耳鼻科医の診療日記
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榊原耳鼻咽喉科医院
〒990-0024
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寒くなってきました〜通年性アレルギーの方は要注意〜
こちら山形は、数日前から寒くなり急に秋が深まったようです。市内に所々残る田んぼの稲刈りも、もう済んでいるところの方が多くて、後は、冬支度をするのみという感じです。

さて、急に寒くなるこの時期は、風邪にも注意が必要ですし、通年性のアレルギー性鼻炎のある方は、特に悪くならない気を付けなければなりません。暖房機を使い始める時期はホコリが舞い上がるのか、特にくしゃみ、鼻水、鼻づまりや、咳がひどくなりがちです。

対処方としては、やはり掃除をまめにすることです。室内のわたぼこりはできるだけ水拭きで、舞い上げずにくっつけるように除去するのが良いようです。

秋の花粉症は、10月上旬までは要注意ですが、それ以降は落ち着くはずです。晴れた日には、布団を干したりするのもダニ対策としては有効です。
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それから、ペット(特に室内犬やネコ)の居場所もきれいにしてあげましょう。
ペットの毛やフケによるアレルギーも意外と多いものです。
by jibikai | 2008-09-30 16:47 | Comments(2)
頸の腫れ〜部位別に考えられる疾患〜
9月16日のエントリーでは、頸の腫れは、是非 耳鼻科にかかって下さいという話をしましたが、今回はそれに引き続き、頸の腫れにはどんな病気があるのかという話です。

頸というとさほど広くはない領域ですが、内部には色々な臓器がありますので、一言で頸の腫れ、あるいはしこりといっても、実に色々な疾患が想定されます。そこで今回は、腫れた部位別に、どんな疾患が考えられるかということを書いてみます。
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頸の絵を描いてみました。あまり上手くはないのでわかりにくいかも知れませんが、やや顎を上げた感じで、正面から見た図です。

まず、Aの領域ですが、ここは耳たぶの付け根の周囲で耳下部(じかぶ)と呼ばれます。ここには、耳下腺といって唾液を作る腺組織やリンパ節などがあります。耳下腺が腫れる病気としては、耳下腺の炎症(おたふく風邪、細菌性耳下腺炎)や耳下腺の腫瘍などがあります。腫れているのがリンパ節であれば、リンパ節炎が一番多いのですが、癌の転移やリンパ節そのものの腫瘍(悪性リンパ腫)も少ないながらあり得ますので、要注意です。その他、粉瘤(アテローマともいう)といって皮下組織に袋ができて、内部に垢の成分が溜まって腫れることもあります。

Bの領域は顎下部(がくかぶ)といい、下顎の骨の直ぐ下です。ここには顎下腺という唾液腺がありますから、おたふく風邪でも腫れますし、唾石症といって唾液腺の導管に結石ができる病気で腫れことも多いです。顎下腺以外にはやはりリンパ節も多いですから、この部位もリンパ節炎やリンパ節の腫瘍でも腫れます。

Cの領域、オトガイ下というのは顎の先端の真下ということになりますが、ここが腫れるのは比較的少なくて、正中頸嚢胞というものと、リンパ節の腫れが考えられます。

Dは側頸部といい、特に頸を支える太い筋肉である胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)の前後にはリンパ節が沢山あります。ですから、この場所が腫れるのはリンパ節炎や、時に癌転移、悪性リンパ腫などをまずは考えます。その他、頸動脈が胸鎖乳突筋の裏側を走っていますから、稀には頸動脈から腫瘍ができてくることもあります。

