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耳鼻科と気象病
最近気象病というものに興味を持ち、いろいろネットやら文献で調べたりしているのですが、結構身近な問題なのでご紹介したいと思います。
ご存じの方もあると思うのですが、気象病というのは気圧、湿度、風、気温などなど、刻々と変化する気象状況によって引き起こされる様々な病気のことです。よく言われているのが、前線が通過するとぜんそくが悪化するとか、寒いときには脳卒中や心筋梗塞がふえるというのもそうですし、冬になると気分がふさぐ「冬期うつ病」や、逆に春暖かくなると発症するうつなどもあります。インフルエンザやカゼなどの上気道感染症の流行には空気の乾燥が関係していますから、これらも気象病といえると思います。

さて私が気象病に興味を持ったのかといいますと、別名ストレス難聴といわれる急性低音障害型感音難聴という病気があるのですが、その発症に気象条件が関係しているじゃないかと疑ったからなのでした。低音障害型感音難聴で当院を受診する患者さんは年間で10例から20例、平均すれば月に1〜2例のペースということになりますが、何故か2,3日以内に2,3名続けて診ることがあるのです。
そこで、昨年末までの6年間のデータを調べてみたのが下のグラフです。12月から1月にかけての冬期間は少なくて、春と秋に多く発症している傾向がありますし、年によって多少のばらつきがありますが、毎年似たような傾向がみられたのです。
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文献的にも同じようなことを言っている人がいますし、急性低音障害型感音難聴と同じく「内リンパ水腫」が原因と考えられるメニエール病については、寒冷前線の通過と共に発症するという説もありまして、もしかしたら急性低音障害型感音難聴もまた、気象病なのではと推測したのでした。ところが推測だけなら誰でも出来るわけで、問題はその推測が正しいと証明できるかどうかなのです。
これが実はなかなか大変な話で、とりあえず現在やっているのが気象庁のサイトから6年分の山形市の気温、湿度、気圧などのデータをダウンロードして、それを急性低音障害型感音難聴の患者さんが発症した日に、何か特別な変化がなかったか調べています。気圧は低め、気温は急に上昇した日の発症は多いようなのですが、なかなか統計的に有意差が出ずに、このままではいわゆるネガティブデータになってしまいそうです。

急性低音障害型感音難聴の発症には季節や気象の影響の関与は否定できないものの、それ以上に社会生活におけるストレスとか、本人の性格(几帳面さ)や生活習慣(睡眠不足、運動不足、水分の摂取不足)なども影響しているというのが現在のところの結論です。

何だかとりとめのない話になってしまいましたが、耳鼻科領域では、その他にも鼻出血なども気象と関係がありそうで興味深い分野なので、もう少し研究してみて何か分かりましたらまたこのブログでも紹介したいと思います。

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by jibikai | 2010-03-01 14:31 | 耳鼻科全般 | Comments(10)
uHearによる聴力検査、ヘッドフォンによる違い
今回もiPhoneの無料アプリのuHearについてです。
このソフト、気導だけとは言え、なかなか本格的な聴力検査が出来る優れものですので、iPhoneかiPod touchをお持ちで、聞こえについて関心をお持ちの方は是非試して欲しいと思っています。
(詳しくは、こちらにソフトの説明、使い方のYouTube動画がありますので、ご参照下さい。)

私も、いろいろと検証しているのですが、今回はiPodに標準で付属してきたapple headphoneを使って自分の聞こえを検査してみました。 検査はエアコンのついている院内の自分の部屋で行いましたので、比較的静かな室内という設定です。
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apple headphoneは耳に引っかけるタイプですので、耳の形によっては合わないこともあります。実は私の耳にも合いません。少し浮いた感じで直ぐ落ちるので、せっかく標準で付属してくるのに使った試しがありません。
実際検査した結果が上の写真です。やはり両耳とも低音を中心に実際の聴力よりも悪くでていて、軽度難聴という結果になってしましました。

やはり、きちんと耳に合ったヘッドフォンを使うのが重要なようです。
また、逆に言えばいろんなヘッドフォンを同じ条件で試せば、自分に合う、合わないなどの参考になるかも知れません。

