膿栓の治療 〜扁桃凝固術〜

今日は扁桃に臭い塊がくっつく、膿栓症と、その治療法である扁桃凝固術の話です。

e0084756_22093433.jpg扁桃は口から咽に入る途中、口蓋垂(いわゆるノドチンコ)からつながる前口蓋弓とその後ろの後口蓋弓というヒダの間に、左右1個ずつあります。
桃の実の種のような形をしているので、扁桃というようです。
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扁桃には陰窩という窪みあり、実質内までつながっています。途中で枝分かれしているものもあり、そのため扁桃は、非常に表面積が広くなっています。しかも、上皮の直ぐ下にはリンパ濾胞という、免疫細胞の集合体がありますから、侵入してきた病原体を迎え撃つには合理的な形となっているといえます。e0084756_22115470.jpg






しかしながら、ここで出来た抗体やリンパ球が本来病原体に向けるべき攻撃能を、自分自身の組織に向けて発揮してしまったり、陰窩に病原体や白血球の死骸や剥離した上皮が貯まってしまったりという不都合も起こってしまいます。

陰窩に貯まったものは、黄白色の粘土のような見た目で、悪臭を放つ塊で、膿栓といわれます。膿栓は無症状である事が多いのですが、時に口の中に剥離して、指でつぶすとあまりの臭さにビックリしたりします。俗に、"臭い玉”というそうです。あまり気になる場合には、耳鼻科を受診してみて下さい。吸引して取ってもらえると思います。ただし、あまり目立つ膿栓がない時には、異常なしと言われるかも知れません。

e0084756_22105133.jpg従来より、頻回に扁桃が化膿して腫れてしまう場合や、扁桃が原因で高熱が度々出る場合、
病巣感染症といって扁桃で出来た免疫複合体が、腎臓、皮膚、関節など他の体の他の部分にまで悪さしてしまう場合には、扁桃摘出術(扁摘)といって扁桃を根こそぎ取ってしまう手術が行われています。

効果は確実ですが、2週間近くの入院が必要で、術後の痛みはほどほどあり、適応のある方は結構いらっしゃいますが、なかなか手術を勧めても受けられない方が、特に大人では多いです。

また、膿栓症のような比較的軽い扁桃病変の場合、扁桃摘出術はちょっとオーバースペックといいますか、そこまでしなくても、という感がしなくもありません。

そこで、当院においては、比較的軽い慢性扁桃炎や膿栓症の方には高周波による扁桃凝固術をすすめています。この術式はあまり一般的ではありませんが、局所麻酔の日帰り手術で、術後の食事制限などもあまりなく、術後の痛みや出血も少ないという利点があります。
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手術の実際ですが、表面麻酔、粘膜下への注射による麻酔の後に、陰窩へ金属の棒状の電極を差し込み、高周波という電流を10秒程度流して焼灼・凝固します。これを、目立った陰窩、それぞれに対して行います。

術後ですが、1日程度で扁桃からの分泌物で扁桃は白く覆われますが、腫れはそれほど強くなく、飲食も出来る程度です。
分泌物と術後の腫れは、数日で引きます。



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術後は扁桃のボリュームが縮小し、陰窩が浅くなります。
出血や術後の腫れは比較的少ないとはいえ、皆無ではありませんので、無理をせずに何回かに分けて手術をすることもあります。

この場合は、初回の手術から2〜3週程度は空けて、縮小の程度をみながらということになります。

1回で終わる扁摘より煩わしいという考えもありますが、症状などもみながら効果を調節できるのは扁桃凝固術の利点でもあります。
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扁摘と凝固術の特徴をまとめると以上の様になります。凝固術の方が効果も合併症もマイルドということが言えるかと思います。
当院を受診できる方は、どうぞご遠慮なくご相談下さい。

