医師不足?

今日のYahoo Japan! のニュースより。
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医師不足で産婦人科が休診中、名護に防衛医官を派遣へ

 政府は8日、産婦人科医がいないため2005年4月から休診している沖縄県名護市の県立北部病院産婦人科に防衛医官1人を派遣することを決めた。

 同市の要請を受けたもので、防衛医科大学校の教官を中心に人選し、4月中の派遣を目指す。米海兵隊普天間飛行場(宜野湾市)の移設問題で、国と名護市が基本合意に達したことを受け、移設への地元住民の理解を得る助けとしたい考えだ。

 沖縄本島の名護市から北の6市町村には、産婦人科は北部病院と名護市内の2診療所しかない。帝王切開や異常出産などに対応できる救急施設は北部病院だけだ。しかし、同病院で辞職などが続き、産婦人科医がいなくなってからは、救急患者は車で30分以上離れた県立中部病院などに搬送されている。

 こうしたケースは昨年4月から今年2月末までに79件あったが、搬送時間がかかるため、病院到着前に救急車内で出産した例もあった。

 沖縄県は全国の大学などに産婦人科医の派遣を求めていたが、応じる医師がいなかった。このため、名護市の島袋吉和市長が3月6日に額賀防衛長官と会談し、防衛医官の派遣を要請していた。

 派遣される防衛医官は自衛隊員であるため、那覇市の自衛隊那覇病院所属とし、勤務先を北部病院とすることで調整している。ただ、今回は1人しか派遣できないことから、交代勤務の医師が3〜4人必要となる、救急対応が可能な24時間診療は難しく、時間を限った診療となる見通しだ。
(読売新聞) - 4月9日11時58分更新
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 この記事に限らず、地方の公立病院のある特定の科の医師が、全員一気に退職するとか、徐々に辞め、補充しようにも希望者がなく、その結果、その科そのものが閉鎖されたというような話をよく聞きます。マスコミに取り上げられるのは、産婦人科、小児科、麻酔科が多いようですが、いずれも地域医療にとって不可欠であるということで、特に話題になっているのでしょう。
 それにしても、何故そんなことになっているのでしょうか。医師不足が問題になっている科に共通する特徴は、元々の医師数もそう多い科ではないこと、救急診療に関わらざる終えないこと、運が悪ければ訴えられる危険があることがあげられます。特に、昨今は救急医療に関わる事件で医師が不当逮捕、不当起訴された事例が増加し、救急に関わる限り、まるで地雷原を行くような危機感を覚えたことが、容易に想像できます。一方、病院としても救急はやればやるほど赤字になってしまうのは、今のシステムからして避けられず、よってそれに従事する医師にも、報酬面や条件面で報いることができなかったのです。
 これまでももちろん、報われない科というのは存在していましたが、何とかここまで破綻することなく維持出来たのは、実は医師の善意や責任感によるところが多いのです。このままでは今後、報われない科から、多くの医師が撤退するのは必至です。しかし、それは国民の利益にはならないのは明らかです。なんとか軌道修正が可能なうちに、国策として、救急に関わる診療報酬を改善するとか、医師にミスが無いにも関わらず患者が亡くなったり、後遺症が残ったりした場合に患者側に補償を行う、基金などの創設し、医師個人にはペナルティを課さないなどの、”改革”が必要なのではないでしょうか。

 某総理大臣に言わせると、医療改革とは単に診療報酬を削り、なおかつ患者の負担を増やし、国家の支出を減らすことのようですが、なんか違いますよね。少し費用がかかっても、国民が安心感を持つための医療改革もあっていいのではないでしょうか。

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Commented by たかし at 2006-04-12 13:22 x
お久しぶりです。こんにちは
本当にそうですね。国民が安心感を持てる医療の姿を描き、その姿に近づける為の施策を実施しないといけないですね。
既に苦しんでいる人、困っている人の為には早急な対応が必要と思います。辛いですものね。
今までの制度は十分その役目を果たし、精度発足時に求めた姿をかなり実現したのではないでしょうか。環境が大きく変わった今、国民的な議論のテーマのひとつとして取り上げたいですね。
年金などお金にまつわる経済も非常に大事ですがいつもそればかりでは貧しいですしね。
ライブドア関連のTV放送はNHKも何度も・何時間も放送しますが、本来国民にとって重要なことというのは面白み、緊急性が少ないのか扱いがマイナーなように思います。
多くのマスコミもそうでしょうが結構多くの方はNHKに放送内容は信じていますし。そうやってわれわれの認識が形成されるように思います。
外圧でもないと変わらないのが残念です。
Commented by jibikai at 2006-04-12 22:43
>良質の医療や、24時間体制で誰でも安心してかかれる医療は、どうしてもコストがかかります。私などは自分自身が将来病気をしたときのことも考えて、現状以上に医療は人的な面も、施設などのハード面でも充実していくべきと信じています。しかし、そう考えない人がいるのも事実です。本当は、医療に金を掛けるべきか、さらにコスト削減していくのか議論されるべきだと思うのですが、残念ながら、そうはなっていないようですね。
Commented by lily at 2006-04-14 10:05 x
近くの中央病院の小児科医師が1人になると思っていたら、結局その小児科は休診になるとお知らせが来ました。それまで、慢性疾患でその病院に通院しておられた障害児のお母さんが、困って相談にこられました。
うーん、ほんと、どうにかならないもんでしょうかね。
Commented by jibikai at 2006-04-14 16:39
>lilyさん、報道されているのは氷山の一角で、かなりあちこちで同じことが起きているようです。最近、若い医師の小児科、婦人科、外科系離れが、加速しているようですね。やはり早めに診療報酬の配分を是正するなどしていかないと、大変なことになるんじゃないかと危惧しております。
by jibikai | 2006-04-10 00:15 | Comments(4)

山形市の耳鼻咽喉科 あさひ町榊原耳鼻咽喉科  院長のブログ


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