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by jibikai | 2010-01-13 18:11 | 耳のはなし | Comments(2)
iPhone アプリ、uHearを検証する
昨日も紹介しました、自分で聴力検査が出来るiPhone & iPod touch アプリである “uHear"ですが、ちゃんとオージオグラムらしきグラフが描けて、静かな環境であれば聴力検査としてちゃんと使えるのではないかと思っています。例えば患者さんが自宅で聴力を自分でチェックするとか、めまいの患者さんで聴検室での聴力検査が無理でも、病室でベッドに寝ながら聴力を測るとか、往診などでも役立つ可能性があります。

ただしそのためには、iPodやiPhoneとuHear、そしてヘッドフォンの組み合わせで、どの程度の精度があるのかということをきちっと検証していく必要があると思います。

そこで今回は、防音された聴力検査室で、本物のオージオメーターで測った聴力と、uHearを使って測った聴力でどの程度差があるのか自分の耳で検証してみました。なお、本体にはiPod touch(第一世代)、ヘッドフォンはソニー製の3000円位のカナルタイプ(いつも使っていて自分の耳に合うもの)を使いました。
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昨日もアップした画像と同じなのですが、画面だけを切り出してみました。もともとは音圧の目盛りはなく、noumal hearing(正常)、mild loss(軽度難聴)、moderate loss(中等度難聴)、severe loss(高度難聴)、profound loss(聾)を緑、黄緑、黄色、オレンジ、赤という風に色分けで示してあるだけでしたが、およそ想定される音圧(デシベル)を重ねて書いて見ました。
低音から順にグラフを読んでいくと、
右耳が、 10 10 10 15 10 0,  左耳が、10 10 5 5 10 15 デシベルかと思われます。
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さて、こちらは正式なオージオメーターでの聴力像です。普通は一番高い音は8000Hzを使いますが、今回はuHearに合わせて6000Hzの閾値をみました。
右耳が、 10 10 10 15 10 0,  左耳が、15 10 5 5 10 15 デシベルでした。  

両者を比較しますと、左の250Hzの閾値がわずか5dB違っただけでした。聴力検査室という、雑音のない整った環境であればuHearとiPod touch、カナルタイプのヘッドフォンの組み合わせで、かなり正確な聴力検査が出来るという結果でした。

ただし、この組み合わせの弱点としては、前回も書きましたが少しでも雑音のある環境では、低音が特に実際よりも悪く出やすいことです。どの程度の雑音のある環境で、どの程度の誤差が出るのか、また例えば外界の音を遮断する高級なヘッドフォン、さらに高級なノイズキャンセリング機能付きのヘッドフォンならどうかなどを検証していけば、家庭内や病室のベッドサイドなどで使えるかどうかがよりわかるのではないかと思っています。


とりあえず、今日はここまでです。

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by jibikai | 2010-01-08 00:16 | 耳のはなし | Comments(14)
聴力検査アプリ
最近、iPhoneのアプリに興味を持って、特に医療関係のアプリは
iTunes Storeで新作や人気のものを物色しています。特に役立ちそうな
ものは試しにダウンロードして、自分で使ってみます。
iPhoneのアプリは100円から高いのでも1000円ぐらいだし、中には
無料のものもあったりしますので、面白そうなのは直ぐに試せるのが
うれしいです。
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さて、今日紹介したいのは“uHear"というアプリ。 何と無料です!
先日audiometryというアプリを紹介しましたが、これは検査途中で音量を変えられず、聴力閾値(どのぐらい小さい音まで聞こえるか)というよりも、聞こえる音の周波数の幅(低音から高音に至るまでの音域の広さ)を調べるためのものでした。例えば加齢で高音域だけ落ちていることは無いかなどを調べるには良いのですが、閾値を求められないのが大いに不満でした(といいつつ、買ってしまったのですが)。

今回試したアプリ、uHearでは250~6000Hzまで、つまり日常よく聞く音の周波数で、閾値を大まかに示してくれます。しかも使い方は簡単。画面の指示通り本体の音量レベルを50%にして、イヤホンまたはヘッドホン(普段音楽を聴くのに使っているので大丈夫)を選んで装着、あとはスタートを押すと右側から自動で検査が始まります。検査音の周波数は250、500、1000、2000、4000、6000 Hzで、耳鼻科で受ける検査とほとんど同じです。しかも検査音も断続音(プープープーと途切れのある音)と本格的です。

聞こえたら画面に大きく表示されているボタンを押していきます。まず右側から一つの周波数が終わると、次に周波数へと徐々に移っていきます。右側が終われば左側に自動的に切り替わり、左もも同じように検査したら終了です。
しかも結果は耳鼻科で検査を受けた時とほとんど同じ、オージオグラムのような形で出てきます。
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2回とも自分で試した結果です。所要時間は6分程度でした。メニューや指示は英語で提示されますが、難しいことは何もありませんでした。結果は直ぐにほとんどオージオグラムと言っていいようなグラフで示されます。

