耳垢を取るための器具たち
2009年 11月 13日
耳垢というのは前回お話ししましたとおり、湿型のものもあれば乾型のものもあります。貯まり方もパラパラっと外耳道に転がっているようなのもあれば、耳栓をしたかのようにぎゅうぎゅう詰めになっているのもあります。また外耳道の形や広さの微妙な違いもあり、単なる耳かす取りとはいえ、難易度は簡単なものから、ちょっとした手術何かよりも大変なものまで千差万別なのです。
とまあ、いろいろと例外的なケースも多い耳垢の状態なのですが、まずは一般的な耳垢の場合、耳鼻科ではどんな道具で取っているのか、ご紹介したいと思います。
まずは、手術用顕微鏡。
「手術用」とはいいますが、手術室のみならず実は外来で使われることも多いです。
耳の中を拡大するのと同時に、ライトを当てて明るく見られるようにしてあります。
もちろん額帯鏡で耳の中を照らしながら、肉眼で耳垢を取ることも可能ですが、やはり手術用顕微鏡を使った方が丁寧に除去することが出来ます。
顕微鏡を使うにしても肉眼で見るにしても、耳の入り口の邪魔な毛をよけたり、耳垢を取るための器具から外耳道を守ったりするためには耳鏡は必須です。
さて、耳鏡や顕微鏡を使って良く耳の中が見えるようしてから、いよいよ耳垢を取り除く作業に取りかかります。
私の場合、上のような器械(道具)を使い耳垢を取りますが、それぞれについて簡単に説明を。
【耳垢鉗子】:じこうかんし
先端はスプーン状あるいはギザギザになっており、そこで耳垢を挟んで外耳道が引きずり出します。ぎっしり詰まっているような耳垢でも、乾性の場合で一塊になっていれば一発で耳垢が取れることもあります。しかし、外耳道にこびりついているような時や、湿性耳垢、まん丸になっている耳垢ではなかなか掴みにくく、その場合は少しずつ取るしかありません。
【耳用小鈎】:じようしょうこう
先端が鈎状になっており、ここで耳垢を引っかけて手前へと引っ張り出すのに使います。耳垢が丸く固まっていてつかみ所がない時でも使えるのが利点ですが、鈎の先は鋭利になっているので、暴れる子供などですと外耳道を傷つけることもあるので、結構使うのが難しいこともあります。
じっとしていられる人であれば結構有効な器具です。
【吸引管】:きゅういんかん
細かくなった乾型耳垢や湿型耳垢を、吸い込むようにして取ります。耳垢が堅くこびりついていて、うまく吸えない時などは、耳垢水という液体を耳の中に入れて、耳垢を柔らかくしてから吸い出すこともしばしば行います。
【その他】
その他、耳垢を取るのに使う道具としては耳用水銃といって耳の中に勢いよく水を入れる水鉄砲みたいな器具や、綿棒などがあります。
以上のような器械を駆使して耳垢を取るのですが、耳垢を取るのはやはり耳鼻科でなければ難しいでしょう。また耳垢を取る必要があるのは、例えば難聴や耳の違和感となっている場合はもちろん、耳の診察の際は耳垢による症状が何もなくても取らなくてはなりません。この頃、よく“風邪”を診てもらったついでに、耳も小児科で診てもらったというお子さんもいます。確かに外耳道が広くて耳垢もなければ、小児科でも鼓膜まで見えることもあるんでしょうが、耳垢があれば診断困難ですし、一言で中耳炎の鼓膜所見といってもいろんなバリエーションがあります。小児科で分かるのは、幸運にも耳垢がなかったとしても、せいぜい鼓膜が赤いかどうかのレベル。やはり中耳炎の疑いがある場合などは、耳鼻科できちんとした診断を受ける必要があるのです。
極端な考えの小児科医になりますと「中耳炎で耳鼻科にかかるな。」と指導するところもあるようですが、耳の心配があれば小児科の主治医が何と言おうと、耳鼻科も受診することを勧めます。
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外耳道はS字型になっており、約3~3.5センチしかないデリケートな通り道。専門家の耳鼻咽喉科医師に耳垢をみてもらうのがベストでしょうに((+_+))
小児科医も耳の中を見ることが出来るようになったようです。
それはそれで良いのですが、鼓膜がちらっと見えただけで中耳炎の診療も
自分の所でできると思うのは傲慢じゃないかなと思います。
さすがに耳鼻科に行かないよう指導する小児科医というのは、まれだとは
思うのですが、患者さんには正しい知識を持って欲しいと
思い記事にしてみました。
耳鼻科に対する恐怖心を取り除こうと、色々と情報開示しているつもりですが、
逆効果だったみたいですね(苦笑)。
それでも出来る限り苦痛なく治療が受けていただけるよう、精進したいと思います!
こんなので取り除くんですか(@_@。
補聴器のハウリング
最近、聞こえにくいと来店された方に
よく耳垢が壁に!!(-_-)という方が・・・
耳鼻(咽喉)科に行ってもらうように
していますが、
こんな目にあってるんですね(@_@。!!
(半分冗談、半分本気です。。。笑)
耳かすとりは耳鼻科の大事な仕事の一つで、これが出来ないことには
耳の診察が出来ないのです。そういえば、一度イヤーモールドの型が
取れなくなって補聴器店の方付き添いでいらっしゃった患者さんが
ありました。同じような器械で取るのですが、結局外来では痛みが
強くてと切れず、病院にお願いしたことはありました。
う〜ん、耳垢の掃除ができないとは、一体どういうことだったのかちょっと想像もできないのですが、基本的は耳垢だけの問題であろうが、何か他に耳の病気があろうが、診察の時には耳垢は取るのが一般的です。