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カテゴリ:耳のはなし( 116 )
急性低音障害型感音難聴になりやすいのは?
急性低音障害型感音難聴とは急に発症する耳閉感(耳のつまる感じ)、難聴、耳鳴などを主症状とし、聴力検査では低音のみが障害されている感音難聴です。ストレスに伴うことが多いので、一般的にはストレス難聴と言われることもあります。もともとは突発性難聴の一つのタイプと考えられていましたが、比較的治りやすい、両側に起こることがある、反復することがある、メニエール病に移行する例があるなどの特徴があり、近年一つの独立した疾患として扱われるようになりました。

当院では6年間以上にわたり急性低音障害型感音難聴の調査を行っておりまして、今回紹介するデータもその中の一つです。
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グラフは2004年1月から2010年9月までの6年9ヶ月の間に発症し当院を受診した急性低音障害型感音難聴の例116例の性別、年齢別分布です。
まず、男性よりも女性に多いことがわかります。その差は約2倍ですが、この割合は他の病院などの調査でも同じことが言われています。
年齢は30歳台のいわゆる働き盛りにピークがあります。これも他の論文などに報告されているのと全く同様の傾向です。
男性よりも女性に多いこと、働き盛りの世代に多い理由としては、女性の方がストレスを受けやすいこと、30代前後は社会的にも家庭の中にもストレスが多いからなのではないかと推測されてはいますが、はっきりしたことはわかっていません。
事実、発症前に心理的なストレスや、過労状態、睡眠不足などがなかったか尋ねると、半数近くの方にそのようなエピソードがあるようです。
10台にも少ないながらも急性低音障害型感音難聴の発症はあるわけですが、この世代で多いのは受験のストレス、睡眠不足などがどうも要因となっていそうなケースです。ちょうどこれから受験シーズンを迎えます。あまり無理をしませんようにといっても、そうもいかないこともあるでしょう。せめて、10代でもいわゆるストレス難聴になることがあることを記憶にとどめていただければ幸いです。

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急性低音障害型感音難聴関連の記事はこちらから。
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メニエール病と低音障害型感音難聴
急性低音障害型感音難聴とは?
低音障害型感音難聴 〜診療シミュレーション〜
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by jibikai | 2010-12-09 22:39 | 耳のはなし | Comments(1)
補聴器と集音器の違いは?
補聴器専門サイトを立ち上げようかと画策中でありまして、そのなかにいわゆるFAQ 、「よくある質問とその答え」のコーナーを設けようかと思ってます。

その下準備も兼ねて、今日は補聴器と集音器の違いについて書いてみます。

補聴器は身体に装着して、難聴者が音を増幅して聞くこと を可能とする医療機器です。医療機器であるからには、効果や安全性については基準があって製品ごとに認定を受けなければ、製造販売が出来ません。また、製造業者や販売業者についてもある一定のレベルを満たすように届け出や認定を受ける義務があります。

いいかえれば、補聴器はこうしたハードルをクリアすることによって効果と安全性が保たれているということになります。一方、補聴器以外の音を増幅できるとうたった「集音器」、「助聴器」 等の名称の商品は医療機器ではありません。しかも難聴者を対象とした商品でもないのです。にもかかわらず、形状や機能が補聴器と酷似しており、難聴者が目的等を誤認して使用してしまう可能性がある、といいますか、誤解するような広告の仕方、販売の仕方をしている業者が多いのです。

補聴器の機能としては、単に音を大きくするだけではなく、個人個人によって異なる聞こえに合わせること(フィッティング)できる、過度に大きな音が出ないように制限がかかるようになっている、会話音を聞きやすくする、などあるのですが、集音器や助聴器といわれる機器はそういった基本性能が保証されていません。