向かって左のグラフが左耳、右は右耳です。折れ線グラフが閾値で、一番上の緑色のゾーンにあれば正常。左下がりなら低音障害型、右下がりなら高音域の難聴、という風に診断できます。私のデータのうち上の方は低音のみ両側わずかながら正常からはみ出しています。実はこれ、普通にエアコンの回っている部屋で調べたもので、エアコンの音で低音部が聞こえにくかったものと思われました。

そこで、がっちり防音してある聴力検査室でもう一度調べたところでは、正常でした。(下のグラフ)

自分で試した印象としては、かなり使えるし真面目に作ってあるアプリで、患者さんがセルフチェックするのにとどまらず、例えば耳鼻科の医者が往診してベッドサイドでどうしても聴力を調べなくちゃいけない時なんかには重宝するんじゃないかなと思います。

なお、アプリの詳細な情報はこちらまで。

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by jibikai | 2010-01-06 16:01 | 耳のはなし | Comments(3)
iPhone & iPod touchが耳鳴の治療器具に!
今回も耳に関係したiPhoneアプリの紹介です。
iPhoneアプリはiTunesというMacユーザならおなじみのソフトから、iTunes storeに行けばダウンロードできます。毎日多くのアプリケーションがアップロードされていますから、iPhone & iPod touchのユーザなら時々除いてみることをお勧めします。
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さて今日ご紹介するのは、Tinnitus Maskerというアプリです。tinnitusは耳鳴のこと。maskerというのは覆い隠すものということで、要するに音(ノイズ)を聞くことによって耳鳴を軽減しようとするものです。左のダイアルでノイズの種類を、右のダイアルでノイズの流れる時間を設定します。それからボリュームもセットして、後はイヤホンかヘッドフォンを装着するだけです。

そもそも、耳鳴の治療法としてマスカー療法というのがありまして、それは専用の雑音(マスカー)発生装置を使って耳鳴が消える音色、音量の音を一定時間聞くことによって耳鳴を消失させようという治療法です。ただし、専用の雑音発生装置は外国産でして日本では販売しておらず、そのため日本国内では普及しませんでした。
その後、耳鳴の治療としてはTRT(tinnitus retraining therapy)といってカウンセリングで耳鳴に対する過度の不安感や誤解を解きつつ、耳鳴をかき消さない程度のノイズを特製の耳かけ補聴器型の装置で聴いてもらう方法が注目されるようになってきました。しかし、この治療法で使われるサウンドジェネレイター(いわば雑音発生装置)も日本での発売は中止されていましたし、元々6万円以上して健康保険も使えませんでしたから、購入した人は少数と思います。
従来からあるマスカー療法と最近注目のTRTの一番の違いは、カウンセリングの有無と雑音の音量ですが、雑音を聞くことによって耳鳴を聞こえにくくするということは共通してます。いずれも有効とはいわれつつも、実はその割には普及していません。普及へのハードルとなっているのは専用の治療器具(雑音を派生させる装置)が高価で、しかも正規に輸入されておらず入手しづらいことです。
このiPhoneアプリは、音量の調節にコツがいるようで欠点もあるのですが、6万以上もする専用のサウンドジェネレイターの代用になる可能性があります。iPhoneあるいはiPod touchをお持ちの方なら、わずか700円でダウンロードして使えるというのは大きいと思います。

ただし、耳鳴の診断やカウンセリング、治療の実際に対するアドバイスとして、耳鼻科医師の助言は仰ぐべきと思います。耳鳴で悩む方はいきなりこのアプリを使うというよりは、まずは(耳鳴の治療に積極的な)耳鼻科を受診して相談してみることが必要と思います。ただし、いきなり「こういうアプリを使ってみたいのですが・・・」といっても直ぐに理解出来る耳鼻科医は残念ながら少数ですし、何しろ専用の治療器具と違いデータも少ないと思われます。幸い主治医が耳鳴の音響療法に積極的で、このアプリを知っていて、なおかつご本人がiPhoneもしくはiPod touchをお持ちなら、試す高価はある治療法かと思います。