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Commented by みかん at 2015-08-31 18:18 x
初めまして。
私も膿栓による口臭に悩んでいるものですが 先生のおっしゃる扁桃凝固術を他の病院で どのように言ったらやっていただけるか知りたいです。
先生のところの病院は遠くていけそうにないので(東海地方)教えていただけるとありがたいです。
Commented by jibikai at 2015-09-12 08:53
みかんさん、ようこそ。扁桃凝固術ですが、海外では結構普及してきている手術ですが、国内でやっているところは少ないようです。日本語の文献も少ないため知らない耳鼻科医がほとんどです。
東京であれば笠井耳鼻咽喉科クリニック(検索すると直ぐ出ます)が経験豊富ですし、日帰り手術対応です。東海地方でやっているところは残念ながら存じ上げません。
Commented by Hisano at 2016-04-19 00:11 x
はじめまして。私も前から膿栓などに悩んでます。
自分からみて右側の扁桃腺だけ膿栓ができたり、
風邪の時なども痛むのは決まって右側の扁桃腺です。
よく分からないことは、風邪でもなく喉が痛いわけでもないのに突然右側の扁桃腺に違和感を感じて咳が止まらなくなる時があります。
やはり膿栓が原因なのでしょうか?
目で確認できない場所に膿栓ができている場合、放置しておくしかないのでしょうか。
突然襲われる咳に困っています。
私は花粉症でもあるので耳鼻咽喉科で薬を貰っているのですが、もう一度扁桃腺を見てもらった方が良いでしょうか?
Commented by jibikai at 2016-04-19 18:48
Hisanoさん、ようこそ。
膿栓は口の中にぽろりと落ちれば,自分でも分かりますが、口蓋弓というヒダの裏に隠れている場合や
舌の付け根に近い場所などでは、貯まっていても見えないと思います。耳鼻科では、扁桃に興味のある先生なら
その辺も診てくれると思います。
また、慢性的な咳の原因としては、鼻や喉のアレルギーのこともあるし、扁桃の慢性炎症のこともあるし、
胃酸の逆流などのこともあり、かかっている耳鼻科で先ずは相談してみることだと思います。
Commented by まりも at 2016-05-24 12:21 x
はじめまして。

私は今まで咽頭痛・倦怠感など数えきれない程の不定愁訴(慢性疲労症候群)で悩んでいました。
どこの耳鼻科に行っても問題なし、
扁桃は綺麗だから痛いはずがない、
心の問題と言われていましたが
ある病院で圧迫テストをしてもらい
膿栓がいっぱい出て凝固手術しました。

先生に一つ質問をさせて頂きたいのですが
凝固手術後、免疫システムが改善することにより、
風邪の症状が変わることもありますか?


慢性疲労症候群だったころは
風邪をひいても扁桃周囲炎と倦怠感があるだけで微熱などの症状が無かったのですが
扁桃凝固し、上咽頭炎治療(Bスポット治療)を
したら風邪の症状が
悪寒・咽頭痛・発熱・関節痛に変わりました。

術後あきらかな違いがあるので
これは狂った免疫システムが正常になったせいではないか?
と勝手に考えているのですが
どう思われますでしょうか?
Commented by jibikai at 2016-05-26 08:33
まりもさん、ようこそ! 免疫系は複雑で、扁桃やリンパ節など直接免疫に関係している臓器の他、自律神経なども関係していますし、感染した病原体の種類によっても症状は異なります。扁桃凝固やBスポット療法が、免疫系全体に及ぼす影響はもちろんあると考えますが、個々の症状に対してどのように影響しているか究明するのはなかなか困難だと思います。
Commented by まりも at 2016-05-26 16:01 x
どうもありがとうございました。
免疫といってもとても複雑なのですね。
術後間もないので
今後風邪をひかないように
気を付けながら
体調を良く観察してみます。

