急性低音障害型感音難聴とは?
2009年 07月 20日
かつては低音障害型突発難聴と呼ばれたこともあるようですが、最近では、突発性難聴とは区別して、急性低音障害型感音難聴に統一されてきているようです。
低音域というのは周波数でいうと、125 Hz(ヘルツ)、250 Hz、500 Hzです。人の話し声が500 Hzですから、それ以下の周波数ということになります。
感音難聴というのは伝音難聴に対する言葉で、部位的には内耳から聴神経、頭蓋内の聴覚路での異常で生じる難聴のタイプです。ちなみに、伝音難聴は外耳や中耳の異常で生じます。(下図参照)
ある日突然、急に聞こえの悪くなる感音難聴としては、突発性難聴というものが以前よりあり、急性低音障害型感音難聴もこの範疇に含められていました。しかし症状として「耳閉感(じへいかん;耳のつまる感じ)」が多いことや、突発性難聴よりも治りやすいなど、病態が異なることから、最近では別の病気と考えられるようになりました。
急性低音障害型感音難聴には、その他にもいろいろな特徴があります。
まずなりやすい人ですが、男性よりも女性に多く、年代も働き盛りの世代に多いといわれています。直接の原因は不明なのですが、内耳で起こっているトラブルの原因は内リンパ水腫が考えられています。またストレスが発症の引き金となっているケースが多い特徴があります。
経過ですが、突発性難聴よりははるかに治りやすく、数日以内に治ってくる人が多いのですが、途中で聴力が変動したり、一旦治ってから再発する人もいます。また、両側同時に発症することもあります。また、メニエール病に移行するケースもあります。
治療は、以前は突発性難聴に準じてステロイドを使うことが多かったと思いますが、最近ではイソバイドなどの高浸透圧利尿剤を使う方が多いかも知れません。ただし、直接の原因は不明な疾患なので、なかなかどれが正解ということは言えないようです。
それから薬の治療以外、もしかしたらそれ以上に大事なことは、ストレスや寝不足、過労を避けることです。
急性低音障害型感音難聴の特徴としては、ここまでお話ししましたように
「耳閉感を訴える人が多い。」
「働き盛りに多い。」
「女性に多い。」
「原因としては内リンパ水腫が考えられているが、内リンパ水腫が出来る理由は不明。」
「比較的治りは良いが、再発することもある。」
などがあげられます。
ただし、比較的新しい疾患概念なのでまだまだ分からないこともあります。そこで、当院で治療した急性低音障害型感音難聴の症例について以前からまとめようと考えていました。しばらく滞っていましたが、ようやく少しずつ形になってきましたので、そのデータと、私の意見について次回からご紹介していきたいと思います。
=============================
ブログランキングに参加しています!
このブログが参考になると思ったらクリックして下さい!
(アイコンをクリックするとランキングのページにジャンプします。
そしてなんと!耳鼻科医に10ポイントが入ります!!)
=============================
【お知らせとお願い】
いわゆる医療相談につきましては、誤解を招く恐れ、また実際の治療の妨げになる懸念があるため、お受けしておりません。
例えコメント欄に個々の診断や治療方針についての質問を書き込まれましても、一切返答いたしませんので、ご了承ください。
また、医療相談と判断したコメントにつきましては、こちらの判断にて削除することがございますが、ご了承下さい。
とても参考になる情報をありがとうございます。
実は年明けから突発性難聴のような症状が出ており、意見を聴かせていただきたく書き込みさせてもらいました。
最初は、朝目覚めると、頭がぼわーんとし、音が響いて聞こえにくい感じと耳閉感があったので耳鼻科を受診しました。聴力検査をすると右耳の低音域が左耳より悪く(ぎりぎり正常の範囲内)突発性難聴と診察されました。プレドニン、メチコバール、アデホスコーワを処方され1週間で聴力は回復、2週間で多少の耳閉感が残るのみだったので治療終了。
ところが6週間後に耳閉感と起床時に頭のぼわーんとする感じが再来したので受診したところ、聴力に異常はなかったもののメニエール病の可能性があるということで、イソバイドを処方されました。
これまでにめまいはなく急性低音障害型感音難聴かも、と思っているのですが、詳しい検査を受けた方が良いのでしょうか?それともこのまま症状が出た時のみ受診し、様子を見ていればよいものでしょうか。
検査所見もにていますし、一部オーバーラップするところもあります。
現時点では判別のしようがないこと、よく分かりました。
これらの病気とのつきあい方としては、「ストレスを溜めないように気をつけて、有酸素運動を心がける。それでも症状が出たらその都度症状に対処する(対症療法)」と考えておいて差し支えないでしょうか。
それとも、先行して行える治療法などはあるのでしょうか。
イソバイドをどの程度続けるかは、専門家の間でも、実は議論のあるところです。
その他に予防的に何かというと、やはり有酸素運動とストレス解消ということに
なると思います。
自分でもできる予防法を確認でき、安心することができました。有酸素運動用に、まずはスポーツバイクを買ってサイクリングを楽しもうと思います。
このサイトで、耳の不調の仕組みや性質も知ることができたので、本当に助かりました!