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by jibikai | 2010-01-01 22:13 | 耳のはなし | Comments(4)
iPhone & iPod touchで聴力検査!?
AppleのiPhoneやiPod touchには、サードパーティが色々なアプリケーションを開発しており、MacはもちろんWIndowsでもiTunesがインストールしてあれば、iTunes Storeからダウンロードして直ぐ使うことが出来ます。
有料の物も無料の物もあり、ジャンルもゲームからビジネス用ソフトまで様々です。医学関係のソフトも多数あり、特に医学事典などは定番となっています。

今日はiPhone & iPod touch用医学アプリの中から、ちょっと面白いものを見つけてダウンロードしましたので紹介。
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(画像をクリックすると新規ウインドウが開いて、iTunesがインストールしてあれば自動的に立ち上がります。)

その名も“audiometry"というソフトで、これをインストールするとiPhone & iPod touchが、なんとオージオメーターになります!
詳しいレビューはまた別の機会に書きますが、検査開始するとイヤホン(もしくはヘッドフォン)から、まずは左のヘッドホンから周波数20 Hzの音が出ます。聞こえれば“Yes"、聞こえなければ“No"をタッチします。次に右のヘッドホンから20 Hzの音が出ます。YesかNoをタッチすると、次の周波数に移ります。これを繰り返していくと、聞こえた音、聞こえなかった音がディスプレイに表示されて結果を記録することも出来ます。

もしかしたらiPhoneか iPod touchとヘッドフォンを持って行けば、在宅で聴力検査が出来て、往診などでは重宝するのでは、あるいは学校健診などでも使えるのではと思いダウンロードしてみたのでした。ただ、欠点として音圧(音量)が全ての周波数、また左右で一定になってしまうことなのです。何デシベルとまでは行かないまでも、おおよその聴力レベルが測定出来ればすごく良いのになと思いました。結局“モスキート音”が聞こえる、聞こえない的な検査になっているところが残念です。

それでも音量をうまく調整すれば、聴力の左右差を見るとか、ある特定の周波数が聞こえないなどの異常は検出できるかも知れません。

もう少し使い込んだら、続報をアップしたいと思います。

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by jibikai | 2009-12-29 23:56 | 耳のはなし | Comments(2)
耳垢を取るための器具たち
さて、今回は耳垢を取るためのいろんな道具についてお話ししたいと思います。

耳垢というのは前回お話ししましたとおり、湿型のものもあれば乾型のものもあります。貯まり方もパラパラっと外耳道に転がっているようなのもあれば、耳栓をしたかのようにぎゅうぎゅう詰めになっているのもあります。また外耳道の形や広さの微妙な違いもあり、単なる耳かす取りとはいえ、難易度は簡単なものから、ちょっとした手術何かよりも大変なものまで千差万別なのです。

とまあ、いろいろと例外的なケースも多い耳垢の状態なのですが、まずは一般的な耳垢の場合、耳鼻科ではどんな道具で取っているのか、ご紹介したいと思います。

まずは、手術用顕微鏡。
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「手術用」とはいいますが、手術室のみならず実は外来で使われることも多いです。
耳の中を拡大するのと同時に、ライトを当てて明るく見られるようにしてあります。

もちろん額帯鏡で耳の中を照らしながら、肉眼で耳垢を取ることも可能ですが、やはり手術用顕微鏡を使った方が丁寧に除去することが出来ます。

顕微鏡を使うにしても肉眼で見るにしても、耳の入り口の邪魔な毛をよけたり、耳垢を取るための器具から外耳道を守ったりするためには耳鏡は必須です。
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耳垢を取ったり耳の処置をしたりするときには右手を使いますので、左手だけで耳鏡を操作するテクニックは、耳鼻科医にとって必須です。(テクニックというには、かなり地味なんですが・・・)

さて、耳鏡や顕微鏡を使って良く耳の中が見えるようしてから、いよいよ耳垢を取り除く作業に取りかかります。
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私の場合、上のような器械(道具)を使い耳垢を取りますが、それぞれについて簡単に説明を。

【耳垢鉗子】:じこうかんし
先端はスプーン状あるいはギザギザになっており、そこで耳垢を挟んで外耳道が引きずり出します。ぎっしり詰まっているような耳垢でも、乾性の場合で一塊になっていれば一発で耳垢が取れることもあります。しかし、外耳道にこびりついているような時や、湿性耳垢、まん丸になっている耳垢ではなかなか掴みにくく、その場合は少しずつ取るしかありません。

