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カテゴリ:耳のはなし( 116 )
『めまいの話』 YouTubeにアップしました!


半規管の働きと、BPPVの起こるメカニズムや治療法を、スライドショーとCGアニメーションにしてみました!

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by jibikai | 2011-10-07 20:40 | 耳のはなし | Comments(2)
良性発作性頭位めまい症(BPPV)の理学療法
良性発作性頭位めまい症は、頭の位置や姿勢の変化に伴って、比較的短い時間の回転性めまいを起こす疾患です。

原因は三半規管の一時的なトラブルで、しかも後半規管の結石に原因があることが多いということが分かっています。

めまいでは一般的に薬物治療が行われるのですが、この良性発作性頭位めまい症(BPPVともいいます)では、薬を使わず結石を半規管から卵形嚢へ排出へと排出する理学療法が多くの耳鼻科で行われるようになりました。

今回はその原理についてご紹介したいと思います。

文章にするとなかなかややこしいので,今回もイラストを自作してみました。
左のイラストは全身を、右は耳介と後半規管の位置関係を表します。後半規管は側頭部の奥底にあって,もちろん見えないわけですが、実は耳介とおおよそ同じ角度になっていますから、一緒に表すと理解しやすいと思い重ねて描きました。なお、病変は右の後半規管だと仮定しています。左の場合は逆に動かすことになります。

治療はベッドの上,もしくは耳鼻科の診療用の椅子(リクライニング可能)で行います。なお,この治療は自分の家で出来ないこともないかも知れませんが、眼振の出方を確かめながら,耳鼻科で行うのが一般的です。

さて最初は座った状態から、
e0084756_2341196.jpg

顔を右に向けて,後に倒れます。この時結石が半規管の中を移動しますから,めまいが起こるのですが、徐々に治まってきます。

e0084756_23405671.jpg

そこから頭を後下に倒したまま、少しずつ、左を向いていきます。

e0084756_2340513.jpg

頭を後に倒すのは結石を重力により半規管内を下へ下へと導くため。

e0084756_23404781.jpg

e0084756_23404439.jpg



左を下にしたまま,上半身を起こします。
e0084756_23404024.jpg


最後に、頭部を前に下げて数十秒じっとしてもらいます。これで、結石はあっても影響の出ない卵形嚢へ排出と移動します。


e0084756_23401625.jpg


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この治療法は、最近10年間ぐらいで大分広まってきました。良性発作性頭位めまい症の方の半数以上には有効だし、1回の治療で治ることも多い画期的な治療法だと思います。

ただし、当然のことながら他のめまいには効きませんから、自分で行うのではなくて、耳鼻科で正確に診断してもらい引き続く治療してもらうのが良いと思います。



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by jibikai | 2011-09-26 01:00 | 耳のはなし | Comments(0)
良性発作性頭位めまい症(BPPV)
さて、今回は半規管のトラブルのめまいの代表的な疾患である、良性発作性頭位めまい症(BPPVということも多いです)についてお話ししたいと思います。

良性発作性頭位めまい症は、めまいの原因としては一番多いものです。特徴として、横になった時や寝返りを打った時など、頭の位置が変わった刺激によって起こり、比較的短時間でおさまる回転性のめまい(自分がぐるぐる回る感じ、あるいは周囲がぐるぐる回る感じ)であるということが言えます。しかも、繰り返しめまいの起こる姿勢になることを繰り返していくと,めまいは軽くなっていきます。
回転性のめまいの原因として有名なものにメニエール病がありますが、こちらは持続するめまいですし、難聴や耳鳴りを伴うという違いがあります。

めまいの原因というのはいろいろ検査しても分からないものあるのですが、良性発作性頭位めまい症でめまいの起こるメカニズムはかなり細かく分かっています。トラブルを起こす三半規管は前半規管や外側半規管のこともありますが、一番多いのは後半規管ですので、今回は典型的なパターンをイラストを使って説明したいと思います。

良性発作性頭位めまい症で最初に起こることは起こるのは、半規管内に結石ができる、あるいは卵形嚢の中にもともとある、耳石が迷いこむことです。
e0084756_071813.jpg

例えば座った状態から仰向けになったとしましょう。
頭が後に回転することに伴って、重力により耳石はコロコロと下へと転がり落ちます。
e0084756_9551151.jpg

