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榊原耳鼻咽喉科医院
〒990-0024
山形市あさひ町7−25
院長  榊 原  昭


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カテゴリ:耳のはなし( 116 )
脱水にご注意!
耳がつまる感じ、耳閉感を引き起こす疾患として最近増えているのが、急性低音障害型感音難聴(いわゆるストレス難聴)と耳管開放症です。急性低音障害型感音難聴は内耳の疾患、耳管開放症は中耳の疾患であり別物ですが、共通する特徴があります。1つには30台前後の女性に多いことと、脱水が発症に関係している可能性があることです。

いずれの疾患も30台前後の女性に多い理由は不明ですが、脱水が影響している可能性は、急性低音障害型感音難聴では内リンパ水腫の形成に脱水が関係しているらしいこと、耳管開放症では耳管周囲の組織のボリュームが脱水により少なくなる、つまりは張りを失うことにより症状が強く出やすいというメカニズムが考えられます。

もちろん耳を守るのみならず、熱中症予防のためにも、猛暑の続くこの時期は特に、早め早めの水分補給を心がけていきましょう。


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by jibikai | 2013-08-17 08:22 | 耳のはなし | Comments(0)
耳に何か入ってしまいました!
「子どもが耳に何か入れてしまった!」「耳に虫が入ってしまった!」など、耳の中に何か入ってしまった状態を外耳道異物といいます。
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外耳道とは、外耳孔すなわち耳の穴から鼓膜に至るまでのトンネル状の構造で、緩いS字状のカーブを描きます。外耳道は鼓膜で行き止まりになっていますので、何かしらの異物が入ったとしてもそれ以上奥へは行かず、幸い重い合併症を引き起こすことはないのですが、耳の閉塞感や異物感、痛みなど様々な症状を起こします。

当院(あさひ町榊原耳鼻咽喉科医院)は山形県山形市の耳鼻科診療所です。開業して15年が経過して、受診された患者さんの数は約20,000名。平均的な耳鼻咽喉科クリニックといえるかと思います。その間、外耳道異物で初診された患者さんは、データベースで検索したところ、ちょうど100例あり、全患者数の約0.5%という割合です。今回は外耳道異物の傾向を探るため、100例の患者さんの性別、年齢別分布について、カルテが残っていた51例の患者さんについては異物の種類、症状についても検討してみました。
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男女比ですが、男性69%、女性31%と、男性に多い傾向にありました。
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性別年齢別分布を見ますと、小児と高齢者では性差があまり大きくなく、10代から50代で特に男性に多いことが分かります。
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症状ですが、異物が入ったという自覚があった方の割合は25%強と意外と低く、最も多いのが耳閉感や異物感といった耳の中の感覚の異常でした。その他には耳内の音、耳痛、難聴などがありました。耳閉感というのは「耳がつまった感じ」なのですが、同様の感覚を「耳に水が入った感じ」、「トンネルに入った様な感じ」、「高い山から降りてきた様な感じ」、「耳が圧迫された様な感じ」という方もあります。また耳閉感は滲出性中耳炎や耳管開放症急性低音障害型感音難聴などでも高頻度に見られる症状ですので、どの原因による耳閉感なのか鑑別することが重要となります。
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入っていた異物を分類しますと、毛髪が31%、次いで水滴が20%ですから、これらが半数以上を占めます。以下、昆虫、消しゴム、ビーズ、砂、綿(これは綿球や綿棒の先端などです)が、ほぼ同数見られました。その他には植物の種子、米粒やベビースターラーメンなどの食品も少数ありました。グラフには示しませんでしたが、年齢層によって入っている異物には傾向がありまして、小児では消しゴムやビーズなど、成人では毛髪と水滴や砂などが多く見られました。
また毛髪と砂や種子などは、いずれも男性に多く、そのため外耳道異物が男性に多く見られる原因となっていると思われました。毛髪が男性の外耳道異物の原因となり易いは、おそらく女性よりも短く切っている人が多いためと考えられます。砂や種子が多い理由としては、ライフスタイルとして、アウトドアで活動する機会が女性よりも多いためではないかと思われます。

