イネ科雑草花粉症

ある耳鼻科医院にて。

患者「スギ花粉の時期が終わったっていうのに、また先週頃から調子が悪いんです。」

医者「どんな風に、調子が悪いんですか?」

患者「鼻水が出て、くしゃみも止まらなくなるときがあります。あと、目もかゆいです。」

医者「どうも、アレルギーの症状のようですね。毎年スギ花粉症では通ってもらっていましたけど、今頃の時期に悪くなったのは今回が初めてですか?」

患者「そういえば、去年もゴールデンウイーク頃にいったん良くなって、そのあとまた、少し鼻水がでていたような、、、、。」

医者「今回悪くなる前に、ずっと外にいたりしませんでしたか?」

患者「そういえば、週末に川原でバーベキューをして、それから悪くなった様な気がします。」

医者「なるほど。じゃあ、ちょっと鼻の中の様子を見てみましょう。」

ーーーーーー診察後ーーーーーーーーーーーーーーーー

医者「やはり、アレルギーで鼻の粘膜が腫れているようですね。さらさした水っぱなが多くて、その割に黄色い鼻汁はないので、カゼではないようですね。」

患者「え〜、カゼだとばかり思ってました。今だと何のアレルギーなんですか?」

医者「時期的にはちょうど、カモガヤを初めとしたイネ科の雑草が花粉を飛ばしている時期だし、前にやった血液検査でも、イネ科雑草に対する抗体が増えていたので、まずイネ科雑草花粉症と考えて間違いなさそうですよ。」

患者「え〜っ、今までスギ花粉症だけだったのに、、、、。」

医者「スギ花粉症のある人が、あとでイネ科花粉症になったりすることはよくあるんですよ。逆に最初イネ科だけで、あとでスギ花粉症になることもありますし。」
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医者(写真を見せながら)「川原にこんな草生えてませんでした?」
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「こんなのや、、、、」
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「こんな感じの、茎と葉っぱが細くて、、、」
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「麦みたいな穂を付けるやつ、見たことありません?」
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患者「川原にいっぱいあったような、、、、。そういえば家の隣の空き地もいっぱい生えていたかも知れません。」

医者「おそらく、それが原因でしょう。これらは、全部イネ科の雑草で、ほとんどが明治時代に牧草として欧米から輸入されたものが、土着したらしいです。日本古来のものじゃ無いんですよ。」

患者「迷惑な話ですね。」

医者「まあ、その当時は誰も花粉症なんて知らなかったわけですし、、、。」

患者「で、どうしたらいいですか?」

医者「まあ、出来るだけ川原には近づかないことにして、空き地の雑草は除草してもらうのがいいんですが、それは土地の持ち主に頼めればということで、、、。あと、スギと同じなのですが、晴れている日、風の強い日は洗濯物を外に干さない、窓を開けないなどの注意が必要です。

患者「え〜っ、こんなにいい季節なのに、窓も開けちゃいけないんですか?洗濯物だって外に干した方がきもちいいのに。」

医者(私のせいじゃあないので、そう言われても、、、、。)「気持ちはわかりますが、鼻をひどくしないためには、そのほうがいいです。あと、お薬を飲むことで大分楽にはなりますよ。」

患者「スギ花粉症の時期にも2ヶ月も飲んで、それでまた飲むんですか?そんなに長く続けても大丈夫なんですか。」

医者「元々、抗アレルギー薬って長く飲まなければならない事が多いので、大丈夫なように作ってありますから、心配ありませんよ。薬の成分が身体に蓄積されていって、あとで何か害を及ぼすような事もありませんから。」

患者「甜茶とか、コエンザイムQとか、漢方とか、シソの葉エキスとか、バラのエキスとか、海洋深層水とか、プラセンタとか、アガリスクとか、イソフラボンとかはどうなんでしょうか。」

医者「そういったやつは、効果と安全性がきちんと確かめられていないので、あまりお勧めはしません。     まあ、どうしても試したいのであれば、止めはしませんが、、、、、。」

患者「別に飲みたいってわけじゃないんですけど、ネットの掲示板や、ブログにいいって書いてありましたので。」

医者「まあ、ネット上の医療情報は、明らかに嘘ってわけじゃないんだけど、一方的な側面だけ取り上げて、誇張しているものが多いですよね。たとえば、そういった健康食品の体験談なんて、効いたっていう人しか書き込まないわけだし、アフェリエイトで儲けてるだけの人もいるかも知れない。でも、それを信じて大枚はたいて、それで良くならないくても、誰も責任をとってくれませんよ。」

患者「わかりました。でも、こんなに長々と話して、先生の所って暇なんですね。イネ科花粉症の患者さんて、そんなに多くないんですか?」

医者 (ギクッ!! 痛いところを、、、、。)「イネ科雑草花粉症ってホントはもっと多いはずなんだけど、内科で”かぜ”っていうことで、治療されていたり、薬局の薬ですましたりしていることが多いのかも知れません。鼻の状態も診ないで薬だけ出すのはどういうものかなって、いつも思っているんですが、、、、。」