このとき半規管内にあるリンパ液も一緒に動きます。リンパ液の動きはさらに感覚毛の上に乗っかっているクプラを引っ張りますから、センサーである感覚毛が揺さぶられてめまいが起こるのです。
e0084756_074878.jpg

良性発作性頭位めまい症の特徴として、頭の回転から一瞬のタイムラグを於いてめまいがすることがあるのですが、それが耳石が転がり落ちるまでの時間と理解されています。
また、横になってじっとしていると数秒から長くても数十秒でめまいがおさまるのも、耳石のポジションががおさまるところにおさまったものとして説明がつくのです。

今回の話、ちょっとややこしかったでしょうか?三半規管は立体的な動きを理解しないとわかりにくいので、イラストで少しでも分かり易く説明してみましたが,静止画だと制約もあるようです。

というわけで、さらにアニメーションも交えた良性発作性頭位めまい症の話を,現在 鋭意製作中です!
完成したらYouTubeに投稿しますので、興味のある方はもう少しお待ち下さい。


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by jibikai | 2011-09-23 01:31 | 耳のはなし | Comments(8)
半規管の微細構造

骨迷路と膜迷路
半規管は加速度センサー
から引き続いて、内耳、特に半規管の話です。


上は以前にアップしたイラスト、右の内耳を外側から見たものです。骨迷路の中にほとんど同じ形をした膜迷路が入っているのですが、後半規管と卵形嚢の膜迷路だけを取り出してみると、下の模式図のようになります。
e0084756_0241063.jpg
半規管は半弧の管状の構造をしていて、両端は卵形嚢につながっています。(正確には後半規管と前半規管は片方の端では、お互いに合流して卵形嚢につながるのですが、ここでは前半規管を省略しています。)片方の端は膨らんでいて膨大部といい、その中には膨大部稜という感覚神経が集まっている部分あります。感覚神経からは感覚毛という毛状の構造が伸びていて、先端はクプラというゲル状の物質に突き刺さっています。
e0084756_0472556.png
頭が後ろ向きに回転する場合、半規管内のリンパ液は頭の回転しようとする方向と反対向きに流れることになります(下図)。
e0084756_0475026.png
それによってクプラもまたリンパ液の流れる方向に引っ張られますから、感覚毛が動いて、それがきっかけとなり感覚神経が興奮します。
その興奮は脳へと伝わり、反射的に眼球を下向きに回転させます。つまり急に頭が後ろに回転しても、目は同じ場所を見続けることができるわけです。

以上が正常な半規管の働き、回転に対する加速度センサーとも言うべきものです。また、頭が急に動いても同じものを見続ける事が出来る仕組みは、デジタルカメラの手ぶれ補正にも似たものと言えると思います。

さて次回は、病的な半規管の働き、誤作動によってめまいが起こる病態についてお話ししたいと思います。

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by jibikai | 2011-09-05 01:04 | 耳のはなし | Comments(2)
三半規管は加速度センサー
さて、引き続き 内耳、特に三半規管についての話です。
e0084756_0395342.png

内耳というのは聴こえを担当する蝸牛と、平衡感覚を担当する三半規管や耳石器からなります。(詳しくは前回の記事をご参照ください。)
いずれも骨迷路と膜迷路の二重構造になっていて、それぞれリンパ液で満たされています。
半規管の中には膨大部稜という感覚細胞が集まっている部分がありまして、リンパ液の流れがあると神経が興奮するようにできています。頭が回転するときにリンパ液はそのまま同じ場所に留まろうとしますが、膨大部稜は回転する方向に動きます。その時に感覚細胞に電位が起こり、神経が興奮するという仕組みになっています。
半規管が3つあるのにも訳があって、全方向、どんな向きの回転に対して反応できるようにということなのです。

ちょっと短いですけど、今日はここまで。
今回は半規管の内部構造について、イラストを書いてお話してみました。次回は、三半規管の働きについてもう少し解説したいと思います。
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by jibikai | 2011-08-14 01:13 | 耳のはなし | Comments(0)
内耳の構造〜骨迷路と膜迷路〜
めまいの原因として一番多いのが良性発作性頭位めまい症という病気でして、
原因は半規管、特に後半規管へ耳石が入り込んでしまう病態が考えられています。