こういった機器を使うことによって健康被害が出ることも問題ですし、補聴器と混同されるような形で売られていることも問題です。日本耳鼻咽喉科学会では厚生労働省、経済産業省下の各機関へ、集音器などについても一定の基準を設けること、難聴者が誤って使うことのないよう指導を徹底するよう要望を出しています。しかし残念ながら、事態はいまだ改善されておらず、ネットや通販では集音器などが補聴器と混同されるような形で、さらにひどい業者になると補聴器よりも優れた機器として売られているケースが見られます。

せめてこのブログの読者の方には良心的でない業者にだまされることのないよう、正しい知識を持っていただきたくて、この記事を書きました。補聴器専門サイトにつきましても、こつこつと作っておりますので、また応援よろしくです。

この記事は集音器と補聴器==========================

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by jibikai | 2010-12-01 23:38 | 耳のはなし | Comments(11)
鼻すすりは止めましょう
耳がつまる感じ、耳に膜が張ったような感じなど、耳閉感(じへいかん)という症状を訴える方は多いのですが、原因は様々。滲出性中耳炎や急性低音障害型感音難聴(いわゆるストレス難聴)が主なものですが、意外と知られていないのは、鼻すすりが耳閉感を引き起こしているということです。

鼻をよくすする方の鼓膜を見ますと、鼓膜が薄くなったり、張りがなくなる(弾力が低下している)ことがあります。また、鼻すすりにより鼓室の空気が上咽頭の方に引っ張られますので、鼓膜は凹んだ状態になってしまい、なかなか元に戻らなくなります。

鼓膜が薄くなったり、弾力を失ったり、凹んだりすると、音が鼓膜に当たってエネルギーを耳小骨に伝達しようにも効率が悪くなってしまい、その結果伝音難聴を生じて、耳がつまった感じになるのです。

ところで、鼻すすりってどういう時にするのでしょうか。一つ目は生理的、あるいは正常な鼻をすする場面ですけども、臭いを嗅ごうとする時です。
二つ目は鼻の奥にたまった鼻汁を除去、咽に吸い込んで飲み込もうとする時です。これはちょっと汚いですが、呼吸を楽にしようとすることなので、正常な行為とも云えます。しかし鼻汁には咽の炎症を引き起こす物質も含まれますので、鼻はすすらず飲み込まず、かんだ方がいいでしょう。
三つ目は癖になっている場合です。特に、耳管開放症では、耳管が開いていると自分の声が耳管を通じて耳に響いたり、呼吸音が聞こえたりして不愉快ですから、自分で耳管を閉じることを覚えてくるのです。鼻をすすることによって、鼓室の空気は咽頭の側に引っ張られて、鼓室は陰圧になります。そうすると耳管は、虚脱してぺちゃんこになりますから、ますます鼓室内の陰圧が取れななくなって容易には元に戻らなくなります。

さて、鼻すすりによって耳の不調のある方への治療ですけれども、まずは鼻すすりを止めて貰うことなんですが、これがなかなか厄介です。まず、自覚のない方がほとんど。いわれて初めて「ああ。」と気付いてくれるんですけれども、「鼻すすりは止めて下さいね。」と念を押しても、「わかりました。  ズズ〜。」っと直ぐ無意識にやってしまう方も多いのです。もちろん、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎など、慢性的に鼻づまりや鼻汁の症状を起こす病気があればそれを治療します。耳管開放症の方の場合は、まずは漢方の内服、それから生理食塩水の点鼻などが有効のこともあります。
原因が何にせよ、鼻づまりから生じた鼓膜の異常というのは、ひどくなりますと癒着性中耳炎や真珠腫性中耳炎など、なかなか厄介な中耳炎を引き起こしますから、鼓膜の凹みがひどければチュービングが必要になることもあります。