Eは前頸部といいますが、ここにある主要な臓器は甲状腺です。甲状腺はしばしば炎症を起こしたり、腫瘍で腫れたりします。ごくごく稀には副甲状腺の腫瘍のこともあります。


このように、一言で頸が腫れたといっても、部位によって想定される疾患は随分と異なってきます。それは頸という部位は、ボリュームの割に構成しているパーツの数が多いからなのです。また、頸全体としてはリンパ節の腫れが最も多く、しかも炎症性のもの(例えば扁桃炎や咽喉頭炎、虫歯などに反応したもの)が、腫瘍性のものよりも多く見られます。しかし、ごく稀にリンパ節の腫れから、口腔や咽頭、喉頭などの癌が見つかることもありますので、頸が腫れたら、早めに耳鼻科を受診することをお勧めします。
by jibikai | 2008-09-22 18:48 | 耳鼻科全般 | Comments(2)
仕事の写真と趣味の写真
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耳鼻科の診察は、視診、すなわち耳や鼻や咽を目で見る事に重きが置かれます。従って、出来るだけ素早く所見をとって、それを詳細かつ正確にカルテにスケッチする能力が重要でした。もちろん現在も、所見をとる能力が重要なのは変わりはないのですが、カルテへの記録という点では、私の場合、手書きのスケッチよりも内視鏡やデジカメで撮った写真をプリントして貼ることも多くなりました。鼓膜や鼻の中や、咽頭、喉頭などの写真が私の場合の仕事写真ということになります。仕事写真は、ピントが隅々まで合っているのが理想です。

その反動というわけでもないのですが、趣味的写真ではこの写真のように、ついついボケを駆使してしまいたくなるのです。(まあ、これはやり過ぎかも知れませんが・・・)
by jibikai | 2008-09-18 23:47 | Comments(0)
黄金色の秋
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山形市 9月 

秋は、ただでさえ、どこかもの悲しい季節。
しかも、夕暮れともなるとなおさら。
あんまり侘びしくなるのも何なんで、せめて画像は黄金色に染めてみました。

巷の話題も冴えないことばかりで、なにやら季節感と重なってしまいます。
先日、某巨大ディスコが、一夜限り復活したというニュースを見ました。バブルといわれたあの時期は、今思えば単なる空騒ぎだったのかも知れませんが、どこか懐かしい気がしました。
by jibikai | 2008-09-16 18:42 | Comments(3)
頸が腫れたら?
今日はちょっとは役に立つかも知れない、耳鼻科の話です。

さて、頸が腫れたり、頸のしこりに気付いた時には、みなさん、何科にかかろうとお考えになるでしょうか?

内科? 外科? はたまた、整形外科でしょうか?

実は、これも耳鼻科受診で良いのです。頸が腫れる、あるいはしこりができる病気としては、唾液腺、リンパ節、甲状腺、副甲状腺などの炎症や、腫瘍性の病変など様々な原因が考えられるのですが、それらを鑑別していくには耳鼻科での診察が最も適当なのです。

頸の腫れやしこりの診察は、問診(いつから腫れたか、風邪のような症状の有無、痛みの有無、摂食との関係など)から始まり、触診(腫れている位置、触って痛むかどうか、周りの臓器との関係など)へと進みます。問診と触診である程度の見当を付けたら、次に、口の中や咽喉頭の詳細な診察を行う必要があります。例えば腫れやしこりが唾液腺由来ということであれば、唾液腺からの開口部(口の中のある唾液の出口)を詳しく診る必要があるし、リンパ節の腫れである場合には、咽頭や喉頭の診察が必要ですから、ファイバや電子スコープで詳しく診ることもあります。

ここまでの問診、触診、視診で原因となっている疾患を絞り込んでいき、さらには必要に応じて、エコーやCTやMRIなどの画像診断や、血液検査を加味していくこととなります。

また、最終的には細胞診や組織検査(腫れている部分やしこりの、一部あるいは全部を摘出して、顕微鏡で組織を調べること)が、必要となることもあります。細胞診は頸部の場合、穿刺吸引細胞診がよく行われ、これは腫れあるいはしこりに注射針を刺して細胞を採取する方法です。一方、組織検査は皮膚を切開して組織を採取しますが、治療も目指して全摘するときもあれば、一部だけ切除することもあります。とくに組織検査となると、患者さんへの負担も大きいですし、例えば悪性腫瘍であった場合は、下手にいじるとそれが刺激になって、大人しくしていた腫瘍が活動し出すこともあり得ますので、何でもかんでも、摘出して調べるというわけにはいきません。組織検査や摘出に際しましても、頸には重要な血管や神経が走っていますから、それらを傷つけないように十分な配慮が必要となります。