と、言葉で説明しても何のことだかさっぱり分からない、ややこしくて
かえってめまいがしそうという方がほとんどだと思います。

せめて、分かり易い図がないものかと探してみたのですが、それもなかなかなくて、
それならばと、イラストを描いてみることにします。
e0084756_16293276.gif

まず、これは骨迷路。(元の画はhttp://ja.wikipedia.org/wiki/ファイル:Gray921_ja.png)
右耳を外側から見ています。

e0084756_16293767.gif

そして、これが膜迷路を加えたイメージです。立体的な構造がわかるといいのですが。

さらに、三半規管の仕組みと働き、良性発作性頭位めまい症のおこる仕組み、Epley法で
耳石がどのようにいどうするのかなどなど、これから、徐々に説明していきたいと思っています。

しかし、何しろ一つのイラストを描くのにも時間がかかりますから、続編についてはしばらく
お待ち下さいませ。

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by jibikai | 2011-08-04 17:08 | 耳のはなし | Comments(0)
急性低音障害型感音難聴〜よくある質問とその答え〜
今回は急性低音障害型感音難聴、いわゆるストレス難聴に関する話題。このテーマはこれまでにも何度か取り上げて解説してきましたが、今回はQ&A形式にして解説してみたいと思います。

Q1:どのような症状がありますか?

耳閉感(耳のつまる感じ)が最も多く、耳鳴や難聴で気付くことも多いです。ふらつきを伴うこともあります。

Q2:急性低音障害型感音難聴以外に耳のつまる病気は?
外耳炎、耳垢、外耳道異物、耳管狭窄症、耳管開放症、滲出性中耳炎、メニエール病や聴神経腫瘍など、外耳、中耳、内耳といろいろな部位に起こる病気があります。そのほか、脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)や自律神経失調症、神経症、顎関節症など耳以外の疾患でも耳閉感が起こることがあります。

Q3:男性と女性、どちらに多いですか?なりやすい年代はありますか?
女性に多いのが特徴です。年齢では30台が最も多いです。女性の方がストレスを受けやすく、この年代が仕事、子育て、その他の家庭環境でストレスが多いために発症しやすいのではないかと考えられますが、はっきりした理由は分かっていません。

Q4:原因はなんですか?
ストレスや過労、睡眠不足になると発症しやすくなります。具体的には、職場での配置換え、転職、転居、受験、介護や育児疲れなどです。
急性低音障害型感音難聴は内耳のトラブルで起こります。急性低音障害型感音難聴では、内耳の中に入っている内リンパ液が多くなりすぎて、内リンパを入れている袋である内リンパ腔が水ぶくれの状態になってしまうのです。この状態を内リンパ水腫というのですが、内リンパ水腫になると内耳の中でも特に低音を担当する部分が障害を受けやすくなり、低音に限定した難聴が起こるのです。

Q5:メニエール病との違いは?
どちらも内リンパ水腫(内耳の中で音を伝えるために入っている微量のリンパ液が、多くなりすぎた状態)が原因と考えられており、初発症状のうち、難聴と耳閉感、耳鳴などは共通しています。また聴力検査の結果も同じパターンを示すことが多く、最初は区別がつきにくいこともあります。
最も異なるのは、めまいの有無です。めまい、特に回転性めまい(自分がぐるぐる廻る感じ、あるいは周りがぐるぐる回る感じ)が、難聴と耳鳴とほぼ同時に出現したらメニエール病の可能性が高くなります。ただし、メニエール病のなかでもめまいのないタイプがあり、蝸牛型メニエール病(現在はメニエール病非定型例(鍋牛型)といいます)との区別はつきません。ですから、ある病院では低音障害型感音難聴と言われたり、別の病院ではメニエール病と言われたりすることは充分にありえ、どちらかが間違いというわけでもないのです。

Q6:繰り返すことはありますか?
急性低音障害型感音難聴は、一度治ってから、数ヶ月後あるいは数年後に再発することがあります。また治療開始後数日間は良くなったり悪くなったり、症状が“変動”することもあります。

Q7:急性低音障害型感音難聴から、メニエール病になることはありますか?