今回は無意識でついついやってしまう鼻づまりが、耳の不調の原因となることをお話ししてみました。

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by jibikai | 2010-09-28 17:34 | 耳のはなし | Comments(6)
アンチエイジングについて考えてみる(その7)
さて、しばらく耳のアンチエイジングをテーマにいろいろと考えてきましたが、ここまでのところをまとめてみます。
まず第一に加齢とともに難聴が起こる場合、その原因は内耳の障害が最も多いということ。内耳のどの部分が障害を受けるかにより、「感覚細胞型」、「蝸牛ニューロン障害型」、「血管条萎縮型」、「蝸牛伝音障害型」、「混合型」に分けられます。じゃあなぜ年をとるとこういった障害が起こるのかというと、活性酸素・フリーラジカルというものが外から入ってきたり、身体で作られたりして、細胞にダメージを与えた結果である部分が多いのです。

しかし、内耳にダメージを与える要因というのは何も活性酸素・フリーラジカルばかりではないようです。例えば騒音。急激に起こる強大な音による内耳障害は、音響外傷として、難聴や耳鳴として自覚されますけれども、それよりも低いレベルながらも恒常的に騒音に晒されますと、やはり蝸牛の感覚細胞、すなわち有毛細胞はダメージを受けます。これが積もり積もって、あまり自覚症状の強くない難聴を引き起こすわけです。その証拠に、例えば騒音のないと思われる未開の地に住む人は、文明社会に暮らす人に較べて聞こえがよいというデータもあります。
その他には、薬剤や化学物質、動脈硬化による血流の障害などもまた、内耳へジワジワとダメージを与えているものと思われます。

また前回もお話ししましたとおり、加齢による聴覚障害は、内耳の働きが悪くなるばかりではありません。後迷路障害(こうめいろしょうがい)といって脳の聴覚伝導路全体の機能低下も進んできます。脳では音を解析して言葉として意味づけ、理解をしていますので、後迷路障害では言葉の聞き取りが悪くなります。後迷路障害が起こる原因としても、活性酸素・フリーラジカルの関与もあるでしょうし、動脈硬化による脳循環不全なども関係しているでしょう。また、さらには最初に起こる内耳障害により、脳への音の入力が少なくなりますから、脳はその分仕事をさぼりがちになります。廃用性変化といいますが、要するに言葉の聞き取りと理解を出来るのにしなくなる状態です。

これで、加齢によって難聴が起こる仕組みがおおよそ理解できたかと思います。あとは、それをいかにして防いでいくのか、それがアンチエイジングです。

まずは活性酸素の発生を抑えることですが、聴覚への影響を実験的に確かめた研究というのはさほど多くないとのことです。

まず、カロリー制限。これはカロリー制限したマウスの方が、ABRという脳波を使った聴力検査では、高齢となっても聴力が落ちなかったとのこと。

それから、よく感音難聴で使われるビタミンB12ですが、これについては難聴者の場合は低い値を示したとのこと。(よって、補うことにより難聴の進行を抑える可能性がある)

それから、女性の場合は性ホルモンとの関連がいわれており、エストロゲンは聴力の低下を予防し、逆にプロゲスチンは難聴を進行させるといわれています。

もちろんここに書いたような聴力のアンチエイジング効果以外にも、寿命を延ばすという効果については、さらに色々な実験、研究が行われています。理論的には抗酸化剤が効果的なはずですが、残念ながら、現在のところ明らかに効果のある薬、あるいは食品などは見つかっていないのが現状です。

それにもかかわらずドラッグストアなどに行けば、いろんなサプリメントが売られてはいます。健康食品として売られているわけですが、買う方としては単なる栄養補給としてよりも、なにかしらのアンチエイジング効果を期待して購入するものも多いことでしょう。しかしながら、それらサプリメントが聞こえあるいは身体の老化に効果があるという保証は何もないということを憶えておくべきでしょう。

次に動脈硬化予防ですが、これはアンチエイジングに有効と思われます。食生活の見直しも当然必要ですが、運動も必要です。まずは有酸素運動。具体的には「少々きつい」と思う程度の運動を1週間で60分間行うのが有効だそうです。ただし、やり過ぎは禁物。過度の運動負荷は活性酸素を増やしますから、かえって老化を推進する結果となることもあります。