このような流れで頸の腫れやしこりの診断は行われていくのですが、咽喉頭や口腔内などの詳細な診察、場合によっては組織検査や摘出も必要となると、耳鼻科医が最も適任ということになるのです。

耳鼻咽喉科というと、耳や鼻やのどなど、穴の中ばかり覗いている様に思われかも知れませんが、意外とその守備範囲は広く、頸の腫れやしこりも専門に手がけているということを知ってもらえるとうれしいです。
by jibikai | 2008-09-16 15:18 | 耳鼻科全般 | Comments(0)
9月9日は、 救急の日です。 
今日、9月9日は、 救急の日。
最近、救急医療に関する問題がいろいろと表面化していますが、今に始まったことではありません。現場の人手不足や、訴訟リスクの高さ、軽症でも深夜でも平気でコンビニ感覚で受診する患者などなど、問題が山積みなのは、私が勤務医をしていた10数年前も同じでしたが、いつまで経っても状況は良くならないどころか、さらに悪くなっているのは何故だろうと思います。
病院にとっても救急はやればやるほど赤字になるし、医者個人としては専門以外の患者を診なくちゃいけないし、睡眠時間は削られるしで、医療者側からすると、あまりにも報われないのが救急医療です。
大抵の病院では当直医を1人ないし2人当番でおきます。医者1人に当直の回ってくる頻度は、中規模の病院ですと月に1,2度くらいですが、年齢制限を設けているところもあるし、率先して(ある時には強制されて)先輩の当直を肩代わりしたりすることも多いですから、若い医者はもう少し多くなることもあるでしょう。夜眠れるかどうかは、ある意味運次第で、運が悪いとほとんど眠れず、夜通し働いて、またすぐに日常の診療に向かわなくてはいけません。それでも、やりがいのある仕事なら良いんでしょうが、患者の何割かは日中受診してもいい患者だったり、不注意による怪我だったり、やたらと悪態をつく患者だったりと、なかなか心情的には親身になりにくいことが多いというのが、TVドラマとは違うところです。
そんなわけで、自分の科の仕事は好きだけど、当直が嫌で辞める勤務医はかなり多く、一人辞めれば残された者への負担がさらに増えるという悪循環まで生み出しています。救急医療に「きゅうきゅう」としているのは、まさに医者の方で、何とか早急に報われるシステムに変えていって欲しいところです。
最近、あちこちの病院で、時間外診療に対して独自に割増料金を設定しているところがあり、賛否両論あるようですが、コンビニ受診を排除することと、自分の身をすり減らしながら働く勤務医の、時間外報酬を増やす意味でも、私は良いことと思っています。
by jibikai | 2008-09-09 11:37 | プロフィール・雑感 | Comments(2)
花シリーズ〜雨のち晴れ〜
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2008年9月 山形市

文章中心のエントリーが続きましたので、写真で花を添えます。
by jibikai | 2008-09-06 17:57 | Comments(2)
子供が風邪の時は、耳鼻科か小児科か?
昔々、インドのとある王様が、目の見えない男達何人かに象を触らせて、象とはいかなるものかと尋ねました。
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しっぽを触った者は箒のようですと答え、腹を触った者は壁のようですと答え、耳を触った者は簑のようですと答え、足を触った者は柱のようですと答えたそうな。

同じ物でも捉え方によって、全く違う物のように判断してしまうことの例えです。

閑話休題

「風邪」、「耳鼻科」、「小児科」の3つのキーワードで、yahoo! JAPANでも、Googleでも良いですから、試しに検索してみて下さい。結構な数のページがヒットしますが、「お悩み相談的サイト」、「子育て日記的なサイト」、「耳鼻科医院のサイト」、「小児科医院のサイト」に、ほとんど分類できそうです。上位にヒットしたところから見てみますと、耳鼻科、小児科は我田引水とばかりに、自分の科のに来なさいと訴えているのは、まあ、当然といえば当然。興味深いのは、相談サイト(あるユーザーが質問を書き込むと、それに別のユーザーが答える掲示板)が結構多く、そのページを読んでもまた、耳鼻科派、小児科派、両方の意見があることです。また、子育て日記をブログにアップしているサイトも多いですが、お父さん、お母さんの意見も「耳鼻科派」、「小児科派」両方あるようです。