最後に異物をいかに摘出するかについて、模型を使って説明したいと思います。
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通常、鉗子でつまんで引っ張り出すことを先ずは考えますが、このように球状の異物の場合には上手くつまめないことが多く、下手をするとさらに奥に押し込むことになります。
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その場合は、耳用小鉤という道具を使います。文字通り先端が鉤状になっているもので、これを異物と外耳道の隙間を通して異物の向こう側に引っかける様にして引きずり出します。耳様小鉤を差し込むスペースもない場合は、綿棒の柄の部分にアロンアルファゼリーを付けて異物に接着して引っ張り出すという、裏技もあります。

これからの時期、運悪く昆虫が耳に飛び込んでくることがあります。気をつけていただきたいのは、昆虫が耳に入った場合の対処です。それは暴れて外耳道や鼓膜を傷つける可能性があるためなのですが、俗に言われている懐中電灯などで照らすと光に誘われて出てくるというのは、真っ赤な嘘ですのでご注意を。昆虫が生きていて耳の中で暴れている場合にまず行うべきことは、サラダ油やオリーブオイルなどの食用油を耳に注ぐことです。これにより昆虫は窒息死します。先日女性の方がこの処置をしてから受診しましたが、見事に虫は死んでおり、外耳炎も起こすことなく事なきを得ました。冷静な対処だったと感心いたしました。

今回は外耳道異物について、当院のデータをご紹介するとともに、イメージをつかんでいただきたく、模型を使って説明してみました。何かしらのご参考になれば嬉しく思います。

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by jibikai | 2013-07-29 20:29 | 耳のはなし | Comments(2)
外傷性鼓膜穿孔〜当院のデータより〜
鼓膜は外耳道の突き当たりにあって、音のエネルギーを受け止めて耳小骨へ伝達したり、外耳と中耳を遮断することによって、中耳や内耳を保護する役割を担っています。
その大きさは平均で7.5 mm × 8.07 mmで、厚さはわずか0.06 mmです。

鼓膜は色々な原因で破れることがありますが、そのうちでも外力が働いて破れる、あるいは孔があいてしまった状態を外傷性鼓膜穿孔(がいしょうせいこまくせんこう)と言います。

外傷性鼓膜穿孔で、あさひ町榊原耳鼻咽喉科医院を初診された患者さん30例についてみてみますと、性別では男性20例に対して、女性10例で男性に多い傾向がありました。
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年齢別では10代から20代にかけて、多くなっています。この年代では特にスポーツ中の事故によるものが多く、それが頻度を高くしている要因と思われます。
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カルテが残っていて原因が確認できたのは、30例中14例です。内訳は、耳搔きが最も多くて5例、スポーツ中の他人や壁との接触が3例、平手打ちが2例、耳に指を突っ込んで抜いたところ圧がかかったのが2例、藪で木の枝が耳に入った例が1例、溶接で火花が飛んで耳に入ったのが1例でした。
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予後ですけれども、詳細が確認できたのが7例あり、自然治癒が5例、手術目的に大学病院紹介となった例が1例、当院にて鼓膜穿孔閉鎖術を行った例が1例ありました。