どうもありがとうございました!
Commented by もんち at 2016-12-20 12:11 x
私も何年も前から膿栓に悩んでおり、この記事をみて凝固術をして欲しいと思いました。新潟市在住ですが、県内でもできるのか、調べてもよく分かりませんでした。できるとしても大きな病院で、紹介状が必要かと思いました。山形市なら日帰りで行けますが、初診で伺ってその日に凝固術をしてもらうことは可能でしょうか。
Commented by jibikai at 2016-12-21 21:50
> もんちさん
遠方の方の場合、初診の際は診察して適応のあるなしについて判断し、適応のある場合は、術前検査(採血など)を行います。日程を決めて、後日に手術。手術後は、一泊、山形のホテルなどに泊まって頂き、翌日診察して問題なければ、帰宅可能となるという流れです。
ほとんど、合併症のない手術ですが、万が一、咽の腫れによる呼吸困難や、出血があると困りますので、このような取り決めにさせていただいております。
Commented by たいぴー at 2016-12-23 00:55 x
私は扁桃が大きいことによるいびきで悩んでいて、凝固術に興味をもちました。
先生のところに行きたいのですが、大阪住まいのためなかなか行けません(;_;)
そこで、質問なのですが、口蓋扁桃に対する凝固術を関西で行っているクリニック等知ってらっしゃいましたら、お教え頂けるとありがたいです。
よろしくお願いします。
Commented by jibikai at 2016-12-23 16:52
> たいぴーさん
残念ながら、関西で扁桃凝固術をやってらっしゃるところは存じません。
個人的には良い方法だと思っておりますし、研究会などでも紹介はしていますが、
やっているとことは少ないようです。
Commented at 2017-01-04 11:59 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by jibikai at 2017-01-05 13:19
> 鍵コメ at 2017/01/04 11:59さん、
口臭の原因は様々で、膿栓によるものはそれほどは多くないようです。
ただし、扁桃は入り組んだ構造をしており表面から見えないこともあります。
他に口臭の原因がある場合、扁桃凝固術の口臭に対する効果は期待出来ません。
尚、初診当日の手術は行っておりません。診察と術前検査のための1日、予め
来院していただく必要があります。また、術後も山形市内のホテルなどに宿泊していただき、
翌日診察を受けて頂く必要があります。
Commented at 2017-01-14 22:36 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by にゃんこりんりん at 2017-03-07 16:14 x
福島県から扁桃凝固術を受けに山形市へ行きました。初診は10日前。私の場合は扁桃が粘膜の裏側にあり、しかも小さいらしく先生には手間を取らせました。お蔭様で、術後すぐから大した痛みもなく、食事も取れています。まだ、処方された抗生物質を飲んでいる状態ですが、今後は歯や、口腔のケアをしっかりやって膿栓が出来にくくなった分口臭予防をするつもりです。本当に行ってよかったです。スタッフの皆様も優しくてフレンドリーで是非悩んでいる方には受診をお勧め致します。
Commented by あきやま at 2017-03-13 21:28 x
はじめまして。
2年前に蓄膿症にかかり後鼻漏が酷かったのですが、現在は完治したと言われました。
ですがずっと口の中が気持ち悪く、口臭がするのも改善されません。

ずっと蓄膿症が原因と思っていましたが、たまに扁桃腺がズキズキ痛むことがあり、白い塊や汁が出るので、もしかしたら扁桃腺が原因かと思い、近所の耳鼻科へ行ったのですが、全く腫れていないと言われて、うがいを勧められて終わりました。

改善されない酷い口臭に気持ちが落ち込んでいます。

もし扁桃腺が原因なら、手術はちょっと気が引けるのでラジオ波で治療していただきたいのですが、適応になりますでしょうか?
Commented by jibikai at 2017-03-15 08:24
> あきやまさん、ようこそ!
ズキズキした痛み、白い塊、口臭など、慢性的な扁桃炎がありそうな症状とは思います。
程度、扁桃の状態により凝固術の適応になる可能性はあると思います。
扁桃凝固術をやっているところは少ないようですが、近くにあれば相談するのが良さそうに思います。
Commented by あきやま at 2017-03-16 18:13 x
お忙しい中ご返信ありがとうございます。
当方山形県酒田市なので、近々受診させていただきたいと思います。

近隣の耳鼻科を何件回っても口臭や口内の気持ち悪さなどの原因がはっきりしなく解決にはなりませんでしたが、貴院のHPを見つけ少し希望が持てました。

ありがとうございます。
Commented by かな at 2017-07-01 21:37 x
神奈川県に住んでいます。大変参考になりました。ありがとうございます。2つ3つ気になったのですが、よろしいでしょうか。
①膿栓は臭い玉とも言われて、ものすごい悪臭だというのですが、身内(80歳)が下水のような口臭がすることあり、歯もきれいに磨いているのですが、膿栓ではないか、と思いました。糖尿病なので免疫力が弱く、膿栓が溜まりやすくなったのではないか、と、私は推測しております。質問なのですが、この私の推測は見当違いでしょうか(当方は素人ゆえ、糖尿病だからといって、膿栓が溜まりやすくなるのかも、と思ってしまいましたが、見当違いかもしれないです)。
ちなみに、口蓋咽頭を覗いたところ、白いものが見つけた、ということは今のところありません。今度、覗いてみるべきかもしれませんが、覗いたところ、何も見えなかったからといって、膿栓がないとは言えないわけで悩みます。なお、本人は後鼻漏に悩んでおります。
ただ、高齢かつ糖尿だと、メスを入れての口蓋扁桃切除の手術は無理だと思います。