掲示板やブログに載っている意見を、「小児科派」、「耳鼻科派」、「中立派」に分けてまとめてみますと、大体こんなところでした。

小児科を勧める理由あるいはケースとしては、
「子供だから」
「胸の音を聞いてくれる」
「肺炎を診断してくれる」
「熱が出たら小児科」

耳鼻科を勧める理由あるいはケースとしては、
「小児科では、待合室で別の風邪をうつされるから」
「子供の風邪では中耳炎の合併が多い」
「青っぱなが出たら耳鼻科へ」
「鼻汁を吸い取ってくれる」

中立派あるいは、併用するという意見
「最初は小児科にかかり、鼻の症状が続くなら耳鼻科」
「小児科で処方はしてもらっても、鼻の治療は耳鼻科で受ける」
などです。

私の意見としては、まあケースバイケースということになろうかと思いますが、
「急性中耳炎の疑われる時」
「濃い鼻汁や鼻づまりが続くとき」
以上のケースでは間違いなく、耳鼻科で見てもらうべきです。

熱に関しましては、原因が扁桃炎の場合は耳鼻科の方が的確に診断できますが、他のウイルス感染や肺炎、気管支炎の場合は小児科の方が良いかと思います。

咳に関しましては、これは前回も書きましたが、同じ症状でかかっても、耳鼻科と小児科では見方が違ってくることがあります。

耳鼻科ではどちらかというと、気道(空気の通り道)のうちでも上の方から、原因を探していきます。具体的には鼻、咽、喉頭,気管、気管支という順序で考えることが多いということです。それで例えば鼻汁が咽に大量に流れ落ちている様な所見があれば、それが咽に絡んで咳の原因となっていると考え、鼻や副鼻腔のの治療を中心に行います。

小児科では、どちらかというと鼻や咽の診察よりも、胸の診察の方が得意です。ですから、耳鼻科では見つからなかった肺炎や気管支喘息などが発見されたりすることもあります。

ただし、前回も書きましたが、副鼻腔炎と気管支炎の合併、アレルギー性鼻炎と気管支喘息の合併はよくあることです。要は耳鼻科医が上気道中心に診ているのに対して、小児科医は下気道中心に、同じ疾患を診ている違いであって、どちらが正しいとか、どちらが優れているとかそういうものではないのです。

さて、話は盲人と象の逸話に戻りますが、象を象と見極めるためには、診療科を超えて知識を身につけ、いわゆる「専門馬鹿」にならないように心がけるとともに、全身状態にも気を配れるというのが理想なのでしょう。まあ、口で言うほど簡単なことではないのですが・・・
by jibikai | 2008-09-05 18:26 | 耳鼻科全般 | Comments(0)
耳鼻咽喉科の守備範囲とは?
前回に引き続き、診療科の話です。
耳鼻咽喉科というのは、文字通り耳と鼻と咽喉(いんこう;すなわちノドのこと。咽と喉は各々違う部位を指すのですが、その話はまた今度。)を診療する科ということになります。実はその他にもみる範囲は意外に広く、おおよそ鎖骨から上、眉毛よりも下の範囲は耳鼻科の範疇ということになります。耳、鼻、ノド以外で、具体的には顔面から頸部表面に近い部分や、舌などの口の中(ただし歯は除く)、気管や食道の上部も耳鼻咽喉科の守備範囲です。また脳神経のトラブルとして、めまいや顔面神経麻痺といった病気があるのですが、これも耳鼻咽喉科の守備範囲です。

