耳鼻科医の診療日記
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あさひ町
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〒990-0024
山形市あさひ町7−25
院長  榊 原  昭


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YouTube動画紹介 Epley法
YouTubeで見つけた、耳鼻科に関連した動画を紹介します。
後半規管型良性発作性頭位めまい症に対するEpley(エプリー)法を解説しているものです。
英語ですが、アニメーションを見ながらおおよそ理解可能かと思います。

4月12日追記:動画に日本語の字幕を付けました。
「歯車のマークから字幕に日本語を選択、字幕表示」で、日本語字幕が表示されます



by jibikai | 2017-03-29 21:00 | 耳のはなし | Comments(0)
汎用デジタルカメラを利用した内視鏡システム─耳科診療への応用─
日本耳科学会でポスター賞を受賞した演題ですが、エキブロの仕様のためか、ポスターが読めなさそうなぐらい縮小されてしまいまして、内容が分からないかと思い、改めて編集し直してアップします。
以下、ポスターの内容です。

汎用デジタルカメラを利用した内視鏡システム
─耳科診療への応用─
榊原 昭
あさひ町榊原耳鼻咽喉科医院(山形市)

はじめに
耳科診療へのカメラ付きの内視鏡の導入は、外耳道や鼓膜の詳細な観察、画像の保存が可能になるなど、メリットが多い。しかし一方では、カメラや光源が高価であることと、機材の大きさ、ケーブルの取り回しの煩雑さなどが欠点となっている。
家庭用のビデオカメラやデジタルカメラを内視鏡に接続するアイディアは、以前にも存在した1)が、採用しているカメラはズームレンズとモニターが一体となっており、小型・軽量ではなかった。また、カメラの背面に固定されたモニターやファインダーを覗き込みながら内視鏡を操作する必要があったため、操作性と視認性において、やや難があった。
最近発売されたOLYMPUS AIR A01は、モニターや操作用のダイヤルなどを一切省いたレンズ交換式のデジタルカメラであり、撮影条件の設定や画像の確認などは、無線で接続されたiPadやiPad Pro, iPhoneなどで行うのが特徴である。これを内視鏡システムの中核とすることにより、より一層の低価格化、小型・軽量化が可能となり、しかも、モニターもより大きなものを、しかも任意の位置に設置出来るため、医療用カメラと遜色のない操作性、視認性が期待出来る。実際の外来診療において、鼓膜の観察と記録、処置に活用し、操作性や画質については、満足出来るものとの実感している。システムの概要、得られる画像は、以下に呈示する。なお、発表に際しては、時間の許す限り、デモも行いたいと考えている。

システムの概要
iPad Proとカメラは、無線で接続される。いずれの機材もバッテリー駆動で、電源ケーブルも必要としない。iPad Proはキャスター付きスタンドを用いて、自由に移動出来るようにしているが、多くの場合、患者の頭部を挟んだ向かい側が,最もモニターを見ながら内視鏡を操作しやすい位置である(図1)。
カメラと内視鏡はマウント変換アダプター、Cマウントアダプターを介して連結している。光源はLEDバッテリー光源を用い、ワイレスとしている(図2)。
価格は選択するiPadやiPad Proによって異なるが、光源と硬性鏡を除いて、合計237,004円〜となる。
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図1






















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図2
初期設定
iPad Proに、無料の専用アプリをダウンロードし起動すると、カメラとiPad Proとのペアリングを行う手順が示されるので、その通りに設定を行う。この操作は初回のみ必要である。

起動
カメラの電源を入れ、iPad Proのアプリも起動する。最短で30秒程度で撮影可能となるが、その時間を利用して、硬性鏡の曇り止めなどを行っている。

撮影条件の設定
通常のカメラ同様、画質、画素数、ホワイトバランス、シャッタースピード、ISO、アスペクト比などを設定できる。この操作はiPad Pro側で行う。露出:プログラムオート、露出補正:+0.3、ISO: 1250、ホワイトバランス:蛍光灯
としている。
内視鏡のイメージサークルが、ほぼモニター全体に表示されるようデジタールズーム×2、あるいは×3で調整している。これらの設定はiPad Proに記憶されるので、毎回やり直す必要はない。
記録は、静止画と動画、いずれも選択可能である。多くの場合、静止画としているが、処置の過程を記録する際には動画を録画している。なお、画像はiPad Proに保存するか、本体に挿入したmicro SD cardに保存するかを選択出来るが、micro SD cardに保存した方が確実である。

