風邪か花粉症か?

ある耳鼻科診察室にて。

医者:「今日は、初めてですね。どうなさいましたか。」
患者:「風邪です。」 (注1)
医者:「どんな症状か、具体的に教えてください。」
患者:「鼻が出て、詰まります。時々くしゃみも出ます。後、咽が、、、、、うん。そんなとこだな。」 (注2)
医者:「咽は痛いんですか。」
患者:「うん。そうそう。」
医者:「痛いって言うと、飲み込めないぐらい痛いんですか。」
患者:「いや〜、飲み込めねぇ、ってほどじゃないけど、ちょっとイガイガして、咳き込むみたいな感じだな。」 (注3)
医者:「じゃ、それほど強い痛みじゃないんですね。」
患者「うん。痛くは無いんだけど、ちょっとイガイガするんだ。」
医者:(さっきは痛いって言ってたじゃないかよ。) 「鼻はネバネバのが出るんですか。それとも、サラサラした水っぱなですか。」
患者:「う〜ん。つつ〜っと垂れてくる感じだな。」(注4)
医者:「それで、いつ頃から具合悪くなりましたか。」
患者:「う〜ん。1ヶ月ぐらいなっかな。」(注5)
医者「こんな風に、鼻水が続いたりすることって、時々ありますか。」
患者「そう言えば、季節の変わり目はよく風邪引くなぁ〜。」(注6)
医者「わかりました。じゃあ、鼻と咽をまず見てみましょう。」

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診察を終えて、
医者「これは風邪ではなくて、アレルギー性鼻炎みたいですね。今頃だと、特にスギ花粉症の可能性が高いです。」
患者「え〜〜〜。そんなのいままで、なったことないよ。花粉症だなんて言われたのも、今回が初めてだ。」(注7)

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いまだに、自分だけは絶対に花粉症にならないと、信じている人がいます。中高年の方に多いのですが、花粉症をはじめとしたアレルギー疾患になるのは、根性がないからだと信じてる方々です。若い方は、アレルギーですねというと比較的冷静に受け止めてくれますが、中高年の方の多くは「くしゃみ・鼻水・なはづまり があれば、”風邪”と信じて疑おうとしません。
スギ花粉症自体、こんなに有名になったのはせいぜい10年ちょっと前からのことなので、それ以前に大人になっていた人たちは、自分には無関係と思うのも無理もないことかも知れません。ただ、例え無症状でもスギ花粉に対する抗体を持っている人の割合はかなり多く、発症しているかしていないかだけの差ですので、だれでも花粉症になりうると考えておいた方がよいでしょう。だから、自分が花粉症じゃないからといって、花粉症の方の行動(マスク、めがね、花粉を払い落とすこと、天気が良くても窓を開けないこと。など)を、「神経質」なんて思っちゃいけないんですよ。明日は我が身かも知れません。

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注1:風邪らしき症状であってもいろんな病気が考えられますので、医者に行くのであれば、自分で”風邪”と診断を下さずに、ありのまま症状を言ってもらった方が助かります。

注2:「咽が、、、、、」だけでは、どうしたのかわかりません。自分だけわかって、述語をつけてくれない人って実は多いのです。

注3:患者さんの言う「痛い」っていうのは、実にいろんな意味が含まれます。要は「調子悪い」ことをすべて「痛い」で表現する場合がありあますので、真意をくみ取るのは難しいです。

注4:風邪では最初は水っぱなですが、その後黄色くなって、ネバネバになって、だんだん良くなってきます。

注5:風邪では、鼻の出る期間もせいぜい2週間以内です。2週間以上症状が続けば、それは風邪ではありません。水っぱなだけが続く場合はアレルギー性鼻炎のことが多いですし、黄色いネバネバが長く続くなら、副鼻腔炎かも知れません。

注6:「季節の変わり目」というのも曖昧な表現で、”医者泣かせ”なんですが、だいたい春と秋のことが多いようです。ちょうど、花粉症を初めとしたアレルギー性鼻炎が起きやすい時期です。

注7:誰でも最初は、”初めて”言われる訳です。今までもアレルギー性鼻炎だったのに、気付かないだけだったのかも知れません。ちなみに、”風邪薬”に含まれる抗ヒスタミン剤は、アレルギー性鼻炎の鼻水も止めますから、それで良くなっていただけなのかも知れません。
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今回は久々のコント仕立て。
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e0084756_11384058.jpg花粉に負けるな!えいっ!!
Commented by かーこ at 2006-02-28 14:13 x
花粉症を認めない方・・・けっこういますねぇ。
家では、花粉症なのは、私1人ですので、窓を全開にしたりする嫌がらせが後を絶ちませんo(`ω´*)o
神経質とか言わないで、自分たちも明日はわが身だと思ってほしいものですねぇ。
関東は少ないと予報で入ってるものの、花粉が飛んでいて、
もう既に涙と鼻水がたれ始めました。゜(゚´Д`゚)゜。ウァァァン
Commented by jibikai at 2006-02-28 18:26
>かーこさん、ようこそ。私の周りは、患者さんはもちろんのこと、家族もほとんどスギ花粉症で、そうじゃない人の方が少ないぐらいです。一般の方にもだいぶ花粉症についての知識が広まってきましたが、まだまだ、根性論で考えている人も多いようです。
Commented by takeyan at 2006-03-04 16:25 x
>根性がない
私もそれに近い発想でした。ただ、今では明らかに花粉症なのですが。
一日中マスクをしていたいのですが、職業柄それもかなわずいます。(根性がないと思われそうですし。)
Commented by jibikai at 2006-03-04 17:17
>たけやん さん、やっぱり仕事中はマスクはできないですよね。となると、外出時はできるだけマスク着用。特に昼下がりは、花粉が多く飛びますので、マスクを忘れないようにすることと、抗アレルギー薬を処方してもらって、飲むのが一番の選択と思いますが、、、、。
by jibikai | 2006-02-28 11:44 | 花粉症・アレルギー | Comments(4)

山形市の耳鼻咽喉科 あさひ町榊原耳鼻咽喉科  院長のブログ


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