患者「そうですね。よく診てもらって説明してもらった方が安心だし、お薬だって自分に合ったものを選んでもらえるし、やっぱり耳鼻科で診てもらってよかったです。」

医者「そう言ってもらえると、私もうれしいです。」


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Commented by pitanpi at 2006-05-27 19:06 x
花粉症の人、大変ですよね!私の友人は花粉の季節になるとティッシユダンボールのケースごと買っていますもの。私はまだ大丈夫みたいです。でも鼻先の空気の匂い(又は臭い?)が変わるとクシャミが連続して出てしまう時がありますけど・・・。私も小さい時は田舎に住んでいましたし、主人も田舎育ち。回りに杉の木なんか沢山あったから、大丈夫なのかと思っていたのですが(体が慣れてる?)山形にも花粉症の方は多いのですか?(けっして田舎と馬鹿にしているのではなく、東京とか横浜みたいによどんだ空気の中で、生活しているからアレルギーが起こるのかなと・・・)
表紙の写真変わりましたね。今度のお写真もとっても素敵です!
朝焼けですか夕焼けですか?月山かな?
Commented by osha-p at 2006-05-27 23:52
この方のようにNet情報をお医者さんに確認してみる方ばかりだと安心です。情報発信する側としては「自己責任で」と注意書きしているものの、リスクが大きくなるものであるほど気になってきます。
Commented by jibikai at 2006-05-28 20:09
>pitanpiさん、スギ花粉症はこちら東北地方よりも、関東から東海地方にかけての方が多いようですよ。今回話題にしたイネ科雑草花粉症は、東北の方が多いと思われます。また、北海道ではシラカンバ花粉症が多かったりと、地域によって少しずつ傾向が違っているようです。
スギ花粉症が大気汚染の影響で多くなるということは、以前からいわれています。また、スギ花粉の量自体も関東、東海の方が多いようです。
 それから、タイトルバックの写真は、夕焼けの写真にかえてみました。西蔵王高原のから、山形市と月山(右奥)を映してみました。今の時期、田んぼに水が入っているんで、それに夕日が反射してきれいなんですよ。
Commented by jibikai at 2006-05-28 20:16
>osha-pさん、ネット上を流れる、医療情報の問題についてのやり取りは、この前のosha-pさんのコメントをヒントに書かせていただきました。便利な面もありますが、民間療法の問題以外にも、本来は医者の処方箋が無いと、入手できない薬品が売られている例などもあり、危ない一面もあります。
Commented by pitanpi at 2006-05-28 23:25 x
今日TVのニュースで、黄砂アレルギーで花粉症や気管支喘息がひどくなってしまうとゆうのをやっていましたが 学会でもそうゆうお話ありましたか?何でもアレルギーの原因になるのですね。写真の雑草達は川原じゃなくても、アスファルトの割れ目なんかからでもたくましくボウボウ生えてるやつですよね シックハウスなんてのもあるし・・(-_-;)なんだかアレルギー物質に囲まれたって感じですね。むか~し昔はアレルギーなんて無かったでしょうねきっと

ここ横浜のMM21(みなとみらい)の夜景は見るたび ウワァきれい!と感激しますが、ただそれだけ。山に沈む夕日って心にすごく響く時ありますよね~
Commented by ばなな at 2006-05-29 08:51 x
花粉症:私も重症患者です。スギ花粉は5月の上旬頃に落ち着いたのですが、今度は松の花粉が屋根の上に小麦粉をまいたよう・・・(-_-;)
喉は痛いし、顔はかゆいし疲れます。

今度のお写真も素敵ですね。
昨日は、はるばる山形から同じ小耳症の方が遊びに来てくれました。
さくらんぼ、ラ・フランスは食べ飽きたって、うらやましいですね。
盗難事件もあるというのに
Commented by ばなな at 2006-05-29 11:56 x
いきなり同じ小耳症のお子さんが、遊びに来たって言われても困りますよね^^;我が子6歳は左耳小耳症、外耳道閉鎖症です。
1万人に一人の出生と聞きましたが、もっと多い確率で産まれているような気がします。
どうしてこんな疾患があるのでしょうねー。
でも小耳症であったがゆえに、HP等を通して素敵な出会いもあり
子供に感謝しています。
Commented by jibikai at 2006-05-29 18:24
ばななさん、コメントありがとうございます。
>いきなり同じ小耳症のお子さんが、、、、、
いえいえ、ばななさんには以前も当ブログにコメントをいただきましたよね。そのときリンク先の、ばななさんのHPはチェックしておきましたので、ご心配なく。同じような病気のお子さんを持つお父さん・お母さんに役に立ちそうな、HPだと思いました。
ところで、マツの花粉症っていうのも少数ながらありますね。その他、こちらではハンノキやコナラ花粉症なんて言うのもあります。
山形の写真は、タイトルバックと時々、単独の記事としてもアップしていきますので、よかったらまた遊びに来てください。
Commented by ばなな at 2006-05-30 08:14 x
えーー見て下さってのですね。URLを入れておきながらお恥ずかしいです(笑)
自分なりに調べた事なので、不適切な所もあると思いますが細々と
やっております。
聴力検査の内容も奥が深くてまだまだ勉強不足です。間違い等ありませんでしたでしょうか?ってここで添削のお願いしなくても(-_-;)

なかなかゆっくり旅行にも行けない、低刺激な主婦に先生の美しい
お写真が楽しみのひとつになりそうです。
ではポチッと
Commented by jibikai at 2006-05-30 23:16
>pitanpiさん、日本にやってくる黄砂は、近年増えているようですね。
直接アレルギーを起こす事は無くても、ディーゼルエンジンの粉塵と同じような形で、アレルギーを起こすのを補助して行くような物質である可能性は十分あると思います。困った事ですね。
MM21の高層ビル街の夜景は、海の遠い田舎に住むものとしては憧れです。港の雰囲気もいいですよね。
今日、調子に乗ってまた夕日をアップしましたが、最近天気が悪いので、ちょっと品切れです。また、新しい企画を検討中です。
by jibikai | 2006-05-27 08:45 | 花粉症・アレルギー | Comments(10)

山形市の耳鼻咽喉科 あさひ町榊原耳鼻咽喉科  院長のブログ


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