010-03-20 06:42 さん、
“音響外傷”、“騒音性難聴”などで検索してみては?
by jibikai | 2010-03-01 14:31 | 耳鼻科全般 | Comments(10)

山形市の耳鼻咽喉科 あさひ町榊原耳鼻咽喉科  院長のブログ


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