耳鼻科医の診療日記
jibika.exblog.jp
  ↑ あさひ町榊原耳鼻咽喉科の公式サイト。是非こちらもご覧下さい。

あさひ町榊原耳鼻咽喉科  院長のブログ
お知らせ・連絡先
【重要!】
いわゆる医療相談につきましては、誤解を招く恐れ、また実際の治療の妨げになる懸念があるため、お受けしておりません。
例えコメント欄に個々の診断や治療方針についての質問を書き込まれましても、一切返答いたしませんので、ご了承ください。


【連絡先】
あさひ町
榊原耳鼻咽喉科医院
〒990-0024
山形市あさひ町7−25
院長  榊 原  昭


【あさひ町榊原耳鼻咽喉科医院のホームページ】
診療に関するご案内。
耳鼻科やアレルギー科の病気の情報などを提供しています。

【当院の携帯用サイト】
下のQRコードを読み込んでアクセスして下さい。↓↓↓


当ブログ、ホームページともリンクフリーです。

【お願い】
イラストや写真の
無断使用はご遠慮下さい。
記事が参考になったら、コメントをお寄せ下さい。

【ランキングに参加しています】
他の医学系ブログを見たい方は、下のリンクからどうぞ。
1日1回のクリックで耳鼻科医ブログに投票できます!
応援よろしく!!


【リンク】

My Blogs

小児の耳鼻科疾患



アレルギー疾患の解説


愛用品の紹介や雑談系。病気の話以外のブログ。

【その他の外部リンク】

初めての補聴器選びからトラブルや疑問にお答えします。時々趣味の話も。


あいち補聴器センターブログ すべては聞こえのために

めまい診療

診療所院長の独り言

パニック障害 入門

新型インフルエンザ対策関連情報-Yahoo!ヘルスケア-
フォロー中のブログ
カテゴリ
タグ
以前の記事
ライフログ
検索
ブログパーツ
外部リンク
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
耳鳴の原因と治療
以前も耳鳴について記事を書いていますが、大分時間も経過しましたしましたので、改めて記事にしてみます。

耳鳴の分類

耳鳴はタイプ、発生部位、原因となった疾患などにより、色々に分類されます。


自覚的耳鳴と他覚的耳鳴

自分にしか聞こえない耳鳴が自覚的耳鳴で、他人にも聞くことの出来る耳鳴が他覚的耳鳴です。他覚的耳鳴は稀で、ほとんどが、自覚的耳鳴です。そのため、耳鳴のつらさがなかなか他人に伝わりにくいことが多いといえます。

発生部位による分類

中耳性、内耳性(もしくは蝸牛性)、中枢性等に分けられますが、一番多いのは内耳性と考えられます。

原因となる疾患

中耳疾患

急性・滲出性・慢性などの各種中耳炎、耳硬化症、耳小骨離断、耳管機能不全など。

内耳(蝸牛)疾患

突発性難聴、メニエール病、低音障害型感音難聴、老人性難聴、急性音響外傷、騒音性難聴など。

脳(中枢神経)の疾患

聴神経腫瘍、神経の変性疾患や血管疾患、心因性難聴、鬱病などの精神病など。

脳や聴器以外の疾患

高血圧、動脈硬化、頭蓋内や頸部の血管の走行異常、耳の周囲の筋肉の痙攣など。

耳鳴のおこる仕組み

耳鳴の起こる仕組みを理解するため、耳から脳へ、音の信号がどのように伝わっていくかを考えてみましょう。

e0084756_15341023.gif

1: まず、音というのは空気の振動なのですが、その振動が外耳道を通り、鼓膜にぶつかります。

2: 鼓膜が振動して、3つある耳小骨に順繰り振動が伝わっていきます。
(ここまでが伝音系といい、主に中耳の働きです。)

3: 耳小骨の振動を受けて、内耳では音の振動のエネルギーを、電気的エネルギーである神経の活動電位に変換します。

4: 内耳で起こった活動電位は、蝸牛神経を通って、脳幹という脳の基本的な仕事をする場所へと入ります。脳幹では、音の周波数を解析したりしていると考えられています。

5: さらに音による神経の活動電位は、大脳皮質へと伝えられていきます。大脳では、より高次な音の分析、例えば言葉の理解や、安全な音なのか危険な音なのかなどの判断が行われます。

以上が、聴覚伝導路といわれる、音の信号が耳から脳に入り、理解や判断されるまでの仕組みです。

耳鳴の大部分を占める自覚的耳鳴は、通常は音があるところで起こるべき活動電位が、音のないところでも起こってしまい、耳鳴として大脳で認識されて生じます。

聴覚伝導路のどこで耳鳴の元となる活動電位の発生源は、内耳や蝸牛神経が多いと思われます。

また、普段は周りの生活雑音などにかき消されて自覚していない耳鳴が、難聴によって周囲の音が聞こえなくなる分、顕著化してくるようなものもあると考えられています。

耳鳴は、聴覚伝導路いずれかで発生するのですが、これを認識するのは大脳の役割です。

e0084756_15405430.gif

特に大脳辺縁系という部分の働きが最近注目されています。大脳辺縁系というのは、いわゆる旧い脳といわれる部分で、緻密な思考というよりは、心地良いか不快であるかの判断といった風な、原始的な感覚を司っている部分で、自律神経と連携して働いています。