撮影
1)右耳を見る場合には、患者の左側にiPad Proを移動する。2)左手で耳介を後上方に牽引しながら、右手はカメラを持って内視鏡の先端を外耳道へ挿入する。
3)iPad Proにリアルタイムに耳内が表示されるので、観察と同時に必要に応じ、患者に説明する。
4)画像を残したい位置で、シャッターボタンを押す。
5)iPad Proを患者の右側(図1の位置)に移動して、左耳の観察と撮影を行う。

画像ファイリング
カルテ机にiMacを置いて、プリインストールしてある写真管理ソフト、iPhotoでファイリングを行っている。
撮影後、内視鏡と光源を外したOlympus Air A01を、iMacにUSBで接続し、画像の取り込みを行う。取り込み後、タイトルを患者IDに換え、病名などをタグ付けして管理している。
正常鼓膜
正常鼓膜では、ツチ骨、キヌタ骨、耳管鼓室口などが確認可能である(図3)。

運用状況
Olympus Air A01を外来診療に使用して、約18ヶ月経過したが、使用頻度は、一日平均5例程度である。
症例の内訳としては、耳垢栓塞、サーファーズイヤー、外耳道異物、水疱性鼓膜炎、急性中耳炎、滲出性中耳炎、慢性中耳炎、鼓室硬化症、癒着性中耳炎、高位頸静脈球、コレステリン肉芽腫などである。
期間中、カメラの軽微な故障が、一度のみ発生した。保証期間内であったため、修理は無償であったが、宅配便でやりとりする期間も含めて、10日間ほどかかった。

特に有用と思われたケース
左手で内視鏡とカメラを把持して、右手で鉗子、吸引管、鼓膜切開刀などを操作することで、処置や鼓膜切開、チュービングも可能である。片手操作にはなるが、死角がないのは顕微鏡に対するアドバンテージとなる。また、ケーブルがないので、手術用のカメラよりも操作性が良い。
以下のケースでは、特に有用であった。
○ サーファーズイヤーや、外耳道の彎曲した例や小児の、耳垢除去。
○ 外耳道異物除去術。
○ 鼓膜切開、チュービング、鼓膜穿孔閉鎖術(特に外耳道の狭い例、
 湾曲した例で有効)
○ 弛緩部陥凹内の清掃、open mastoidの清掃。

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図3:正常な鼓膜 


まとめ
汎用のデジタルカメラ、Olympus Air A01を応用した内視鏡システムは、小型軽量、ケーブルも必要がなく、モニターも自由に移動出来るため、耳内の観察と記録のみならず、内視鏡下の処置も無理のない姿勢で行うことが可能であった。
また、顕微鏡では死角になるような、狭小あるいは彎曲の強い外耳道の深部、弛緩部陥凹やopen mastoid内の処置にも有用であった。
リアルタイムにはiPad Proで、記録された画像はiMacで確認しているが、静止画、動画とも高品位であった。

文献
1)角田晃一:内視鏡記録への家庭用光学機器の応用. JOHNS 26 (1) :15 -18. 2010



以上、ポスターを再構成いたしました。病的鼓膜の写真につきましては割愛しております。

なお、カメラシステムとカメラシステムの連結は、ユニバーサルジョイントとなっていますので、軟性鏡や、他科の内視鏡への応用も可能と思われます。

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by jibikai | 2016-10-18 14:06 | 耳のはなし | Comments(3)
耳鳴の原因と治療
以前も耳鳴について記事を書いていますが、大分時間も経過しましたしましたので、改めて記事にしてみます。

耳鳴の分類

耳鳴はタイプ、発生部位、原因となった疾患などにより、色々に分類されます。


自覚的耳鳴と他覚的耳鳴

自分にしか聞こえない耳鳴が自覚的耳鳴で、他人にも聞くことの出来る耳鳴が他覚的耳鳴です。他覚的耳鳴は稀で、ほとんどが、自覚的耳鳴です。そのため、耳鳴のつらさがなかなか他人に伝わりにくいことが多いといえます。