また、騒音を極力聞かない様にするということは重要です。もし騒音のある職場で働かざるを得ないのであれば、耳栓をすべきであるし、例え音楽であっても大音量でのコンサート、携帯型プレーヤーの長時間の使用などは避けるべきと考えます。

最後にもう一つ。加齢による難聴はおそらく内耳に最初に始まり、後迷路障害を起こすのはその後です。ですから、内耳障害が出てきて聞こえにくくなったら、補聴器を付けるのが、おそらくその後に起こってくる後迷路障害をある程度防ぐ効果があると思います。耳から出来るだけ情報を入れていって、脳の廃用性変化を防ぐという考え方です。中等度の難聴の方でも、補聴器を勧めても「俺にはまだ早い。」、「もうすこし様子を見てから。」という方があります。しかし、加齢による難聴であれば、徐々に進行して、いくら様子を見ても自然治癒は残念ながらあり得ないわけでして、そうであれば、いたずらに時間稼ぎすることなく、自分ではまだ要らないと思っていても、早めに補聴器を付ける方が良いケースも多いのです。
補聴器の着用ということは、一見治療を放棄して難聴であることを認めるということにも思われ、敬遠する方が多いのも心情的には理解できます。しかし、難聴によるコミュニケーション障害をそのまま放置することは、身体や脳の活動の機会を少なくします。そこで、そういった弊害を防ぐために補聴器を付けるということもまた、一つのアンチエイジングと考えてもいいと思うのです。

アンチエイジングというとなにやら夢の技術、という風に思われがちなのですが、残念ながらそれを実現する特効薬というようなものはありません。普段からのセルフケアと、一見後ろ向きに見える、補聴器着用ということも重要であるということを強調して、しばらく続けたアンチエイジングの項を終えたいと思います。

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by jibikai | 2010-09-03 18:18 | 耳のはなし | Comments(10)
アンチエイジングについて考えてみる(その6)
さて、加齢による難聴の話ですけれども、それを防ぐことは出来るのか、という話の前にもうひとつお話しすることがあります。それは後迷路性難聴(こうめいろせいなんちょう)について。

加齢による難聴というのは、単に内耳だけの問題ではなく、後迷路性難聴というものを合併してきます。それは脳の中の聴覚伝導路の働きが悪くなって起こります。
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脳内の聴覚伝導路ですが、音によって生じた情報は、まず内耳から蝸牛神経という神経が内耳道という管を通って頭の中に入っていきます。蝸牛神経は延髄にある蝸牛神経核へとつながっていきます。そこからさらに脳幹にあるいくつかの中継核を通って、最後は大脳へと情報が伝わっていくのです。脳の中では音を言葉として聞き分けたり、音の聞こえてくる方向を感知したり、雑音の中から目的とする音のみを聞き分けたりといった複雑なことをしています。
加齢による難聴の場合は、脳幹から大脳に至るまでほぼ一様のレベルで(つまり一部だけ極端に悪くなるわけでなくて)働きが低下します。

ということで、加齢による難聴では、「言葉の聞き取りが悪くなる。」、「音の方向感が悪くなる。」、「早口が理解できなくなる。」、「雑音の中で人の話が聞き取りにくい。」ということが同時進行的に起こってくるわけです。同じ感音難聴でも後迷路性難聴を合併した場合は、内耳性難聴ののみよりも、いろいろと不都合なことが起こってくると言えると思います。

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by jibikai | 2010-08-26 08:10 | 耳のはなし | Comments(2)
アンチエイジングについて考えてみる(その5)
さて、耳のアンチエイジングについて考えていますが、今回はなぜ、年を取ると聞こえなくなるのかということについて考えてみたいと思います。
聴覚というのは外耳、中耳、内耳、それから脳の働きに司られていますが、加齢によって聞こえが悪くなるというのは、一番には内耳の働きが悪くなることが大きく関係しています。