各科同じだと思うのですが、患者さんの側から守備範囲をあまりに過小評価されると、がっかりするし、自分の科の守備範囲を超えた病状を訴えられても困るということがあります。意外とあるのが、例えば耳や鼻の病気で通っている人が、「ところで舌が痛いんだけど、何科に行ったらいいですか?」なんて真顔で聞いてくることがあります。もちろん「こちらで診ますよ。」と答えるのですが、ちょっと心外ではあります。また、逆に腹痛や吐き気で受診する方もいて、これはこれで困ります。

ということでもう一度繰り返しますが、
耳鼻咽喉科の守備範囲は、鎖骨と眉毛の間です。

とはいえ、診療科にはオーバーラップする範疇が多々あり、どっちに行ったら迷うケース、症状もしばしばあります。耳鼻咽喉科の場合は、内科、外科、脳神経外科、小児科、精神科の守備範囲としばしば重なってくる疾患や、症状があろうかと思います。(下図参照)
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特に多いのは、風邪症状の場合に、大人であれば内科か耳鼻咽喉科か、子供なら小児科か耳鼻咽喉科かで悩むことがあるのではないでしょうか。正直言って、風邪だけならどちらでも大丈夫。なぜなら、風邪というのはほとんどがウイルスの感染であり、免疫が付けばいずれにしても治ってしまうものだからです。

問題になるのは、風邪でもありがちな症状ながら、それが長引くときです。咳でも鼻汁でも咽の痛みでも、2週間を超えて続くのであれば、風邪じゃない可能性があり、その場合は診療科によって診断や治療方針が変わってくることがあります。
 
例えば、長引く咳の場合、内科や小児科では「喘息」という病名が一番多く付けられますが、耳鼻咽喉科で診ると「アレルギー性鼻炎」、「副鼻腔炎」、「喉頭アレルギー」などと診断される方が多くなります。それで、どちらかが誤診か、ということになりますが、それほど大げさなものではなくて、まるで「盲目の男達と、象」の逸話のようなもので、ある意味全て正解に近いが、病態全てを言い尽くしていないことになろうかと思います。実際、喘息とアレルギー性鼻炎、喉頭アレルギーというのはいずれも気道のアレルギーなので、合併も多いし、いずれも刺激に過敏なので、咳も共通の症状です。違いといえば、アレルギーの起きる部位がちょっとずつ違うだけ。また、副鼻腔炎による咳というのも実は意外に多くて、後鼻漏といって鼻汁が咽に流れ落ちて刺激している状態です。副鼻腔炎は内科、小児科では正しく診断できません。ただし、これも気道アレルギーの一環として起こっていることも多いし、細菌性のものでは気管支炎との合併が多いです。ということで、内科や小児科で喘息とか気管支炎の診断の元、治療を受けて、まあ結果オーライということになろうかと思いますが、治ってしまっているものも実は多いんじゃないかと推測しています。

逆のケースでは耳鼻咽喉科で急性喉頭炎や急性副鼻腔炎で治療中、熱が出たとして内科や小児科を受診して、肺炎や気管支炎などを指摘される、といったケースもあります。これらはいずれも風邪から続発して、各々合併しやすい疾患で、治療も抗生剤と対症療法ということで共通しています。ただ、肺炎となると全身状態が悪くなるため、補液なども必要になってくることが違う点です。

他にも、内科、小児科疾患と耳鼻咽喉科疾患がオーバーラップしてくるケースは多々あるのですが、いずれまた、別のエントリーで解説したいと思います。

次に、脳神経外科と重複して診ている疾患や症状には、めまい、頭痛、顔面痛などがあります。
たとえば、めまいですが厳密に言えば頭の中の循環不全や腫瘍などによるめまいは中枢性めまいといって、脳神経外科領域、メニエール病などの内耳性めまいは耳鼻咽喉科、起立性低血圧症によるめまいの場合は内科でみるのが妥当なのかも知れませんが、クリアカットに分けられないケースもあるし、患者さんもあちこちにかかるのは負担でもあるので、特に生命に関わるケース以外では、初診したところでずっと診ていたりすることも多いです。