発生部位による分類

中耳性、内耳性(もしくは蝸牛性)、中枢性等に分けられますが、一番多いのは内耳性と考えられます。

原因となる疾患

中耳疾患

急性・滲出性・慢性などの各種中耳炎、耳硬化症、耳小骨離断、耳管機能不全など。

内耳(蝸牛)疾患

突発性難聴、メニエール病、低音障害型感音難聴、老人性難聴、急性音響外傷、騒音性難聴など。

脳(中枢神経)の疾患

聴神経腫瘍、神経の変性疾患や血管疾患、心因性難聴、鬱病などの精神病など。

脳や聴器以外の疾患

高血圧、動脈硬化、頭蓋内や頸部の血管の走行異常、耳の周囲の筋肉の痙攣など。

耳鳴のおこる仕組み

耳鳴の起こる仕組みを理解するため、耳から脳へ、音の信号がどのように伝わっていくかを考えてみましょう。

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1: まず、音というのは空気の振動なのですが、その振動が外耳道を通り、鼓膜にぶつかります。

2: 鼓膜が振動して、3つある耳小骨に順繰り振動が伝わっていきます。
(ここまでが伝音系といい、主に中耳の働きです。)

3: 耳小骨の振動を受けて、内耳では音の振動のエネルギーを、電気的エネルギーである神経の活動電位に変換します。

4: 内耳で起こった活動電位は、蝸牛神経を通って、脳幹という脳の基本的な仕事をする場所へと入ります。脳幹では、音の周波数を解析したりしていると考えられています。

5: さらに音による神経の活動電位は、大脳皮質へと伝えられていきます。大脳では、より高次な音の分析、例えば言葉の理解や、安全な音なのか危険な音なのかなどの判断が行われます。

以上が、聴覚伝導路といわれる、音の信号が耳から脳に入り、理解や判断されるまでの仕組みです。

耳鳴の大部分を占める自覚的耳鳴は、通常は音があるところで起こるべき活動電位が、音のないところでも起こってしまい、耳鳴として大脳で認識されて生じます。

聴覚伝導路のどこで耳鳴の元となる活動電位の発生源は、内耳や蝸牛神経が多いと思われます。

また、普段は周りの生活雑音などにかき消されて自覚していない耳鳴が、難聴によって周囲の音が聞こえなくなる分、顕著化してくるようなものもあると考えられています。

耳鳴は、聴覚伝導路いずれかで発生するのですが、これを認識するのは大脳の役割です。

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特に大脳辺縁系という部分の働きが最近注目されています。大脳辺縁系というのは、いわゆる旧い脳といわれる部分で、緻密な思考というよりは、心地良いか不快であるかの判断といった風な、原始的な感覚を司っている部分で、自律神経と連携して働いています。

自律神経は内臓の働きをコントロールしていますから、音が不快だと感じた場合に、自律神経の命令で心臓がドキドキしたり、胃腸の具合が悪くなったりすることも起こりえるのです。

同じことは、耳鳴でも起こると考えられます。最初に内耳で発生した耳鳴を大脳辺縁系が不快な音として認識した場合、自律神経が刺激されて、内臓の調子が悪くなり吐き気がしたり、脈が変動したりすることもあるのです。そして、この経験が再び大脳にフィードバックされ、耳鳴があるために非常に不快な経験をしたのだと思い込みます。そうすると、大脳は耳鳴りは危険なシグナルと認識するようになり、耳鳴りをより一層注意して聞くように習慣づけられます。そうすると、さらに耳鳴に敏感に反応してしまうようになるという悪循環に陥るのです。

一度悪循環に陥ってしまうと、いつもは聞き流せるような耳鳴も、気になって過剰に反応してしまうようになる、というのが耳鳴が頑固になってしまうメカニズムです。

耳鳴の治療

 耳鳴の治療としては、急性期と慢性期とに分かれます。急性期、すなわち耳鳴が起こって間もない時期には、それと同時に急性の内耳障害が起こっていることが多いと思われます。具体的な病名としては、突発性難聴、低音障害型感音難聴、メニエール病、音響外傷などということになりますが、これらの疾患では、原因となっている疾患の治療をまずは行います。

一方、慢性の耳鳴や、いつからかはっきりしないもの、難聴も伴わない耳鳴の場合は、元々は内耳で起こった耳鳴が、脳における悪循環で、持続・増強していることが考えられますから、この悪循環を断ち切ることが大切です。そのためには、「耳鳴の起こっている原因を理知的に理解し、過度の心配を抱かないようにすること」、「耳鳴りに意識を傾けないように習慣化する」ことが有効です。いわば大脳で大きくしてしまった耳鳴りを、大脳の働きで小さくしてしまおうという治療法で、これが当院で行っているTRTです。

TRT とは?