急性低音障害型感音難聴で発症して、繰り返しているうちに中音域や高音域の聴力が低下したり、難聴が完全に回復しなくなったり、めまいも併発するようになった場合は、メニエール病の可能性が高くなります。そのような例は低音障害型感音難聴の数パーセント程度に見られますが、最初は急性低音障害型感音難聴だったものがメニエール病となったのか、あるいはもともとメニエール病だったのかは判断できません。
ただし短期間に何度も繰り返す例や、聴力が変動する例はメニエール病に移行する(あるいははじめからメニエール病であった)可能性が高くなります。

Q8:治療は?

薬物療法が主体となります。高浸透圧利尿剤であるイソバイドやメニレットゼリー、ビタミン剤、ステロイドホルモンなどが使われます。いずれも数日間程度内服していただくことが多いです。

Q9:急性低音障害型感音難聴になったら?
難聴の程度の割には耳閉感が強いことが多く、それがまた不安感やイライラを生むのですが、これがまたストレスとなり悪循環となりますと、長引きやすくなります。まずは、ほとんどの例が数日から数週間で治ること、内耳という限られた範囲でのトラブルであって、決して脳などの異常ではないことを理解していただくことが重要です。
ストレスを上手に解消すること、有酸素運動などはメニエール病と同様に有効だと思われます。

Q10:治りますか?
数日間から数週間程度で治ることが多いのですが、一部、治らないケースや、軽度の難聴の残るケースもあります。いったん治っても数週間、あるいは数ヶ月後に再発することはありますが、その場合難聴のタイプは同じく低音障害型であることがほとんどです。もしだんだんと水平型に近づく場合には、メニエール病の可能性も考えなくてはなりません。

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by jibikai | 2011-03-07 22:06 | 耳のはなし | Comments(13)
耳を診る
今回は耳の診察の最も基本となる耳の視診について、連続写真を使って説明したいと思います。
耳の中は外耳道というトンネル状の部分があって、その奥に鼓膜があります。鼓膜の向こう側は鼓室といって中耳の一部ですから、鼓膜の状態をつぶさに観察することによって中耳の状態もおおよそ判るというわけです。
ところが外耳道は狭い上に、への字型に屈曲しています。そこで①のように耳介を後上方に引っ張って、外耳道を真っ直ぐにする必要があります。
e0084756_18124283.jpg
外耳道を後上方に引っ張りつつ、耳鏡を外耳孔へ入れます。このとき耳鏡の先端が外耳道に当たると痛いので、極力当てない様注意しています。
e0084756_1813816.jpg
さらに耳鏡の先端を奥へと進め、耳鏡をのぞき込むと鼓膜が見えるというわけです。
e0084756_18132810.jpg

鼓膜は肉眼でも見えますが、より詳細な観察をしたり、処置をしたりする時には手術用顕微鏡を使います。

ちょっとマニアックでしたけれども、今回は耳の診察をどうしているかという話をしてみました。外耳道がへの字に曲がっているということ、耳介を後上方に持ち上げると奥まで見えやすいことなどを憶えておくと、お子様の耳垢を取ったりする時に役立つかなと思います。もちろんその時にも外耳道を傷つけると耳が痛くなりますから、やり過ぎは禁物ですが。
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by jibikai | 2011-01-11 18:29 | 耳のはなし | Comments(0)
ストレスと難聴
e0084756_836456.jpgここ数年、ストレスが原因で難聴を発症される方が多いように思います。典型的なのは急性低音障害型感音難聴やメニエール病ですが、診断基準を満たさない軽度の難聴や、耳閉感、耳鳴を訴える方にもストレスが背景にありそうな方は多いのです。もちろん、ストレスを受けたからといって必ず皆さん難聴になるわけではないので、元々のなりやすい素因や全身の状態なども関係しているとは思いますが。

さて、難聴の原因となりやすいストレスの種類ですが、仕事関係が一番多く、ついで人間関係、介護疲れなどが多いように思います。“思います。”としたのは、正確に統計をとったわけではなく、あくまでも印象だからです。