先日『低音型突発性難聴』と診断されました。
音が響く、声が響く、閉塞感という症状が出てから半年以上経っていますが、回復は望めるでしょうか?
耳鼻科の先生は『治るから心配ない』と言って下さいましたが、低音部が50db位まで落ちてます。
【一週間前に違う耳鼻科で検査した時は35db位でした】
アデホスコーワ、メチコバールを服用して12日、イソバイドを追加して2日、耳に響く感じが強くなってます。
他には耳を触ると響く、耳を指で塞いでもシッカリ塞がった感じがしない、風が当っても感じないというような症状があります。
ティンパノメトリーでは異常がないので耳管閉塞はないとの事でした。
色々書いてしまいましたが
診断は『低音型突発性難聴』で間違いないでしょうか?
回復はするでしょうか?
どうか回答頂けますよう、宜しくお願い致します。
確かにそうですよね、ツイ不安で変な質問の仕方をして申し訳ありませんでした。
先日からステロイドを追加しましたが、3日目には元に戻ってしまいまして、こんな事があると又不安になってしまいますが、治ると信じて頑張ります。
有り難うございました。
また質問させて頂くこともあるかと思います、宜しくお願い致します。
聴力検査、鼓膜の視診で異常なしと診断されたにもかかわらず、
なぜ、「取り合ってもらえなかった。」ということになるのでしょうか?
医者の立場からすれば、それで診察料をいただくのは当然のことなのですが。
それで希望が叶わないのであれば、医師を替えることでしょう
確かに患者さん本人は聞こえの異常を感じるのに、鼓膜の所見と聴力検査には異常がでないこと
はあります。
まず、一般的な聴力検査(標準純音聴力検査)ですが、正常と言っても20dB程度の幅があります。
ですから、もともと0 dBで聞こえていたのが、ある周波数が突然20dBとなれば自覚的には
異常を感じると思われますが、その一方で聴力検査では正常範囲内と診断される可能性は
あります。
また標準純音聴力検査では1オクターブ間隔で検査するのですが、その中間の特定の
周波数の音だけが聞こえない場合は、異常が隠されてしまうということになります。
これを診断するには連続周波数の
自記オージオグラムというのでないと無理です。開業医でそれを出来るところは少ないですが、
地域の中核病院レベルか大学病院であれば受けられ、さほど苦痛を伴うものでもありません。
(続く)
さらに詳しく調べるとすれば、ABRといって音を聞いている時の脳波を測定する検査、
あるいはMRIが考えられます。
また聞こえの違和感のみで、鼓膜、聴力そのほかの検査で異常のでない病気としては
耳管開放症というのもあります。
鼓膜などの視診と聴力検査だけで「異常なし。」とするか、さらに詳しい検査するか、
他の病院の耳鼻科などを紹介するかの判断は、医師の判断と患者さんの希望にも依ると思います。
「異常なし。」といわれて安心する方には、難聴が起こってこないか、定期的に聴力のチェックを続けて経過を見ていく方が一般的ですし、症状があるのに原因不明では不安だという方には精密検査を
勧めていくということになろうかと思います。
精密検査をするにしても、聴力で経過をみて行くにしても、診療科は耳鼻咽喉科です。
記事が役に立ったようで良かったです。
昨年11月に耳閉感、耳鳴りがあり受診したところ低音障害と診断されました。
ステロイドや、イソバイトにトリノシンなどメニエールにも効く薬を処方され内服。
ようやく聴力は左右一緒になってきました。
耳鼻科からは、これで一旦終了ですねと言われ帰宅。
が、電話を掛けた際に聞こえる「プルルル」という音の聞こえ方(高さ)が違うことに気づき
不安になり調べていたところこちらのページを拝見し
ご意見いただければと思い投稿させていただきました。