TRTとはtinnitus retraining therapyの略です。直訳すれば、”耳鳴再訓練療法”ということになりましょか。再訓練というのは、耳鳴を過度に警戒して、耳鳴に集中してしまう癖を捨て去って、耳鳴を聞き流せるようにするように習慣づける、という意味です。


TRTの実際

顕微鏡や内視鏡を使った耳の診察、聴力検査、必要に応じて耳管機能検査やティンパノメトリィ、CTなどを行い、耳鳴の原因を診断します。その上で、耳鳴の起こっているメカニズムを説明します。耳鳴の正体を明らかにすることにより、過度の不安を抱かないようにして頂くのが狙いです。

さらには、音響療法を併用します。具体的には静かな環境を避けてもらうため、1日のうち数時間程度、音を流しておく治療です。音源としては、軽症の場合は、わざとチューニングをずらしたFMラジオの雑音、波の音のCD、難聴のある人であれば、補聴器を付けて環境音が聞こえる状態を作ることなどです。耳鳴に対する苦痛度が高い場合は、サウンドジェネレイターという補聴器と同じ形をした、雑音を流すための専用の機械が必要となります。

ただしサウンドジェネレイターを購入するまでもない、という方にはiPhoneやiPad、Androidで使えるアプリもありますので、これらのユーザの方にはお勧めです。

いずれにしても、音量は耳鳴が完全に消える程大きくなく、半分ぐらいになる程度が適当です。他の音により、やや圧縮された耳鳴を聞くことにより、大脳が耳鳴のある状態に慣れることを促すのが音響療法です。TRTは、病状についての説明と理解、そして音響療法の二つの柱から成る治療なのです。

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by jibikai | 2014-08-12 15:45 | 耳のはなし | Comments(3)
『眠りの森』
今年の正月休みは、家で過ごしました。お陰でTVを観る時間もたっぷりあったわけですが、特に気合いを入れて観た番組は『眠りの森』。東野圭吾原作のミステリーです。
詳細はネタバレになるので書きませんが、あるバレリーナが交通事故をきっかけに、その後徐々に聞こえが悪くなって、やがては全然聞こえなくなってしまうというエピソードがありました。ドラマでは病名までは語られていませんでしたので、はて、そんな病気あるかなとか、実際にある病気であれば、なんだろうと耳鼻科医的には気になりました。
ちょっと考えましたが、最も考えられるは「前庭水管拡大症」という耳の病気かなと思い当たりました。
この病気は、内耳と頭蓋内の内リンパ嚢という袋とをつないでいる前庭水管という管が、広がり過ぎている、内耳奇形の一種です。子供の頃から難聴のある人もいますが、元々は難聴がなくても頭部外傷をきっかけに聴力が低下していき、やがては全く聞こえなくなってしまうこともあります。これは、頭の外傷によって脳圧の急激な上昇が起きて、コルチ器を壊してしまうのが原因と考えられています。
実際の診断は、CTやMRIで可能です。
TVドラマの中には医療そのものを扱ったものも多いですし、今回の『眠りの森』のように、ある特定の病気がストーリーに深く関わってくるものもありますよね。実のところ、病気や医療をテーマにしたものは好きではないのですが、今回のドラマは純粋に楽しめましたし、耳の症状についても興味深く観ることができました。

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by jibikai | 2014-01-13 17:26 | 耳のはなし | Comments(0)
コーンビームCTでみる中耳と内耳の構造
複雑な中耳や内耳の構造。しかもこれらは側頭骨という骨の中に埋まっているため、なかなかその構造を見ることは困難でした。しかし、コーンビームCTにより精細な3D画像が得られるようになり、耳小骨や半規管、蝸牛まで立体表示が可能となったのです。
さらに3Dの画像を少しずつスライスを変えたり、見る方向を変えたりすることにより、より分かり易くなります。その辺のところは静止画では説明しきれないので、動画を作成してYouTubeにアップしました。是非、ご覧下さい!