外傷性鼓膜穿孔は自然治癒が多いのですが、中には耳小骨離断や外リンパ漏を合併する例もあり、特に耳搔き外傷の場合は要注意です。

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by jibikai | 2013-07-20 17:04 | 耳のはなし | Comments(0)
耳管開放症
今回は耳管開放症についてお話ししたいと思います。
耳管とは鼓室と上咽頭をつなぐ管で、その役割は鼓室の気圧と大気圧の均衡を保つことや、鼓室内から不要な分泌物や病原体を上咽頭へと運び出してきれいな状態にすることなどにあります。耳管が働いているのを実感するのは、飛行機に乗ったときなど気圧が変動する時です。例えば着陸態勢に入って飛行機の高度が下がった時、耳がつまる感じになることがあります。これは、機内の気圧が上昇するために、鼓膜が外側から押されて凹んでしまい響きにくくなるために起こる現象です。その様なときには唾を飲み込むようにしたり、鼻をつまんで息を込めて、いわゆる耳抜きをすれば、つまる感じが取れてパッと聞こえが良くなります。これは耳管が開いて鼓室へと空気を送り込んで鼓膜の凹みを解消したことによります。
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このように、耳管は鼓膜の内側と外側との間に気圧の差が出来たときには開くようにできているのですが、開きっぱなしになってしまうのが耳管開放症です。症状は軽症ですと耳のつまる感じだけですが、ひどくなってきますと自分の声が大きく響く感じ(自声強聴)がしたり、呼吸の音が聞こえたりします。これらは、口の中から鼓室へとダイレクトに空気の行き来できる通路が空いてしまっているための症状です。
原因は体重の減少や脱水などが多いのですが、これは耳管を取り巻く軟部組織のボリュームが少なくなるためです。
かかりやすいのは若い方では特に女性、高齢者になりますと逆に男性が多いようです。
診断は、鼓膜所見、聴力検査やティンパノメトリーでも異常のないケースが多く、なかなかつかないこともありえます。
治療は、軽症では漢方薬を中心とした内服療法、生理食塩水の点鼻などがあります。自声強聴や呼吸音聴取などがある場合には、鼓膜のテーピング(鼓膜に特殊な絆創膏を貼って動きを制限する治療)が有効です。それで良くならない場合の治療法は、耳管を特殊なピンを使ってふさぐ治療(耳管ピン)などがあります。
耳管機能の不調による病気としては耳管が通りにくくなって起こる滲出性中耳炎などについては研究も進んで治療法も確立していますが、耳管開放症についてはまだそれほど研究が進んでいるとは言えませんので、かかる耳鼻科医によって診断や治療方針が若干異なるということはあるかも知れません。当院での治療法は漢方、生食の点鼻、鼓膜テーピングを症状に応じて行っています。耳管ピンは当院では施行できませんので、その場合は、施行可能な病院を紹介いたします。
耳管開放症は最近増加傾向にあります。とくに重い後遺症を残すとか、生命に関わる病気というわけではないのですが、不快感が強いために物事に集中できなくなったり、気分が塞いでしまったりすることもあります。もし、「耳がふさがる感じ」、「自分の声が大きく響く感じ」、「自分の呼吸の音が聞こえる」などでお悩みでしたら、是非耳鼻科で相談することをお勧めします。

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by jibikai | 2012-09-12 19:07 | 耳のはなし | Comments(27)
急性中耳炎の起こる仕組み
YouTubeに動画アップしました!

急性中耳炎の起こる仕組みについて、イラストとアニメーションを駆使して説明しています。

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by jibikai | 2012-08-28 13:44 | 耳のはなし | Comments(0)
新しい鼓膜穿孔閉鎖術-ASET-について
鼓膜に穴が開いてしまう病気としては、慢性中耳炎や鼓膜の外傷などがあります。自然に閉じる場合もあるのですが、鼓膜に穴が開いたままですと,ここから細菌が中耳へと侵入して耳だれが出やすくなったり、聞こえが悪くなったりします。
鼓膜の穴を閉じる方法として以前から行われていたのは、鼓室形成術や鼓膜形成術ですが、数週間の入院が必要であり、耳の周りの側頭骨を削ったり、鼓膜を張り直す材料として筋膜を採取したりしなければならず、必要性は分かっていても、なかなか気軽に受けるという性格のものではありませんでした。
また、数年前から耳内接着法という鼓膜形成術が普及してきました。この方法では、皮膚を切開するのは少しだけですみますし、入院期間も大幅に短縮あるいは日帰り手術も可能とあって、大分手術に対する敷居が低くなりました。
しかしながら手術であることには変わりなく、手術適応ありということで勧めても、皆が皆、希望するというものではありませんでした。
そして、耳内接着法よりもさらに簡便な方法として登場したのが、鼓膜穿孔閉鎖術です。これは鼓膜の再生を促すために、鼓膜穿孔の辺縁を機械的にあるいは化学的に少し傷を付けて、そこから細胞が伸びるように橋渡しをする材料を当てる方法です。外来で行え、患者さんへの負担が、肉体的にもコスト的にも非常に少ないというのが、何と言っても利点です。成功する確率は従来の方法に比べて低かったのですが、最近では改良が加えられて、成功する割合が増えてきました。

