耳垢の話 〜耳垢の種類と地域分布〜
2009年 11月 09日

山の紅葉はやはり平地よりも早くて、10月半ばには中腹まですすんでおりました。今はもうほとんど落葉して、雪の季節を迎える頃でしょう。
さて、耳垢の話は身近なことだけにみなさん何らかの関心がおありのようですが、前回もお話ししました通り、なかなか奥が深い話題ですので、何回かに分けてお話ししていきたいと思います。
早速ですが、今回は耳垢の種類(型)と地域分布についてです。
耳垢(じこう;みみあか)には二つのタイプがあることは、ご存じの方も多いかと思います。一つは湿型といって茶色でネバネバしているタイプ、もう一つは乾型といって肌色でカサカサしたタイプです。湿型になるか乾型になるかは大分前から、“メンデルの法則”に従って遺伝することが知られていました。例えば、両親が湿型なら子供はみんな湿型。両親のどちらかが湿型でもう一方が乾型なら子供は湿型も乾型もあり。両親とも乾型ならば子供は全員乾型になるという具合です。
また、湿型が多いか乾型が多いかというのは地域によってもばらつきがあって、世界レベルで見ると湿型が多いのはアフリカやヨーロッパなどで、アメリカ大陸でもアラスカや南米、東アジアには乾型が多いとのことです。我が日本は圧倒的に乾型優位の国で、人口の80%程度は乾型です。しかし、祖先が古くから日本国内にいたといわれる北海道のアイヌ民族や沖縄などは例外的に湿型が多いそうです。
また、湿型の耳垢の人は汗腺のうちでもアポクリン腺という臭いのある汗を作るところが発達していますから、わきがの人が多いということが知られていました。
さて、以上のようなことは以前からいわれていたのですが、それを裏付ける大発見が21世紀になってからありました。詳しくはリンク先である、「耳垢と抗がん剤」
ヒトの耳垢型がABCC11遺伝子の一塩基の変化で決定されることを発見
というページをみていただきたいのですが、ちょっと難しいので、かいつまんで要点を書きます。
「耳垢が湿型になるか乾型になるかは、16番染色体上のABCC11配列のたった一つの塩基の違いで決まる。」
「もともと人類は全て湿型であったが、約二万年前の最終氷河期にバイカル湖付近で、あるたった一人の祖先に湿型から乾型の遺伝子変化が起き、その後、乾型遺伝子が世界中に拡散した。」
「このたった一人の変異した遺伝子が、乾型の、耳垢を示す現在の日本人の80 %以上に受け継がれてきている。」
ということなのです。
ということは、乾型の耳垢の人の祖先はたどっていくと2万年前にバイカル湖付近にいたある一人の人物ということで、乾型の耳垢の人同士は、あなたも、そしてあなたもアラスカのエスキモーも南アメリカ大陸のインディオもみんな親戚ということになるわけです。
たかが耳垢とは侮れない、なんと壮大な話しだとは思いませんか?
今日はこの辺で終わりにしますが、耳垢の話しもう少し続きます。
=============================

宜しければご協力を!
(アイコンをクリックするとランキングのページにジャンプします。
そしてなんと!耳鼻科医に10ポイントが入ります!!)
=============================
私は耳垢が乾いてぱさぱさ、というタイプです。
だから、耳鼻科の先生が耳垢を取るときに、一気に崩さず(?)にとって下さるのが、「すごいぃい!!」って思うんです。
ところで、わきがのお話が出たので思い出したのですが、日本人でわきがの人は10パーセント程度、白人は80~90パーセント、黒人は100パーセントという統計があることを、知りました。
わきがの手術を受けても、残念ながら自臭症や対人恐怖症などが残ってしまう人には、このお話をしながら、「まったくの無臭の人なんていないんですよ」「においのする人のほうが、全世界的には多いんですよ」と心理療法的なことを行う先生もいるとか。
(私は素人なので、論理に飛躍があるかもしれませんが)日本人の耳や汗の体質(?)には、そういう理由があった(のかもしれない)ですね。
確かに日本人は体臭の少ない人の割合が多い民族ということが言えるかと思いますが、それはもちろん乾性耳垢の割合が多いことと無関係ではないです。
自己臭症は、耳鼻科領域だと口臭を気にされる人が多いです。原因となっている異常があることもありますが、そうでないこともあります。

顔の特徴についてはよく知らないのですが、同じ日本人でも
何系統化に分けられるんでしょうね。
自分の特徴もずうっと前の祖先から受け継がれてきていると
思うとちょっと感慨深くあったりもします。

わたしは片方は乾燥していて、片方は湿系タイプです。