耳鳴について考える 〜聴覚伝導路〜

耳鳴の起こる仕組みを理解するため、耳から脳へ、音の信号がどのように伝わっていくかを考えてみましょう。
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1: まず、音というのは空気の振動なのですが、その振動が外耳道を通り、鼓膜にぶつかります。

2: 鼓膜が振動して、3つある耳小骨に順繰り振動が伝わっていきます。
(ここまでが伝音系といい、主に中耳の働きです。)

3: 耳小骨の振動を受けて、内耳では音の振動のエネルギーを、電気的エネルギーである神経の活動電位に変換します。

4: 内耳で起こった活動電位は、蝸牛神経を通って、脳幹という脳の基本的な仕事をする場所へと入ります。脳幹では、音の周波数を解析したりしていると考えられています。

5: さらに音による神経の活動電位は、大脳皮質へと伝えられていきます。大脳では、より高次な音の分析、例えば言葉の理解や、安全な音なのか危険な音なのかなどの判断が行われます。

以上が、聴覚伝導路といわれる、音の信号が耳から脳に入り、理解や判断されるまでの仕組みです。

ところで、耳鳴に他覚的耳鳴と自覚的耳鳴に分けられることは以前お話ししましたが、大部分は自分にしか聞こえない自覚的耳鳴で、自覚的耳鳴はこれら聴覚伝導路のどこかで発生している活動電位と考えられます。通常は音があるところで起こるべき活動電位が、音のないところでも起こってしまい、耳鳴として大脳で認識されるわけです。

聴覚伝導路のどこで耳鳴の元となる活動電位が発生しているかは、おそらく原因となる疾患によっても違うのでしょうが、内耳や蝸牛神経が多いと思われます。細かくいえば、内耳の内有毛細胞や外有毛細胞の損傷や、蝸牛神経の圧迫などが考えられています。

また、普段は周りの生活雑音などにかき消されて自覚していない耳鳴が、難聴によって周囲の音が聞こえなくなる分、顕著化してくるようなものもあると考えられています。

耳鳴はあくまでも症状であり、背景には様々な疾患があります。それらの疾患を正しく診断して、耳鳴が聴覚伝導路のどこで起こっているのかを想定していくことが、重要です。

今回の話は、よほど聞こえや耳鳴の問題に興味のある方以外には、ちょっと難解な部分もあったかも知れません。ただし、耳鳴に悩む患者さんにとって、耳鳴がどうして起こるのかを理解するのは、実は耳鳴を克服する上で必要なことなことです。それは、耳鳴に対して不必要な不安を感じないようにするためなのですが、そういった目的もあり、聴覚伝導路と耳鳴の起こる仕組みについて記事にしてみました。
by jibikai | 2008-06-23 17:49 | 耳のはなし | Comments(0)

山形市の耳鼻咽喉科 あさひ町榊原耳鼻咽喉科  院長のブログ


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