当院では、山形大学医学部耳鼻咽喉科・頭頚部外科教授の欠畑誠治先生が考案された自己血清とキチン膜を併用した自己血清点耳療法(autologous serum ear drops therapy: ASET) を行っています。
この治療法の実際を、簡単に説明します。
1.穿孔の辺縁に綿棒で硝酸銀を塗布します。
2.ベスキチンという、カニの甲羅から抽出した創傷被覆材を、穿孔の大きさよりも一回り大きめにカットして、穿孔を覆うように鼓膜の上に置きます。これが、細胞が伸びるための足場となります。
3.患者さん本人の血清と、抗菌剤を混合したものを点耳します。血清には増殖因子が含まれており、穿孔辺縁から細胞が伸びる時の栄養源となります。
4.自宅でも、1日3~4回点耳を行っていただきます。
5.1週間後に再診していただき、ベスキチンがずれていないか確認します。ずれていたら一旦外して、もう一度1~3を行います。
6.これを繰り返すことにより、穿孔が縮小、やがては閉じます。

欠畑先生によれば、この方法での穿孔閉鎖率は69%-82% と高いとのことです。しかも簡便かつ安全な方法なので、今後広く普及してくるものと思われます。
当院では、まだ始めたばかりですが2例中1例は1ヶ月程度で完全に穿孔が閉鎖。もう一例は比較的大きめの穿孔でしたが、半分程度に縮小してきています。まだまだ症例は少ないのですが、非常に期待の持てる方法という印象を持っており、今後も続けていきたいと思います。
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by jibikai | 2012-07-08 00:23 | 耳のはなし | Comments(2)
鼓膜に穴が開いたら? 〜鼓膜穿孔について〜
鼓膜に穴が空いた状態を、鼓膜穿孔(こまくせんこう)と言いますが、大きく分けて二通りの原因で起こります。一つには中耳炎によるもの、もう一つは外傷によるものです。

中耳炎で鼓膜穿孔の起こる機序ですが、
1.カゼをひいた時に耳管を通じて鼻の奥から中耳へと炎症が広がります。
2.中耳に膿が貯まり始めます。
3.中耳腔が膿で満タンになると、行き場所を失った膿は鼓膜を破って外耳道へと流れ出します。これが、いわゆる”耳だれ”です。
4.中耳の炎症が治まり、膿も大部分流れ出した後には鼓膜の穴は自然に閉じますが、炎症を繰り返すとやがては閉じなくなってしまうのです。
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外傷による鼓膜穿孔で多いのは、耳搔きによるものと、平手打ちによって外耳道に風圧が加わって起こるものです。
耳搔きの場合は、耳搔きの途中でペットや子どもがぶつかって、鼓膜まで突いてしまうといくケースが多いです。この場合は鼓膜の穴だけで済めばいいほうですが、さらに奥にある耳小骨や蝸牛まで傷めてしまうこともあります。
平手打ちによる鼓膜穿孔というのも意外と多いのですが、幸いなことに比較的軽いケースが多いです。
いずれにしても外傷による鼓膜穿孔というのは、もともと健康であった中耳に起こるものですから、感染さえ起こさなければ自然に閉じるものが多いです。

鼓膜に穴が開いたままの場合の症状は、耳だれと難聴です。
通常、耳の穴から水が入ったとしても、鼓膜がバリアになって中耳にまでは水が浸入しないようになっているのですが、穿孔があればここを通って病原体を含んだ水が中耳へと到達してしまいます。中耳の粘膜というのは本来無菌状態であるべきところなので、ここに病原体が侵入することにより炎症を起こして、耳だれになってしまうのです。
また、鼓膜に穴が開いていると聞こえが悪くなるのですが、これは鼓膜に開いた穴により、音を受け止める面積が減少する分と、鼓膜から耳小骨、蝸牛の卵円窓という順序で伝わってきた音の振動と、穿孔をすり抜けて直接正円窓に到達した音の振動とが位相のズレから、蝸牛内で互いに打ち消し合う、”キャンセリング効果”というもので生じます。