【関連記事】
コーンビームCT導入!
当院のCTではこんな画像が撮れます
コーンビームCT〜撮影から読影まで〜
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by jibikai | 2013-11-07 19:05 | 耳のはなし | Comments(6)
耳管開放症の原因
あさひ町榊原耳鼻咽喉科医院で治療を行った、耳管開放症の患者さんについて、原因をまとめてみました。カルテで詳細が調べることが出来たのは62例ですが、そのうち16例は痩せすぎ、あるいは急に体重が減ったことが原因と思われました。ちょっと意外なところでは、吹奏楽がきっかけとなった方が2例(二人とも木管楽器でした)、妊娠とともに悪くなった方が2例ありました。
中耳炎に続発した例は3例の航空性中耳炎(飛行機に乗った際の気圧の変化で起きます。)と、急性中耳炎が1例でした。急性中耳炎後は多くが耳管閉塞から滲出性中耳炎となるのですが、時に耳管開放症になることもあるようです。
その他にはアレルギー性鼻炎や気管支喘息などの気道の慢性炎症、起立性低血圧や膠原病などの全身疾患も原因となっていると思われる例がありました。

今週から来週は耳管開放症についていろいろとお話ししていきます。

次回は、男女差についてお話しする予定。

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by jibikai | 2013-09-03 18:45 | 耳のはなし | Comments(3)
耳に何か入ってしまいました!
「子どもが耳に何か入れてしまった!」「耳に虫が入ってしまった!」など、耳の中に何か入ってしまった状態を外耳道異物といいます。
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外耳道とは、外耳孔すなわち耳の穴から鼓膜に至るまでのトンネル状の構造で、緩いS字状のカーブを描きます。外耳道は鼓膜で行き止まりになっていますので、何かしらの異物が入ったとしてもそれ以上奥へは行かず、幸い重い合併症を引き起こすことはないのですが、耳の閉塞感や異物感、痛みなど様々な症状を起こします。

当院(あさひ町榊原耳鼻咽喉科医院)は山形県山形市の耳鼻科診療所です。開業して15年が経過して、受診された患者さんの数は約20,000名。平均的な耳鼻咽喉科クリニックといえるかと思います。その間、外耳道異物で初診された患者さんは、データベースで検索したところ、ちょうど100例あり、全患者数の約0.5%という割合です。今回は外耳道異物の傾向を探るため、100例の患者さんの性別、年齢別分布について、カルテが残っていた51例の患者さんについては異物の種類、症状についても検討してみました。
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男女比ですが、男性69%、女性31%と、男性に多い傾向にありました。
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性別年齢別分布を見ますと、小児と高齢者では性差があまり大きくなく、10代から50代で特に男性に多いことが分かります。
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症状ですが、異物が入ったという自覚があった方の割合は25%強と意外と低く、最も多いのが耳閉感や異物感といった耳の中の感覚の異常でした。その他には耳内の音、耳痛、難聴などがありました。耳閉感というのは「耳がつまった感じ」なのですが、同様の感覚を「耳に水が入った感じ」、「トンネルに入った様な感じ」、「高い山から降りてきた様な感じ」、「耳が圧迫された様な感じ」という方もあります。また耳閉感は滲出性中耳炎や耳管開放症急性低音障害型感音難聴などでも高頻度に見られる症状ですので、どの原因による耳閉感なのか鑑別することが重要となります。
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入っていた異物を分類しますと、毛髪が31%、次いで水滴が20%ですから、これらが半数以上を占めます。以下、昆虫、消しゴム、ビーズ、砂、綿(これは綿球や綿棒の先端などです)が、ほぼ同数見られました。その他には植物の種子、米粒やベビースターラーメンなどの食品も少数ありました。グラフには示しませんでしたが、年齢層によって入っている異物には傾向がありまして、小児では消しゴムやビーズなど、成人では毛髪と水滴や砂などが多く見られました。
また毛髪と砂や種子などは、いずれも男性に多く、そのため外耳道異物が男性に多く見られる原因となっていると思われました。毛髪が男性の外耳道異物の原因となり易いは、おそらく女性よりも短く切っている人が多いためと考えられます。砂や種子が多い理由としては、ライフスタイルとして、アウトドアで活動する機会が女性よりも多いためではないかと思われます。

