新型インフルエンザの予防接種-よくある質問とその答え-
2009年 11月 17日
1. 新型インフルエンザワクチンの一般的情報
(問1)今回の新型インフルエンザワクチン接種の目的は何ですか?
今回の新型インフルエンザウイルスは、感染力は強いのですが、多くの感染者はかかっても軽症のまま回復しています。また、タミフル等の治療薬も有効です。
ただし、国民の大多数に免疫がなく、感染が拡大する可能性があることや、糖尿病やぜん息などの基礎疾患がある方や妊婦の方などが重症化する可能性があることが懸念されています。
今回の新型インフルエンザワクチンの接種は、死亡者や重症者の発生をできる限り減らすことと、こうした患者が集中発生して医療機関が混乱することを防ぐことを目的としています。
(問2)新型インフルエンザワクチンの接種は何回受ければよいのでしょうか?
2009年10月20日時点では、13歳未満の方は2回接種です。
(問3)新型インフルエンザワクチンの接種を受けることが適当でない人や接種時に注意が必要な人はありますか?
【予防接種を受けることが不適当と考えられる方】
新型インフルエンザワクチンの予防接種が不適当と考えられる方は、基本的に季節性インフルエンザワクチンと同様に以下のように考えられます。
明らかな発熱を呈している方
重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな方
接種を行う新型インフルエンザワクチンの成分によってアナフィラキシーを呈したことがあることが明らかな方
上記に掲げる方のほか、予防接種を行うことが不適当な状態にある方
【接種要注意者 (接種の判断を行うに際し、注意を要する方)】
次のいずれかに該当すると認められる場合は、医師が健康状態及び体質を勘案し、診察及び接種適否の判断を慎重に行うなど、注意して接種します。
心臓血管系疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、血液疾患、発育障害等の基礎疾患を有する方
以前の予防接種で接種後2日以内に発熱のみられた方及び全身性発疹等のアレルギーを疑う症状を呈したことがある方
過去にけいれんの既往のある方
過去に免疫不全の診断がなされている方及び近親者に先天性免疫不全症の方がいる方
気管支喘息のある方
本剤の成分又は鶏卵、鶏肉、その他鶏由来のものに対してアレルギーを呈するおそれのある方
(問4)新型インフルエンザに感染した人でも、新型インフルエンザワクチンの接種が必要ですか?
一般的に、新型インフルエンザに感染して発症した方は、免疫を持っていると考えられるため、予防接種をする必要はないと考えられます。
(問5)1回目と2回目の接種の間はどのくらいあけたらいいのですか?
1~4週間の間隔ですが、4週間近くの方が免疫は高まりやすいと考えられます。
ただし、流行の状況をみて早めに2回目を行った方が良い場合もあります。
2. 季節性インフルエンザワクチンとの関係
(問1)季節性インフルエンザワクチンと新型インフルエンザワクチンは同時に接種できますか?
既存の製法による国内ワクチンと季節性インフルエンザワクチンの同時接種については、医師が必要と認めた場合には実施可能と考えられています。
3. 新型インフルエンザワクチンの有効性・安全性
(問1)インフルエンザワクチンでどのような効果が期待できますか?
一般的に、インフルエンザワクチンは、重症化防止効果や発症予防効果が期待されていますが、感染防止効果については保証されておりません。
(問2)新型インフルエンザワクチンの接種によって引き起こされる症状(副反応)にはどのようなものがありますか?
季節性インフルエンザワクチンの場合、比較的頻度が高い副反応としては、接種した部位(局所)の発赤・腫脹、疼痛などがあげられます。また、全身性の反応としては、発熱、頭痛、悪寒、倦怠感などが見られます。さらに、まれに、ワクチンに対するアレルギー反応(発疹、じんましん、発赤と掻痒感)が見られることがあります。
接種局所の発赤、腫脹、疼痛は、接種を受けられた方の10~20%に起こりますが、2~3日で消失します。全身性の反応は、接種を受けられた方の5~10%にみられ、2~3日で消失します。
その他に、因果関係は必ずしも明らかではありませんが、ギランバレー症候群、急性脳症、急性散在性脳脊髄炎、けいれん、肝機能障害、喘息発作、紫斑などの報告がまれにあります。
今回の新型インフルエンザワクチンも程度の問題はありますが、同様の副反応が予想されます
(問3)インフルエンザワクチンで著しい健康被害が発生した場合は、どのような対応がなされるのですか?
国家賠償法の範囲内で、国が補償することになっています。
(接種した医療機関や製薬会社ではありません。)
(問4)ワクチンの効果はどのくらい持続しますか?
ワクチンの予防効果が期待できるのは接種後2週から5カ月程度と考えられております。
(問5)他のワクチンを最近接種しました。新型インフルエンザワクチンを接種するには、間隔はあけないといけないのですか?
生ワクチン※1の接種を受けた者は、通常、27日以上、また他の不活化ワクチン※2の接種を受けた者は、通常、6日以上間隔をおく必要があります
※1)生ワクチン;BCG, ポリオ, 麻しん風しん混合(MR), 麻しん(はしか), 風しん など
※2)不活化ワクチン;DPT/DT, 日本脳炎, インフルエンザ, B型肝炎, 肺炎球菌 など
(問6)新型インフルエンザワクチンと他のワクチンは同時に接種することができますか
同時も可能ですが、1週間程度空けることを勧めています。
4. 妊婦について
(問1)妊婦に対してもワクチンを接種することができるのですか?催奇形性はないのですか?
日本で使用されるインフルエンザワクチンは、生ワクチンではないので妊婦に対して特別に重篤な副作用は起こらないと考えられ、一般的に妊娠中の全ての時期において接種可能であるとされています。
また、妊娠初期に従来のインフルエンザワクチンを接種しても奇形のリスクがないという研究結果もあります。
(問2)授乳中にインフルエンザワクチンを接種しても問題はありませんか?
授乳期間中でも、インフルエンザワクチンを接種しても支障はありません。母乳を介してお子さんに影響を与えることはありません。
5. ワクチン優先接種対象者
(問1)新型インフルエンザワクチンの優先接種対象となるのはどのような人でしょうか?
インフルエンザ患者の診療に直接従事する医療従事者(救急隊員を含む)
妊婦及び基礎疾患を有する方
1歳から小学校3年生に相当する年齢の小児
1歳未満の小児の保護者、優先接種者のうち、予防接種が受けられない方の保護者等
(その他の対象者) ○小学校4年生から6年生、中学生、高校生に相当する年齢の者 ○高齢者(65歳以上)
(問2)優先接種対象ではない人は接種できないのですか?優先接種対象者は新型インフルエンザワクチンを接種しなくてはいけないのですか?
優先的な接種対象者以外の方々についても、優先接種が終了次第、希望者が接種を受けられるようにする必要はあると考えており、今後の流行の状況、接種の状況や供給量なども踏まえ、対応していきます。
今回の新型インフルエンザワクチン接種については、あくまでも個人の意思が尊重されます。優先接種対象者についても、接種義務が生じるものではなく、該当する方のうち、希望者については接種を可能とするものです。
6. ワクチン接種事業について(流通、購入、値段、接種場所等)
(問1)今回の新型インフルエンザワクチンはどれくらいの費用で接種できるのですか?
今回の新型インフルエンザワクチンの接種費用については接種を受ける方に、実費をご負担いただくこととしており、1回目の接種は3600円、2回目の接種は2550円(ただし、2回目を異なる医療機関で接種を受けた場合は、基本的な健康状態等の確認が再度必要となるため、3600円)とすることとしています。
以上、今回はインフルエンザワクチンについてのQ&Aをあげました。
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