鼓膜穿孔の治療ですが、中耳炎によるものでも、外傷によるものでも、耳だれがあればその治療を行いながら、まずは経過をみます。といいますのも、鼓膜には再生能力があり自然閉鎖することも多いので、これに期待するのです。

ただし、およそ2〜3ヶ月みても縮小傾向のない鼓膜穿孔は、何らかの方法で閉じる必要が出てきます。その実際ですが、以前には鼓膜形成術、あるいは鼓室形成術という手術が必要でしたが、最近では症例は選ぶものの、より簡便な手術や外来での処置で閉鎖する方法も考案されてきています。当院では、外来での鼓膜穿孔閉鎖術を行っていますが、これについては、また次回にご紹介したいと思います。


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by jibikai | 2012-07-06 12:17 | 耳のはなし | Comments(3)
急性低音障害型感音難聴とは?
内耳の障害が原因で急に聞こえが悪くなったり、耳がつまった感じになる病気です。原因は内リンパ水腫といわれていますが、ストレスや過労が引き金になって起こることが多いです。数日から数週で治る方が多いのですが、長引いたり、繰り返したりすることもあります。

発症のメカニズム

音は空気が振動することによって伝わり、耳の中では物理的なエネルギーとして最初は捉えられます。これを神経の興奮という電気的なエネルギーに変換するのが内耳の役割です。
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内耳は外側に骨迷路、その側には膜迷路という2重の構造になっています。骨迷路の中には外リンパ液が、膜迷路の中には内リンパ液が入っていて混じり合わない様になっています。
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急性低音障害型感音難聴では内リンパ液の量が過剰になると膜迷路が膨らんでしまったり、膜迷路に小さな穴があいたりして神経を興奮させるエネルギーを上手く作れなくなってしまうのです。
低い音だけ、聞こえが悪くなるのは、内耳の中でも低音を感じる頂回転付近が特に、内リンパ水腫の影響を受けやすい構造になっているからです。

発症しやすいのは?

当院のデータによりますと全体の7割が女性で、3割が男性でした。一般的にも女性に多いということが言われています。年齢層では30代から40代に多い傾向があります。季節的には春から秋にかけて多く、冬は少ない傾向があります。
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症状は?
耳がつまる感じが最も多く、次いで難聴、耳鳴り、自分の声が響く、聴覚過敏などがあります。片側だけのことも両耳のこともあります。軽いめまい感を伴うこともあります。

治療法
お薬による治療が中心となります。多くの場合、入院は必要ありませんが、難聴が高度である場合や、治療しているにもかかわらず、難聴が進行する場合には入院が必要になることもあります。
浸透圧利尿剤:イソバイド、メニレットゼリーなどがあります。内リンパ水腫の軽減に効果があります。
ビタミンB12製剤:メチコバール。内耳の代謝を助けます。
ATP製剤:アデホス。内耳のエネルギー源となります。
ステロイドホルモン:プレドニンなど。内耳の炎症を取り除いたり、過剰な免疫反応を抑えたりします。

日常注意することは?
ストレスをためないこと。
睡眠、休息を充分は充分にとりましょう。
少し汗ばむ程度の有酸素運動をするようにしましょう。
水分補給を忘れないようにしましょう。
(脱水は症状を悪くする可能性があります。)

