無音の世界
2010年 05月 01日
都会に暮らす現代人の日常は、車や電車の騒音や隣人の出す生活雑音などに包まれ、静かな環境というのはある意味憧れの世界なのだと思います。しかし無音の世界というものが、果たして居心地の良い環境なのかというのが今日の話題。
都会が騒々しい雑音に溢れているとして、じゃあ人気のない自然いっぱいの所、たとえば山奥などは無音なのでしょうか?都会の様な暴力的な音はありませんが、全くの無音じゃないですよね。例えばせせらぎの音、鳥のさえずり、虫の鳴き声、風の音なんかが周りにはあるんじゃないでしょうか。
全くの無音というわけではないのですが、それに近い環境というのは耳鼻科の聴力検査室で体験できます。聴力検査室というのは普通よりも壁を厚く、床も振動が伝わりにくくしてあるし、壁には吸音材を使ったり厚いカーテンをつるしたりして、音が反響しないように工夫してあります。
私が医者に成り立ての頃、大学病院の耳鼻科の医局に所属していましたが、患者さんが急変しそうな時などは病棟に泊まることもありました。当直室には先輩の当直医が泊まりますから、下っ端は他に寝床を探さなければなりません。医局のソファーも良いのですが、病棟からちょっと離れているのと、人の出入りがあって静かな環境とは言えないのが欠点でした。そこである晩私は、病棟にある聴力検査室に寝ることにしました。私がいた大学は聴覚の中でも聴性誘発反応といって、音を聞くことによって起こる脳波をコンピュータで解析する研究に力を入れていましたので、かなり大きめの聴力検査室が病室のならびに備えてありました。部屋の中にはベッドが一つポツンと置いてあって、その周りに検査機器が散在しているような環境、もちろん窓もありません。寝るにはちょっと異様な環境ではありましたが、研修医なんていうのは常に睡眠不足、ちゃんとベッドがあって、誰にも邪魔されない静かなところであればどこでも良かったのです。
何かあったら起こしてくれるよう、深夜勤の看護師さんにお願いして夜中に聴検室のベッドに入りました。疲れも溜まっていましたし、きっとぐっすり眠れるだろうと思ったのですが、結果は違いました。まず、とにかく眠ってるような眠っていないような浅い睡眠で、悪夢にうなされるわ、金縛りに会うわで散々な思いをしました。しかも時間の感覚までおかしくなり朝が来たのかどうかも分からず、目覚めは最低。後で先輩に「あそこ出るんだぜ!」って聞きましたが、きっと違うのです。音のない不自然な環境が、睡眠のリズムや時間の感覚までも狂わせてしまうんじゃないかと思うのです。
適度な環境音というのは人間にとって必要なものだと言うこと体験し、聴検室で寝ようなんて、この後二度と思わなかったことは言うまでもありません。
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都会が騒々しい雑音に溢れているとして、じゃあ人気のない自然いっぱいの所、たとえば山奥などは無音なのでしょうか?都会の様な暴力的な音はありませんが、全くの無音じゃないですよね。例えばせせらぎの音、鳥のさえずり、虫の鳴き声、風の音なんかが周りにはあるんじゃないでしょうか。
全くの無音というわけではないのですが、それに近い環境というのは耳鼻科の聴力検査室で体験できます。聴力検査室というのは普通よりも壁を厚く、床も振動が伝わりにくくしてあるし、壁には吸音材を使ったり厚いカーテンをつるしたりして、音が反響しないように工夫してあります。
私が医者に成り立ての頃、大学病院の耳鼻科の医局に所属していましたが、患者さんが急変しそうな時などは病棟に泊まることもありました。当直室には先輩の当直医が泊まりますから、下っ端は他に寝床を探さなければなりません。医局のソファーも良いのですが、病棟からちょっと離れているのと、人の出入りがあって静かな環境とは言えないのが欠点でした。そこである晩私は、病棟にある聴力検査室に寝ることにしました。私がいた大学は聴覚の中でも聴性誘発反応といって、音を聞くことによって起こる脳波をコンピュータで解析する研究に力を入れていましたので、かなり大きめの聴力検査室が病室のならびに備えてありました。部屋の中にはベッドが一つポツンと置いてあって、その周りに検査機器が散在しているような環境、もちろん窓もありません。寝るにはちょっと異様な環境ではありましたが、研修医なんていうのは常に睡眠不足、ちゃんとベッドがあって、誰にも邪魔されない静かなところであればどこでも良かったのです。
何かあったら起こしてくれるよう、深夜勤の看護師さんにお願いして夜中に聴検室のベッドに入りました。疲れも溜まっていましたし、きっとぐっすり眠れるだろうと思ったのですが、結果は違いました。まず、とにかく眠ってるような眠っていないような浅い睡眠で、悪夢にうなされるわ、金縛りに会うわで散々な思いをしました。しかも時間の感覚までおかしくなり朝が来たのかどうかも分からず、目覚めは最低。後で先輩に「あそこ出るんだぜ!」って聞きましたが、きっと違うのです。音のない不自然な環境が、睡眠のリズムや時間の感覚までも狂わせてしまうんじゃないかと思うのです。
適度な環境音というのは人間にとって必要なものだと言うこと体験し、聴検室で寝ようなんて、この後二度と思わなかったことは言うまでもありません。
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これは私もしました。
暗騒音といわれる唯一の音も無音に聞こえます。
実はなかなか寝付けずに結局は飛び出しましたが^^;
暗騒音といわれる唯一の音も無音に聞こえます。
実はなかなか寝付けずに結局は飛び出しましたが^^;
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補聴器が自分の耳のように馴染んでくると、外した時が不安になると言う声に変わることがあります。逆もありまして、聞こえの低下⇒補聴器装用も普段の音環境の変化となりますよね。。音環境の変化への適応、再認識させて頂きました。
FCC_HIROさん、おはようございます!
補聴器を付け始めた方の場合、環境音といいますか
生活雑音がうるさくてと、おっしゃる方があります。
もちろんある程度のノイズキャンセリングやフィルタリングは
あるはずなのですが、それでも最初は気になるということも
あるようですね。私の場合、それは本来聞こえるべき音なので、
と説明していますが、そういった場合、販売店ではどのように
お話しされているのかなどもいつか教えていただきたいところです。
補聴器を付け始めた方の場合、環境音といいますか
生活雑音がうるさくてと、おっしゃる方があります。
もちろんある程度のノイズキャンセリングやフィルタリングは
あるはずなのですが、それでも最初は気になるということも
あるようですね。私の場合、それは本来聞こえるべき音なので、
と説明していますが、そういった場合、販売店ではどのように
お話しされているのかなどもいつか教えていただきたいところです。

ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
鍵コメ at 2010-05-06 11:50さん、一般に感音難聴では語音明瞭度が
低下するので、音圧を上げても言葉の聞き取りには限界が生じるということ
だと思います。後半の部分は自分では治療経験がないので、ちょっと
調べてみますね。
低下するので、音圧を上げても言葉の聞き取りには限界が生じるということ
だと思います。後半の部分は自分では治療経験がないので、ちょっと
調べてみますね。

こんばんは。
私はヨガのテキスト・CDを活用しているのですが、「瞑想法の実習」のときも、必ずBGMが流れているのが、不思議でした。
瞑想をするのに、音楽なんか邪魔になるだけなのじゃないかと。
ただ、全くの無音だと、不安感が増したり、集中力が散漫になったりして、瞑想できないって思うようになり、BGMの意味がやっとわかりました^^
私はヨガのテキスト・CDを活用しているのですが、「瞑想法の実習」のときも、必ずBGMが流れているのが、不思議でした。
瞑想をするのに、音楽なんか邪魔になるだけなのじゃないかと。
ただ、全くの無音だと、不安感が増したり、集中力が散漫になったりして、瞑想できないって思うようになり、BGMの意味がやっとわかりました^^
美辞ん堂ふゆうさん、ヨガの時に流すBGMというとやはりインド音楽なんでしょうか?
無音より集中しやすいということもありましょうし、なにかしら自然の力の流れみたい
なものをイメージしているんでしょうかね。
無音より集中しやすいということもありましょうし、なにかしら自然の力の流れみたい
なものをイメージしているんでしょうかね。

先生、こんにちは。インド音楽ではなく、シンセサイザーによるBGMです。
先生のおっしゃるように「自然の力」「自然との融合」をイメージできる、大地を潤す大河の流れを表現したような感じの音楽です。
日常生活でも、この音楽を思い出すことで、リラックスできそうな感じがします^^
先生のおっしゃるように「自然の力」「自然との融合」をイメージできる、大地を潤す大河の流れを表現したような感じの音楽です。
日常生活でも、この音楽を思い出すことで、リラックスできそうな感じがします^^
by jibikai
| 2010-05-01 16:58
| 耳のはなし
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Comments(9)