最後に、精神科との共通領域としては、心因性の様々な病気があります。心因性めまい、耳鳴の一部、舌痛症といって何も異常がないのに舌が痛む病気、咽喉頭異常感症、
自己臭症など様々な疾患があります。神経症と言っていいレベルであれば耳鼻咽喉科で治療して差し支えないことがほとんどですが、うつ病の場合は精神科での治療が必要です。

このブログのタイトルは「耳鼻科医の診療日記」としていますが、正式には耳鼻咽喉科で、省略している「咽喉」とはノドのことです。じゃあ、耳、鼻とノドだけを診ている科なのかというとそうでもなくて、もっと広い範囲を診ています。それだけ、他の科と重複して診ている症状や疾患もあるのですが、それぞれに得手、不得手はありますから、異なった科同士の診診連携は今後進めていくべき課題と思います。
by jibikai | 2008-09-02 18:29 | 耳鼻科全般 | Comments(2)
耳鼻科医の悩み 〜「咽喉」か、「いんこう」か?〜
病気になって医者にかかるとき、まずは何科にかかろうかということを考えると思います。例えば、おなかが痛いのなら内科、目が見えにくいと感じたら迷わず眼科を受診するでしょう。このように診療科というのは、患者さんが医療機関を選ぶ上で、重要な指標になっていることに異論はないでしょう。
さてこの診療科ですが、広告などに表示できるものは、医療法という法律で選べるものが規定されていて、例えば「スギ花粉症科」とか、「痩身科」なんていうのは標榜できません。当院では「耳鼻咽喉科」と「アレルギー科」を標榜していますが、この4月に標榜科の見直しが行われました。大きな変化は、内科や外科といった診療科に、臓器名などをくっつけられるようになったことで、例えば「腎臓外科」とか「腫瘍内科」などが認められたことです。まあ耳鼻科医の私にはあまり関係ないことと思い、医師会のなどからの通達も、斜め読みだけして、後はしばらく放置しておりました。
ところがある日、標榜できる診療科を改めて確認しますと、いつの間にか「耳鼻咽喉科」が消滅しており「耳鼻いんこう科」に変わっていました。世の中ほとんどの人が、どっちでもいいと思うでしょうが、耳鼻科医にとっては晴天の霹靂の出来事。ところが耳鼻科医の集会や、学会後の懇談会などでも誰も話題にもせず、一人悶々としております。
とりあえず、今まで標榜してきた科はそのまま標榜できるとのことで、看板などは塗り替えなくても良いようですが、新聞広告や電話帳などはどうなのか、実はまだよく分かっていません。「いんこう」ってなんだかあんまり語感がよろしくなくて、できれば漢字のままでいきたいところです。

ちなみに私が所属している学会は「日本耳鼻咽喉科学会」ですし、持っている専門医は「耳鼻咽喉科専門医」であって、「耳鼻いんこう科専門医」ではありません。ネットでだって、「耳鼻咽喉科」で検索すればヒット数 5,380,000件に対して、「耳鼻いんこう科」はたったの 207,000件です。どちらの表記が一般的かは一目瞭然です。それなのに、なぜ「耳鼻いんこう科」に変えられたのか、経緯をネット検索などで調べてみましたが、どうもよく分かりません。決まるまで何の議論もなく、決まってからも「日本耳鼻咽喉科学会」で意義など唱えた形跡もなく、平穏に表記の変更が行われたようなのです。

国民の利益を守るためにどうしても「耳鼻いんこう科」に変えなくちゃいけない理由があって、法改正しました。というのなら従わなくちゃいけないのでしょうが、一体ひらがなにするのにはどんな意味があるのか、全く不明です。法律も時代に合わせて変えていかなくてはいけない事項も多いのでしょうが、余計なことまで変えないでいただきたいと思った次第です。いらない法改正なんかしないで早めに帰宅していれば、「居酒屋タクシー問題」なんていうのも起こらなかったんじゃないでしょうかね。
by jibikai | 2008-09-01 17:54 | Comments(6)