予後
多くの場合、数日から数週間以内で治りますが、中には長引くタイプ、繰り返すタイプもあります。この疾患から、同じ内リンパ水腫が原因で起こるメニエール病に移行することもあります。
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by jibikai | 2012-03-01 08:41 | 耳のはなし | Comments(8)
音響性聴覚障害
耳についてよくある質問に、「携帯型音楽プレーヤー(iPodやケータイ、スマートフォンなども含む)で聞こえが悪くなることがありますか。」というものがあります。普段から音楽をイヤホンやヘッドホンで聴いている本人が心配していることもありますが、家族が心配して相談することもあります。そんなわけで、今回は音による聴覚障害の話。
一般に90 dB SPL以上の音を聴き続けると、難聴になる可能性があるといわれています。90 dB SPLというのは工事現場や地下鉄の車内の音の程度で、携帯型音楽プレーヤーの最大出力は充分それを超えます。通常の環境ではそうそうボリューム上げないと思いますが、騒音のある環境では、つい大音響にしてしまいがちになるので要注意です。
その他、音楽関係でいうとコンサート難聴とかディスコ難聴、あるいはロック難聴というのがあります。
これらを急性音響性外傷といいます。原因となる音の大きさの上限は130dB SPLでそれはジェット機の爆音のレベルです。急性音響性外傷では、音の大きさ、音を聞いた時間、個人差やその時の体調によっても、聴覚が障害される程度が変わってきます。したがって例えば同じコンサートを聴いていても、全員が難聴を発症するわけではありませんし、同じ人が以前は大丈夫であった音量で聞いたとしても、コンディションによって難聴を発症したり、何事もなかったりすることもあるわけです。

それよりも上のレベル、130 dB SPL以上の音を聞くとなると、これは耳元で銃が暴発するなどの事故のケースとなります。このレベルになりますと例え短時間の暴露であっても難聴が必発します。

以上が急に聞こえなくなるタイプの音響性聴覚障害ですが、慢性的に進行していくのは慢性騒音性(職業性)難聴があります。

音響性聴覚障害は急性のもので軽ければ比較的治りやすいのですが、難聴の重いケースや慢性的に進行したケースでは治りにくいため、予防が大切です。具体的には「音量の大きい音楽を長時間聴かない。」、「寝不足、飲酒した状態で大音響の音楽を聴かない。」「騒音下で仕事をする場合は耳栓を着用する。」などの注意が必要です。

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by jibikai | 2011-12-08 23:25 | 耳のはなし | Comments(4)
聴覚過敏とは?
聴覚過敏とは?
聴覚過敏とは、日常の環境音などが過度に大きく聞こえる症状で、不快感を伴います。

特に不快感を起こしやすい音の種類は?
すべての音に過敏に反応してしまうという方よりも、ある特定の音がうるさく聞こえるという方の方が多いです。特に多い音の種類としては、食器がぶつかる音、金属音、TVの音などが多いようです。

原因になる病気は?
耳の病気では、急性低音障害型感音難聴、突発性難聴、メニエール病などの内耳性難聴の一つの症状であることもありますし、明かな難聴を伴わない、原因不明のものもあります。耳以外の原因としては、抑うつ状態などがあります。

耳鳴りとの関連は?
耳鳴りも伴うことが多いといわれています。

リクルートメント現象(補充現象)との関連は?
内耳性難聴ではリクルートメント現象(補充現象)といって、音の大きさの変化に敏感になります。内耳の有毛細胞の障害で起こると考えられている現象です。これが聴覚過敏の原因と考えられるのが理にかなっていると、一見すると思われるのですが、必ずしもリクルートメント現象があれば聴覚過敏があるわけではないですし、逆に聴覚過敏があるとリクルートメント現象が必ずあるというわけでもないのです。
聴覚過敏は、内耳のみならず脳の働きも関係している可能性が高いと思われます。

治療は?
難聴を伴う聴覚過敏、特に急性低音障害型感音難聴やメニエール病、突発性難聴に対してはまずは原因疾患の治療を行います。ただし、聴力が改善した後、あるいは固定した状態で聴覚過敏だけが残る場合の治療は、まだ確立されたものがありません。耳鳴り同様、音響療法とカウンセリングが有効という医師もいます。
耳栓を使用される方も多いようですが、聴覚過敏に耳栓が有効かどうかの研究は、あまりないようです。耳栓にもある特定の周波数を抑えるものがあり、これが有効である可能性はあります。

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by jibikai | 2011-10-31 12:33 | 耳のはなし | Comments(7)