そこで、まずは内耳の働きについてちょっとおさらい。
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内耳の働きは、中耳から伝わってきた音の振動エネルギーを電気的な信号に変更することにあります。どのようにして機械的なエネルギーを電気的な信号に変換するのか、その秘密は内耳の構造にあります。
上の図のカタツムリのような格好の部分が蝸牛で、聴覚を担当する部分です。まず、ここに耳小骨から音の振動が伝わってきます。
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蝸牛の断面をみますと管になっておりまして、さらに外リンパの入っている鼓室階と前庭階、それから内リンパの入っている中央階とに分かれます。内リンパと外リンパは通常混じり合わないように仕切りされています。

e0084756_0521596.gif

中央階と鼓室階を分けているのが基底板で、その上にコルチ器が乗っかっています。コルチ器というのは基底板を伝わってきた音の振動のエネルギーを神経の興奮に変換する、いわば一つのユニットです。
このユニットを構成する中で一番重要なのは、内有毛細胞と外有毛細胞でしょう。ここで初めて、物理的な音のエネルギーが、電気的なエネルギーに変換されるからです。
次に求心性神経。発生した電気的なエネルギーを脳へと伝える役割を担っています。
それから、血管条。ここはいわば発電のための動力を作るところです。

さて、前々回のエントリーでお話ししましたとおり、内耳の加齢による変化は、細かく言うと
1)感覚細胞障害型
2)蝸牛ニューロン障害型
3)血管条萎縮型
4)蝸牛伝音障害型
とそれらの、混合型があります。
これらについて、蝸牛の構造と照らし合わせながら、もう少し詳しく見ていきたいと思います。

1)感覚細胞障害型というのは、内、外の有毛細胞の障害です。加齢による内耳障害では高音から聞こえが悪くなるのですが、実際蝸牛の中でも高音を担当する部分、すなわち渦巻きの外側よりの方の内外有毛細胞が消失していくのだそうです。これは6000〜8000Hzまでの部分の障害ですが、さらには騒音性難聴を合併してもう少し下の4000Hzまで障害されることも多いです。

2)蝸牛ニューロン障害型では、音が聞こえないという難聴よりも先に、言葉が聞き取りにくいという症状が起こってきます。これは、ニューロンの本数が少なくなることにより、脳内の聴覚伝導路もまた衰えるからだと考えられます。

3)血管条は、内リンパと外リンパの間でイオンの濃度に差が付くように働いています。このイオンの濃度差を利用して、特に外有毛細胞は音のエネルギーを増幅する仕事をしていますから、血管条がうまく働かなくなると、外有毛細胞の活動が低下して難聴になるのです。

4)蝸牛伝音障害型ですが、アブミ骨から外リンパへと伝わった音の振動が、うまく伝わらなくなることによるものです。具体的には基底板が振動しにくくなるためと考えられます。

5)混合型老人性難聴:上の1)から4)までの病態のいくつか、あるいはすべてが同時進行的に起こっているもの。実は加齢による内耳障害という場合は、コルチ器を構成するある一つのパーツのトラブルというよりも、複数の部位でのトラブル、すなわちこの混合型が最も多いと考えられます。

これらの内耳の変化がなぜ起こるのか、いまだに不明な点も多いのですが、加齢によるものの場合には、やはり活性酸素による細胞障害が大きく影響すると考えられます。
ということで、次回は活性酸素・フリーラジカルの産生を抑制すれば、加齢による内耳障害を防げるのか、ということについてお話ししたいと思います。