②膿栓を治療してくれる病院を探し、たとえば高周波で焼いてもらうのが一番よいかも、と思っております。
そこで質問なのですが、高周波で陰窩を塞ぐのは、高齢でも負担が少ないでしょうか。また、高周波で、扁桃を焼切るというのもあるみたいな記事も見つけたことがあるのですが、どんなものでしょうか。

③実は、私は、睡眠時無呼吸症候群の疑いを指摘されています(最近)。それで、ネットなどで、口の図を見て、また、写真を見て、口蓋扁桃の大きさに驚きました。上咽頭にとって、空気のとおりの妨げになりやすいのでは、と思ってしまいました。そこで、質問なのですが、扁桃が大きかったりすると、上気道の空気の通りにとって妨げになったりするでしょうか。
  (私の思いですが、口蓋扁桃を切除すれば、
   将来の膿栓の可能性をほぼ防ぎ、かつ、
   睡眠時無呼吸症候群の緩和にも役立つ可能性もある、という風に思い始めています。)

お忙しいところ恐縮です。人により、カラダの構造は少しずつ違うと思いますが、どうぞよろしくお願いします。
Commented by jibikai at 2017-07-02 22:28
かなさん、ようこそ!
ご質問の件ですが、
①口臭の原因は口腔内、全身的なもの、単なる気にしすぎなどなどいろいろあります。また、扁桃の形も個人差が大きく、見えやすい人、非常に見えにくい人もいます。糖尿病では病原体に対する抵抗力は弱くなりますが、糖尿病の程度、治療がきちんと行われているかどうかによっても、口臭に影響するリスクは異なってくると思います。
②扁桃凝固術には、陰窩を中心に高周波で凝固する方法と、高周波やレーザーでかなりの部分を減量する方法があります。大きく減量する方法の方が効果も高いですが、その分手術のリスクは増えます。陰窩を凝固する方法は高齢でも比較的安全に行えますが、これも糖尿病の程度が重ければ、ややリスクが増します。
③扁桃肥大は睡眠時無呼吸症候の原因となり得ます。扁桃が大きい場合、扁桃の手術で改善が期待出来ますが、効果は 昔ながらの扁桃摘出術>扁桃を大部分凝固>陰窩のみ凝固の順です。
Commented by tokyosaiko at 2017-07-04 23:59
 ご多忙のところ、ご教示有難うございます。お返事御礼が遅れてしまい申し訳ありません。私の家が山形県や秋田県ならば、お伺いしたいところですが、遠方にて、申し訳ありません。
 親の件ですが、本人は口臭の自覚はなく、身内が気が付いたという状況ゆえ、たぶん、膿栓なのだろうと、これは私の推測にすぎません。ただ、昔は、口臭はなかったので、年齢の為、また、糖尿の為、免疫力が低下したのだろう、と推測した次第です。ご指摘を踏まえて思いますに、まず、糖尿の治療が第一優先と実感した次第です。膿栓の口臭の場合、自分自身で感じることもあるそうですが、私の親は自覚がありません。ただ、鼻腔の通りが極めて悪いようで(鼻水が前にはいかず、いつも後鼻漏)、おそらく、膿栓の匂いが鼻の嗅覚の部分に達することが稀なのだと思いました。とにかく、実家に戻った際に、口の中を観察するつもりです。

 他方、私は、昔から鼻中隔湾曲との指摘を受けていましたが放置していました。しかし、睡眠時無呼吸症候群らしいゆえ、鼻中隔湾曲症矯正の手術を受けようかと考えるようになりました。過去の経緯があり、鼻中隔湾曲しか眼中になく、扁桃肥大という可能性は思いも付きませんでした。しかし、今回、扁桃摘出も効果があるかもしれないと感じた次第です。摘出には咽頭扁桃と口蓋扁桃があるようですが、まずは、口蓋扁桃だと思っています。

 ちなみに、無呼吸症候群への外科的手術には、口蓋垂の切除を含む、口蓋の手術もあるようですが、これは気が進みませんでした。扁桃は成人すれば用済みという意見が多いですけれど、口蓋垂については失うことに未練があります。おかしな話かもしれませんが。
 
 どうも有難うございました。

 
by jibikai | 2015-01-26 00:35 | のどのはなし | Comments(21)

山形市の耳鼻咽喉科 あさひ町榊原耳鼻咽喉科  院長のブログ


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