最後に異物をいかに摘出するかについて、模型を使って説明したいと思います。
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通常、鉗子でつまんで引っ張り出すことを先ずは考えますが、このように球状の異物の場合には上手くつまめないことが多く、下手をするとさらに奥に押し込むことになります。
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その場合は、耳用小鉤という道具を使います。文字通り先端が鉤状になっているもので、これを異物と外耳道の隙間を通して異物の向こう側に引っかける様にして引きずり出します。耳様小鉤を差し込むスペースもない場合は、綿棒の柄の部分にアロンアルファゼリーを付けて異物に接着して引っ張り出すという、裏技もあります。

これからの時期、運悪く昆虫が耳に飛び込んでくることがあります。気をつけていただきたいのは、昆虫が耳に入った場合の対処です。それは暴れて外耳道や鼓膜を傷つける可能性があるためなのですが、俗に言われている懐中電灯などで照らすと光に誘われて出てくるというのは、真っ赤な嘘ですのでご注意を。昆虫が生きていて耳の中で暴れている場合にまず行うべきことは、サラダ油やオリーブオイルなどの食用油を耳に注ぐことです。これにより昆虫は窒息死します。先日女性の方がこの処置をしてから受診しましたが、見事に虫は死んでおり、外耳炎も起こすことなく事なきを得ました。冷静な対処だったと感心いたしました。

今回は外耳道異物について、当院のデータをご紹介するとともに、イメージをつかんでいただきたく、模型を使って説明してみました。何かしらのご参考になれば嬉しく思います。

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by jibikai | 2013-07-29 20:29 | 耳のはなし | Comments(2)
外傷性鼓膜穿孔〜当院のデータより〜
鼓膜は外耳道の突き当たりにあって、音のエネルギーを受け止めて耳小骨へ伝達したり、外耳と中耳を遮断することによって、中耳や内耳を保護する役割を担っています。
その大きさは平均で7.5 mm × 8.07 mmで、厚さはわずか0.06 mmです。

鼓膜は色々な原因で破れることがありますが、そのうちでも外力が働いて破れる、あるいは孔があいてしまった状態を外傷性鼓膜穿孔(がいしょうせいこまくせんこう)と言います。

外傷性鼓膜穿孔で、あさひ町榊原耳鼻咽喉科医院を初診された患者さん30例についてみてみますと、性別では男性20例に対して、女性10例で男性に多い傾向がありました。
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年齢別では10代から20代にかけて、多くなっています。この年代では特にスポーツ中の事故によるものが多く、それが頻度を高くしている要因と思われます。
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カルテが残っていて原因が確認できたのは、30例中14例です。内訳は、耳搔きが最も多くて5例、スポーツ中の他人や壁との接触が3例、平手打ちが2例、耳に指を突っ込んで抜いたところ圧がかかったのが2例、藪で木の枝が耳に入った例が1例、溶接で火花が飛んで耳に入ったのが1例でした。
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予後ですけれども、詳細が確認できたのが7例あり、自然治癒が5例、手術目的に大学病院紹介となった例が1例、当院にて鼓膜穿孔閉鎖術を行った例が1例ありました。

外傷性鼓膜穿孔は自然治癒が多いのですが、中には耳小骨離断や外リンパ漏を合併する例もあり、特に耳搔き外傷の場合は要注意です。

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by jibikai | 2013-07-20 17:04 | 耳のはなし | Comments(0)
耳用内視鏡で悩む
医療機械は日進月歩というほどではないのですが、少しずつ新しい機械が出てきて、それを使えばより詳しい診察や検査ができるということはたまにあります。ただし医療機械というのは非常に高価なので、良さそうだからと何でもかんでも購入していては、経営を圧迫してしまいますので、そこは普通の買い物と同じで本当に必要なのか、よく吟味する必要があります。
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今回悩んでいるのが、この耳用の内視鏡と光源です。内視鏡はオリンパス製、光源はカール・ストルツ製です。内視鏡はもともと鼻や喉を見るものから発展してきたのですが、最近は細くても明るくて解像度のいいものが作られるようになり、耳の診療にも応用されるようになってきたのです。内視鏡を使うメリットは、患部を詳細に見ることが出来ることです。