【耳用小鈎】:じようしょうこう
先端が鈎状になっており、ここで耳垢を引っかけて手前へと引っ張り出すのに使います。耳垢が丸く固まっていてつかみ所がない時でも使えるのが利点ですが、鈎の先は鋭利になっているので、暴れる子供などですと外耳道を傷つけることもあるので、結構使うのが難しいこともあります。
じっとしていられる人であれば結構有効な器具です。

【吸引管】:きゅういんかん
細かくなった乾型耳垢や湿型耳垢を、吸い込むようにして取ります。耳垢が堅くこびりついていて、うまく吸えない時などは、耳垢水という液体を耳の中に入れて、耳垢を柔らかくしてから吸い出すこともしばしば行います。

【その他】
その他、耳垢を取るのに使う道具としては耳用水銃といって耳の中に勢いよく水を入れる水鉄砲みたいな器具や、綿棒などがあります。

以上のような器械を駆使して耳垢を取るのですが、耳垢を取るのはやはり耳鼻科でなければ難しいでしょう。また耳垢を取る必要があるのは、例えば難聴や耳の違和感となっている場合はもちろん、耳の診察の際は耳垢による症状が何もなくても取らなくてはなりません。この頃、よく“風邪”を診てもらったついでに、耳も小児科で診てもらったというお子さんもいます。確かに外耳道が広くて耳垢もなければ、小児科でも鼓膜まで見えることもあるんでしょうが、耳垢があれば診断困難ですし、一言で中耳炎の鼓膜所見といってもいろんなバリエーションがあります。小児科で分かるのは、幸運にも耳垢がなかったとしても、せいぜい鼓膜が赤いかどうかのレベル。やはり中耳炎の疑いがある場合などは、耳鼻科できちんとした診断を受ける必要があるのです。
極端な考えの小児科医になりますと「中耳炎で耳鼻科にかかるな。」と指導するところもあるようですが、耳の心配があれば小児科の主治医が何と言おうと、耳鼻科も受診することを勧めます。

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by jibikai | 2009-11-13 17:26 | 耳鼻科医のお道具箱 | Comments(10)
耳垢の話 〜耳垢の種類と地域分布〜
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西蔵王の紅葉10月15日撮影
山の紅葉はやはり平地よりも早くて、10月半ばには中腹まですすんでおりました。今はもうほとんど落葉して、雪の季節を迎える頃でしょう。



さて、耳垢の話は身近なことだけにみなさん何らかの関心がおありのようですが、前回もお話ししました通り、なかなか奥が深い話題ですので、何回かに分けてお話ししていきたいと思います。

早速ですが、今回は耳垢の種類(型)と地域分布についてです。

耳垢(じこう;みみあか)には二つのタイプがあることは、ご存じの方も多いかと思います。一つは湿型といって茶色でネバネバしているタイプ、もう一つは乾型といって肌色でカサカサしたタイプです。湿型になるか乾型になるかは大分前から、“メンデルの法則”に従って遺伝することが知られていました。例えば、両親が湿型なら子供はみんな湿型。両親のどちらかが湿型でもう一方が乾型なら子供は湿型も乾型もあり。両親とも乾型ならば子供は全員乾型になるという具合です。

また、湿型が多いか乾型が多いかというのは地域によってもばらつきがあって、世界レベルで見ると湿型が多いのはアフリカやヨーロッパなどで、アメリカ大陸でもアラスカや南米、東アジアには乾型が多いとのことです。我が日本は圧倒的に乾型優位の国で、人口の80%程度は乾型です。しかし、祖先が古くから日本国内にいたといわれる北海道のアイヌ民族や沖縄などは例外的に湿型が多いそうです。

また、湿型の耳垢の人は汗腺のうちでもアポクリン腺という臭いのある汗を作るところが発達していますから、わきがの人が多いということが知られていました。

さて、以上のようなことは以前からいわれていたのですが、それを裏付ける大発見が21世紀になってからありました。詳しくはリンク先である、「耳垢と抗がん剤」
ヒトの耳垢型がABCC11遺伝子の一塩基の変化で決定されることを発見
というページをみていただきたいのですが、ちょっと難しいので、かいつまんで要点を書きます。

「耳垢が湿型になるか乾型になるかは、16番染色体上のABCC11配列のたった一つの塩基の違いで決まる。」

「もともと人類は全て湿型であったが、約二万年前の最終氷河期にバイカル湖付近で、あるたった一人の祖先に湿型から乾型の遺伝子変化が起き、その後、乾型遺伝子が世界中に拡散した。」