ストレスが急性低音障害型感音難聴の要因になっているかどうか、解析を試みたことはあります。この疾患は比較的発症した日がはっきりしていますから、発症時や発症前に何をしていたか、どういう状況であったかなどを詳細にみていけば何か分かるかも知れないと考えたからです。そういった意識をもって診察していきますと、仕事が立て込んでいたとか、多忙で寝不足が続いていたという状況で発症している方は多いことに気付きます。人間関係からのストレスも多いと推測しているのですが、こちらの方は患者さんも詳しくは言いたがらないことが多く、はっきりしないのが現状です。

そこで発症した日がどういう日だったのかを調べてみますと、曜日別では週末よりもウィークデイに多く、お正月やゴールデンウィーク、お盆休みの発症は少ない傾向にありました。これから言えることは、難聴の誘因となるストレスは、家庭よりも職場で受けている可能性が高いということです。

ただし、ストレスと難聴の関係はまだまだ分かっていないことも多く、今年も研究テーマの一つにしていきたいと思っています。

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by jibikai | 2011-01-09 09:08 | 耳のはなし | Comments(3)
語音聴力検査
さて、今回は語音聴力検査についてお話したいと思います。
聴覚検査としましては、純音聴力検査が最も重要でよく行われるのですが、語音聴力検査も情報量が多い重要な検査です。

語音聴力検査とは言葉の聞き取りやすさを調べる検査です。検査音には「ア」、「キ」などの“語音”を用います。純音聴力検査と同じ防音室で、オージオメータを使って行います。オージオメータには語音の録音されたテープレコーダやCDプレーヤが接続されていて、ヘッドホンから流れる語音を聞いてその通りに発音するか、紙に書いていただきます。そして、左右各々、音の大きさを変えながら正答率を調べます。もっとも大事な指標は最大語音明瞭度です。

音自体の聞こえの程度というのは、純音聴力検査で分かるわけですが、さらに語音聴力検査も追加して行う意義としては、「難聴の原因となっている障害部位の推定」、「純音聴力検査の結果の信頼性の確認」、「補聴器を付けた場合、効果があるかどうかの推定」などがあります。

以下、それぞれについて説明したいと思いす。

まず「難聴の原因となっている障害部位の推定」ですが、聴力正常な場合や伝音難聴では、ある程度音を大きくすると語音は100%近くまで間違わずに聞き取ることが出来ます。それに対して感音難聴では、いくら音を大きくしても最大語音明瞭度が上がらなくなります。聞き取りやすい音の大きさの範囲が狭くなって、それ以上音の大きさを大きくすると、むしろ言葉の聞き取りが悪くなってしまうのです。
また、ごくまれに見られる後迷路性難聴では、純音聴力検査の結果に対して語音の聞き取りが極端に悪くなります。これは、内耳までは正常でも脳の中の聴覚伝導路のどこかが障害されているために起こる現象です。

次に「純音聴力検査の結果の信頼性の確認」ですが、通常は純音聴力検査の閾値(ぎりぎり聞こえる音の大きさ)よりも40dB前後大きな音で最大語音明瞭度が得られます。ところが純音聴力検査が上手くできていない場合や、心因性難聴あるいは機能性難聴といわれる難聴の場合は、逆に語音聴力検査の結果の方が良好な結果を示すことがあります。ですから、明らかに会話可能なのにもかかわらず、純音聴力検査で高度な難聴を示す場合などには、さらに語音聴力検査も追加して行います。

最後の「補聴器を付けた場合、効果があるかどうかの推定」です。補聴器を装着する最も大きな目的は、人の話を聞き取ると言うことです。ですから、いくら音が大きく聞こえても語音の聴取がうまくいかなければ補聴器はあまり役に立たないと言うことになります。目安として最大語音明瞭度が50%以下ですと補聴器を付けても満足な結果が得られないことが多いようです。ですから語音聴力検査によって予めどの程度補聴器が役に立つのかということも判りますし、片側だけに補聴器を付ける場合にはどちらの耳に付けた方がいいかの指標ともなるのです。
また補聴器を付けてある程度慣れた頃に、補聴器の効果判定というのを補聴器販売店や耳鼻科の補聴器外来では行いますが、その際にも語音聴力検査は必須となるのです。

今回は語音聴力検査についてお話ししました。
聴補器選びに欠かせない語音明瞭度測定も参考にしてみて下さい。
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by jibikai | 2010-12-13 01:24 | 耳のはなし | Comments(7)