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by jibikai | 2010-08-12 18:19 | 耳のはなし | Comments(0)
アンチエイジングについて考えてみる(その4)
さて、ここからは耳、特に聴覚の老化とそれは防げるのかという話です。
まず、聴覚の老化現象といえば、老人性難聴という言葉を思い浮かべるのではないでしょうか。これは50歳代ぐらいから徐々に、特に2000 Hz以上の高音から聞こえにくくなるもので,高い音になればなるほど顕著です。聴力検査で測定する周波数の中では、一番高い8,000Hzがもっとも早く下がりますし、下がり初めてからの進行も早いです。さらに高い音、いわゆるモスキート音が聞こえなくなるのがもっと若くて30代ぐらいからですから、まったく自覚がなくてもその頃から既に聴覚の老化は始まっていると考えられます。

年齢とともに聞こえが悪くなる原因としては、内耳の加齢現象が最も強く影響しています。内耳以外では,脳の中の聴覚伝導路の老化が関係していて、外耳や中耳の影響は余りありません。

内耳の加齢による変化は、細かく言うと
1)感覚細胞障害型
2)蝸牛ニューロン障害型
3)血管条萎縮型
4)蝸牛伝音障害型

とそれらの、混合型があります。

それぞれの型の詳細については、また次回にお話ししたいと思います。

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by jibikai | 2010-07-24 00:51 | 耳のはなし | Comments(0)
アンチエイジングについて考えてみる(その3)
引き続きアンチエイジングについてです。少し基礎的な話が続いて退屈されている方も多い(汗)かとは思いますが、いづれ、聴覚の老化についての話に結びつけたいと思っていますので、もうしばらくおつきあい下さい。

さて、前回は活性酸素・フリーラジカルが細胞の壊死やアポトーシス(細胞の自殺)を引き起こすという話をしました。

活性酸素・フリーラジカルが増え続けるという状況は生体にとって不都合なわけですから、そうならないように活性酸素・フリーラジカルの量を制御する仕組みが備わっており、これを抗酸化ネットワークといいます。構成する抗酸化物質には、ビタミンC, ビタミンE, コエンザイムQ10, リポ酸, グルタチオンの5種があります。

活性酸素・フリーラジカルの量というのは、産生が多くなったり、消去系である抗酸化ネットワークの機能低下で増えすぎてしまうわけですが、こういった状態を酸化ストレスといい、これがエイジングを引きをこします。逆に、酸化ストレスを軽減することがすなわち、アンチエイジングであると言えるわけです。

具体的なアンチエイジングとしては、まずミトコンドリアから発生してくる活性酸素を可能な限り抑制することですが、そのためにはカロリー制限と、過度な運動を慎むことです。運動神話といいますか、運動はすればするほどいい、運動さえすれば食事もガンガン摂っていいっていうような考え方もあろうかと思いますが、身体を苛めすぎると筋肉が損傷をうけてそこで活性酸素が発生しますし、大きなエネルギーを産生するにはやはりミトコンドリアの働きが強まるわけですから、そこで活性酸素が発生します。ということで、少なくともアンチエイジングという立場からいえば、過度の運動や食べ過ぎは明らかに寿命を縮めたり健康を損なう原因になるということです。まあ、何事もほどほどにしておくことが肝心なんですね。

アンチエイジングを実現する方法としてもう一つ、抗酸化ネットワークの機能向上ということも当然考えられるわけです。実際、ビタミンC、E、コエンザイムQ10なんていいうのはサプリメントとしてよく名前を聞きますし、実際服用している方も多いことでしょう。ただし、こうした抗酸化薬が実際効いたかどうかを研究した結果では、いずれもが寿命を延ばした証拠がないどころか、ある種のサプリは内服していた群がしていない群よりも死亡リスクが高かったという研究結果もあるそうです。

ということで、細胞レベルでの活性酸素・フリーラジカルの増減ということから、アンチエイジングを考えた場合、有効なのは、「カロリーを摂りすぎない」、「運動はそこそこに」、「禁煙」、「化学物質(食品添加物や大気汚染)を避ける」、「紫外線に当たりすぎない」ということに集約されてくるんだと思います。