「このたった一人の変異した遺伝子が、乾型の、耳垢を示す現在の日本人の80 %以上に受け継がれてきている。」


ということなのです。

ということは、乾型の耳垢の人の祖先はたどっていくと2万年前にバイカル湖付近にいたある一人の人物ということで、乾型の耳垢の人同士は、あなたも、そしてあなたもアラスカのエスキモーも南アメリカ大陸のインディオもみんな親戚ということになるわけです。

たかが耳垢とは侮れない、なんと壮大な話しだとは思いませんか?
今日はこの辺で終わりにしますが、耳垢の話しもう少し続きます。
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by jibikai | 2009-11-09 18:27 | 耳のはなし | Comments(6)
耳鏡(じきょう)
耳鼻科医のこだわりの逸品? を紹介していくカテゴリ;「耳鼻科医のお道具箱」ですが、しばらくお休みをしておりまして、この前はいつ「お道具箱」の記事を書いたのかさえ思い出せません(汗)
もともとこの「耳鼻科医のお道具箱」というカテゴリを作ったのは、耳鼻科の診療やその他色んなお仕事を知ってもらい、耳鼻科に対する恐怖心を払拭していこうというのが狙いでした。

元々このブログの趣旨も、耳鼻科に対する理解を深めてもらおうというのが第一でして、もう一度初心に戻り、耳鼻科で使われている器具や機械などについても、また時々お話ししていきたいと思います。

(写真も自分で撮っていきますので、その辺も見ていただけると嬉しいです。)

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で、復活第一弾は 耳鼻科診療には欠かせないアイテムである「耳鏡」です。“じきょう”と言うのが正式ですが、あえて現場では“みみきょう”と湯桶読みすることも多いです。

耳鏡は耳の中を診るのに使いますが、耳の中は暗いので何らかの方法で耳の中を明るく照らす方法が必要です。それには額帯鏡や光源付きの手術用顕微鏡などが使われます。もっと簡単な方法としては、耳鏡に光源が付いていて耳の中を照らせるものもありますが、片手で操作しづらいのが欠点です。

耳鼻科では耳鏡で耳の中を観察して診断していくことのみならず、必要に応じて耳垢を取ったり、耳の中に薬を付けたり、さらには鼓膜切開やチュービングも行います。

そういった耳鏡を使った耳の処置や手術のなかで、最も基本的なものはやはり耳垢の除去ということになります。実はこの耳垢除去、平たくいえば“耳掃除”ということになりますが、非常に奥が深く難しいケースもあり、
たかが耳垢、されど耳垢というところです。

ということで次回は、耳垢についてお話ししたいと思います

今回はこの辺で・・・

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by jibikai | 2009-11-06 18:45 | 耳鼻科医のお道具箱 | Comments(8)
急性低音障害型感音難聴の疫学〜当院のデータより・その4〜
急性低音障害型感音難聴とは、突然始まる耳のつまる感じや難聴、耳鳴りなどを主症状とした、内耳性の難聴です。特にストレスとの関連も高いと言われておりますが、実際どの程度の割合の方でストレスがあったのかをみてみました。今回も対象とした症例は2004年から2008年までの5年間に、当院で治療した急性低音障害型感音難聴確実例です。
なお、関連記事は下記をご参照下さい。
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急性低音障害型感音難聴についての疑問点
急性低音障害型感音難聴の疫学〜当院のデータより・その1〜
急性低音障害型感音難聴の疫学〜当院のデータより・その2〜
急性低音障害型感音難聴の疫学〜当院のデータより・その3〜
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さて、急性低音障害型感音難聴例85例中、発症の直前に何らかのストレスを自覚されていた方というのは、15名でした。パーセンテージで示しますと18 %で、自覚しているストレスの原因としては、「仕事」、「育児」、「受験」などをあげる方が多かったです。
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この18 %という数値は、私の予想よりは若干少なめなのですが、もしかしたら、自覚していない様なストレスのある方はもっと多いのかもしれません。

その他には、パニック障害や不安神経症などを合併している方も少数ながらあり、こちらもストレスによる自律神経症状などを伴いますから、急性低音障害型感音難聴の発症に影響し合っている可能性は考えられるかと思います。

では、今日はこの辺で。

急性低音障害型感音難聴の話はもう少し続けます。

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by jibikai | 2009-08-20 12:39 | 耳のはなし | Comments(11)