自律神経は内臓の働きをコントロールしていますから、音が不快だと感じた場合に、自律神経の命令で心臓がドキドキしたり、胃腸の具合が悪くなったりすることも起こりえるのです。

同じことは、耳鳴でも起こると考えられます。最初に内耳で発生した耳鳴を大脳辺縁系が不快な音として認識した場合、自律神経が刺激されて、内臓の調子が悪くなり吐き気がしたり、脈が変動したりすることもあるのです。そして、この経験が再び大脳にフィードバックされ、耳鳴があるために非常に不快な経験をしたのだと思い込みます。そうすると、大脳は耳鳴りは危険なシグナルと認識するようになり、耳鳴りをより一層注意して聞くように習慣づけられます。そうすると、さらに耳鳴に敏感に反応してしまうようになるという悪循環に陥るのです。

一度悪循環に陥ってしまうと、いつもは聞き流せるような耳鳴も、気になって過剰に反応してしまうようになる、というのが耳鳴が頑固になってしまうメカニズムです。

耳鳴の治療

 耳鳴の治療としては、急性期と慢性期とに分かれます。急性期、すなわち耳鳴が起こって間もない時期には、それと同時に急性の内耳障害が起こっていることが多いと思われます。具体的な病名としては、突発性難聴、低音障害型感音難聴、メニエール病、音響外傷などということになりますが、これらの疾患では、原因となっている疾患の治療をまずは行います。

一方、慢性の耳鳴や、いつからかはっきりしないもの、難聴も伴わない耳鳴の場合は、元々は内耳で起こった耳鳴が、脳における悪循環で、持続・増強していることが考えられますから、この悪循環を断ち切ることが大切です。そのためには、「耳鳴の起こっている原因を理知的に理解し、過度の心配を抱かないようにすること」、「耳鳴りに意識を傾けないように習慣化する」ことが有効です。いわば大脳で大きくしてしまった耳鳴りを、大脳の働きで小さくしてしまおうという治療法で、これが当院で行っているTRTです。

TRT とは?

TRTとはtinnitus retraining therapyの略です。直訳すれば、”耳鳴再訓練療法”ということになりましょか。再訓練というのは、耳鳴を過度に警戒して、耳鳴に集中してしまう癖を捨て去って、耳鳴を聞き流せるようにするように習慣づける、という意味です。


TRTの実際

顕微鏡や内視鏡を使った耳の診察、聴力検査、必要に応じて耳管機能検査やティンパノメトリィ、CTなどを行い、耳鳴の原因を診断します。その上で、耳鳴の起こっているメカニズムを説明します。耳鳴の正体を明らかにすることにより、過度の不安を抱かないようにして頂くのが狙いです。

さらには、音響療法を併用します。具体的には静かな環境を避けてもらうため、1日のうち数時間程度、音を流しておく治療です。音源としては、軽症の場合は、わざとチューニングをずらしたFMラジオの雑音、波の音のCD、難聴のある人であれば、補聴器を付けて環境音が聞こえる状態を作ることなどです。耳鳴に対する苦痛度が高い場合は、サウンドジェネレイターという補聴器と同じ形をした、雑音を流すための専用の機械が必要となります。

ただしサウンドジェネレイターを購入するまでもない、という方にはiPhoneやiPad、Androidで使えるアプリもありますので、これらのユーザの方にはお勧めです。

いずれにしても、音量は耳鳴が完全に消える程大きくなく、半分ぐらいになる程度が適当です。他の音により、やや圧縮された耳鳴を聞くことにより、大脳が耳鳴のある状態に慣れることを促すのが音響療法です。TRTは、病状についての説明と理解、そして音響療法の二つの柱から成る治療なのです。

================================================

ブログランキングに参加しています!
宜しければご協力を!
(アイコンをクリックするとランキングのページにジャンプします。
そしてなんと!耳鼻科医に10ポイントが!!貴方の1-Clickがこのブログを救います!)
================================================


by jibikai | 2014-08-12 15:45 | 耳のはなし | Comments(3)
Commented by 耳鳴りの原因 at 2014-09-15 12:23 x
鼓膜形成手術後に耳鳴りや耳閉感が発生することはありますか?
Commented at 2014-12-26 16:03 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by jibikai at 2014-12-29 23:27
鍵コメ at 2014-12-26 16:03さん、以前統計をとったときには、耳管開放症の方で耳鳴の症状のある方は18%程度でした。