今日はここまで。活性酸素・フリーラジカルについて書いてみました。アンチエイジングの話、もうしばらく続きます。

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by jibikai | 2010-07-20 18:41 | 耳のはなし | Comments(2)
アンチエイジングについて考えてみる(その2)
さて、エイジングというものを考えるときに外せないキーワードとして、活性酸素・フリーラジカルというものがあります。活性酸素・フリーラジカルと並列で書くのがお約束になっています。必ずしも活性酸素=フリーラジカルというわけではないのですが、まあ重なる部分が多いと考えて良いでしょう。

それで、この活性酸素・フリーラジカルの発生源は生体内にもあるし、同時に外部環境にも存在します。生体内では細胞内のミトコンドリアがエネルギーを発生させる際に、活性酸素・フリーラジカルを産生します。ですから、生きて行くには体内でフリーラジカルの出来るのは避けられないことなのです。一方外部環境としては環境汚染、放射線、化学物質、紫外線、タバコなどがあります。外部要因の中ではタバコによる活性酸素・フリーラジカルの産生が最も多いといわれています。

活性酸素・フリーラジカルの生体内での振る舞いですが細胞膜にある不飽和脂肪酸を攻撃して過酸化脂質を作ります。これによって細胞の壊死やアポトーシス(いわば細胞の自殺)が起こってしまします。

今日はここまで。活性酸素・フリーラジカルについて書いてみました。この話、もうしばらく続きます。

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by jibikai | 2010-07-17 00:51 | 耳のはなし | Comments(2)
良性発作性頭位めまい症
前々回のエントリーでは緊急を要するめまいということで、いきなりめまいってやっぱり怖いんだなという印象を与えたかも知れません。確かに、めまいの原因が脳梗塞や脳出血であれば、命に関わることもあるし、後遺症を残すこともありますから、まずは念頭に置かなければいけない疾患だと思います。
しかし、めまいの中に占める割合としては脳梗塞や脳出血はそう多くはありません。最も多いのは良性発作性頭位めまい症といって、内耳の三半規管の一過性のトラブルによるものです。
良性発作性頭位めまい症は、突然起こる回転性めまい(自分がぐるぐる回る感じ、天井や周りの景色がぐるぐる回る感じ)が主症状であり、難聴や耳鳴は伴いません。めまいの起こり方は非常に特徴的であり、振り向いたり寝返りを打ったり、起き上がったりと、顔の向きを急に変えたることがきっかけで起きます。めまい発作は数秒程度と短く、めまいの起こる動きも何度か繰り返すことにより、めまいはだんだんと起きなくなります。半規管の内腔へ結石が迷入すると、顔の向きを変えたり頭を動かしたときに、半規管の中では本来起こるべき方向とは異なるリンパの動きが生じて、いわばセンサーの誤作動が生じるようになるのが原因。ただし、いずれ結石はリンパの動きに影響を与えない部分に移動するので、後遺症も残さずに治ります。
かつては鎮暈剤(ちんうんざい;めまい止め)などの薬物療法が主流でしたが、近年は頭部を少しずつ回転させることにより、結石を半規管から追い出そうとする理学的療法(Epley法など)が行われるようになってきています。
これは寝た状態で頭を少し下げて、まずはわざとめまいのする方向に頸を捻ってもらいます。徐々にめまいや眼振は無くなってきますから、少し頸は後ろにそらしたまま、正面、反対側へ頭を回転していきます。反対側を向いたら、そのまま上半身を起こして頭を下げた状態を少しの間保って、治療は終了です。
一応下に動画を紹介しておきますが、これは自分や家族がやるものではなく、耳鼻科でやってもらうべき治療法です。もちろん、良性発作性頭位めまい症以外には効きませんのでご注意を。


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by jibikai | 2010-06-29 11:08 | 耳のはなし | Comments(2)