時々、寝たきりの患者さんで耳の聞こえがわるくなったと往診を頼まれることがあるのですが、いままでは前回ご紹介したLEDヘッドライト ステラビューで光を入れて肉眼で鼓膜を確認していました。しかし、これだと詳細な所見がとれません。診察室で使っている顕微鏡や電子スコープを使えれば良いのですが、装置が大がかりで往診に持って行くというわけにはいかないのです。
何かいい方法はないかと悩んでいた時に、広告でカール・ストルツのLEDバッテリー光源というものを知りました。これは非常にコンパクトで、オリンパスの耳用の内視鏡にも問題なく接続できます。

この1週間両社からデモ機をお借りしてテストした結果では、肉眼でもCCDカメラを装着しても鼓膜の観察に充分使えそうですが、最後の問題はコスト。値段交渉して折り合いがつけば購入予定。もし購入したらば、使用感などはまたあらためてレポートしたいと思います。

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by jibikai | 2013-01-26 15:50 | 耳鼻科医のお道具箱 | Comments(0)
耳管開放症
今回は耳管開放症についてお話ししたいと思います。
耳管とは鼓室と上咽頭をつなぐ管で、その役割は鼓室の気圧と大気圧の均衡を保つことや、鼓室内から不要な分泌物や病原体を上咽頭へと運び出してきれいな状態にすることなどにあります。耳管が働いているのを実感するのは、飛行機に乗ったときなど気圧が変動する時です。例えば着陸態勢に入って飛行機の高度が下がった時、耳がつまる感じになることがあります。これは、機内の気圧が上昇するために、鼓膜が外側から押されて凹んでしまい響きにくくなるために起こる現象です。その様なときには唾を飲み込むようにしたり、鼻をつまんで息を込めて、いわゆる耳抜きをすれば、つまる感じが取れてパッと聞こえが良くなります。これは耳管が開いて鼓室へと空気を送り込んで鼓膜の凹みを解消したことによります。
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このように、耳管は鼓膜の内側と外側との間に気圧の差が出来たときには開くようにできているのですが、開きっぱなしになってしまうのが耳管開放症です。症状は軽症ですと耳のつまる感じだけですが、ひどくなってきますと自分の声が大きく響く感じ(自声強聴)がしたり、呼吸の音が聞こえたりします。これらは、口の中から鼓室へとダイレクトに空気の行き来できる通路が空いてしまっているための症状です。
原因は体重の減少や脱水などが多いのですが、これは耳管を取り巻く軟部組織のボリュームが少なくなるためです。
かかりやすいのは若い方では特に女性、高齢者になりますと逆に男性が多いようです。
診断は、鼓膜所見、聴力検査やティンパノメトリーでも異常のないケースが多く、なかなかつかないこともありえます。
治療は、軽症では漢方薬を中心とした内服療法、生理食塩水の点鼻などがあります。自声強聴や呼吸音聴取などがある場合には、鼓膜のテーピング(鼓膜に特殊な絆創膏を貼って動きを制限する治療)が有効です。それで良くならない場合の治療法は、耳管を特殊なピンを使ってふさぐ治療(耳管ピン)などがあります。
耳管機能の不調による病気としては耳管が通りにくくなって起こる滲出性中耳炎などについては研究も進んで治療法も確立していますが、耳管開放症についてはまだそれほど研究が進んでいるとは言えませんので、かかる耳鼻科医によって診断や治療方針が若干異なるということはあるかも知れません。当院での治療法は漢方、生食の点鼻、鼓膜テーピングを症状に応じて行っています。耳管ピンは当院では施行できませんので、その場合は、施行可能な病院を紹介いたします。
耳管開放症は最近増加傾向にあります。とくに重い後遺症を残すとか、生命に関わる病気というわけではないのですが、不快感が強いために物事に集中できなくなったり、気分が塞いでしまったりすることもあります。もし、「耳がふさがる感じ」、「自分の声が大きく響く感じ」、「自分の呼吸の音が聞こえる」などでお悩みでしたら、是非耳鼻科で相談することをお勧めします。

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by jibikai | 2012-09-12 19:07 | 耳のはなし | Comments(27)