乳児の鼻づまり

 時々、赤ちゃんや小さい子供の鼻がつまって苦しそう、長く哺乳ができない、さらには仰向けに寝ると呼吸が止まる、というような症状を心配して、受診されるケースがあります。原因は、鼻炎、副鼻腔炎、アデノイド扁桃肥大などのケースが多いのですが、単独の原因と言うよりも、これらがいくつか合併していることも多いです。
 いずれにしても大事なのは、どの程度の鼻づまり、あるいは無呼吸なのかを調べることです。
軽い場合は様子を見たり、単に鼻炎の治療をすればいいのですが、重症では鼻づまりのために母乳やミルクが十分に飲めず、発育に悪影響を及ぼしますし、寝ると呼吸が止まるほどであれば、熟睡出来ないのみならず、突然死の危険性も指摘されています。
 では、鼻づまりや無呼吸の程度を調べるには、どうしたらいいのでしょう。もちろん、まずは耳鼻科を受診することです。耳鼻科では、まず鼻と咽をよくみます。必要があれば、ファイバースコープで鼻の奥を診ることもあります。それから、参考になるのは実際に呼吸がおかしくなった時の状況なのですが、これは家で保護者の方にビデオで撮影してもらったりすることもあります。また、夜間の酸素飽和度(血液中に取り込まれている酸素の濃さ)もまた重要な指標になります。これは、最近普及してきている、睡眠時無呼吸症候群の検査で使う携帯型のモニターで、比較的簡単に調べられます。この器械は医院から自宅に貸し出し、子供が寝たら足の親指などを挟むように、洗濯ばさみのようなプローブというものを親が付けるだけ。朝になったら器械を外して、医院に器械を返せば、本体内のメモリーカードに蓄えられたデータをコンピュータで解析して、鼻づまりや無呼吸によってどの程度、酸素が不足しているかが分かります。
 以上のような診察や検査の結果、重度の無呼吸がある場合は、手術が必要となるケースもあります。手術するとすれば、主には”アデノイド切除術”と”扁桃摘出術”ということになりますが、その際は全身麻酔での手術となりますし、手術や麻酔による合併症の危険性も全くないわけではありません。ということで、つい「様子を見ましょう。」の常套句で、親も医師も先延ばしにすることも少なくないのですが、実はそれではかえって生命に危険を及ぼすような重症のケースも意外と多いのです。

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Commented by peanut-street at 2006-12-16 19:18
知人のお子さんも、呼吸が止まり手術を受けましたが
命に係わることもあるなんて知りませんでした。
携帯型モニターは便利ですね。
Commented by jibikai at 2006-12-17 17:36
>peanut-streetさん、コメントありがとうございます。
意外と鼻づまりも侮れないんですよ。特に小さい子にとっては。
携帯型モニターは分かる情報は入院しての検査より少ないんですが、
まずは、最初にやってみる検査としては非常に有効です。
Commented by bel_ray at 2007-07-14 05:49 x
今まさに乳児の鼻詰まりと格闘中の母親です。2週間ほど睡眠不足です。
最初は耳鼻科に見せましたがあまりよくならないので心配になり小児科へ連れていきました。結局長引くものなのですね。
Commented by jibikai at 2007-07-16 22:52
>bel_rayさん、初めまして。また、コメントありがとうございます。
小さい子の鼻の孔や鼻腔は狭いので、ちょっとしたことで詰まりやすいですよね。たいていはミルクの飲みが悪くなければ、さほど心配のない程度の鼻づまりであることの方が多いのですが、やはり苦しそうにしていると、なんとかできないものかと思う気持ちは、わかります。

耳鼻科と小児科で迷う方も多いと思いますが、耳鼻科の有利な点は、鼻の中を覗けることと、鼻を吸引できることです。
by jibikai | 2006-12-15 00:02 | 鼻のはなし | Comments(4)

山形市の耳鼻咽喉科 あさひ町榊原耳鼻咽喉科  院長のブログ


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