扁桃炎の男女差
2010年 05月 09日
当院以外の傾向としましては,ネット検索して病院のサイトなどを見てみましたが、扁桃炎について記載のあるページではいずれも頻度としては男女差は認められないと書いてありました。
ところが,印象として男性に扁桃炎が多いのではないかという意見を聞く機会がありました。上記のように、自院のデータでもネット検索しても男女差はなかったのですが、ちょっと気になりまして、念のため自院のデータベースにて“扁桃周囲炎”もしくは“扁桃周囲膿瘍”という病名で検索した結果が以下のグラフです。
扁桃周囲炎、あるいは扁桃周囲膿瘍というのは、扁桃の被膜を超えて炎症が拡大している状態で、急性扁桃炎から起こるのですが、より重篤な状態です。なぜ男性に多いのか,はっきりしたことは言えませんが、もともと男性の方が感染症に弱いために重症化しやすいのか、それとも働き盛りに多いことから、仕事が休めず我慢しているうちにこじらせてしまう人が多いことなどが理由として考えられるかと思います。
結論として,扁桃炎全体としてはその頻度に男女差はないものの、扁桃周囲炎、周囲膿瘍など重症化するのは男性に多いという結果が得られ、興味深いと思い紹介してみました。
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扁桃周囲膿瘍、扁桃周囲炎は男性に多いという意外な結果が出たので、他に報告している人はいないか一応医学論文の検索サイトで検索をかけてみました。タイトルしか見ていませんが、それらしき論文はなし。手持ちの専門書にも男女差についての記載はありませんでした。統計的に有意差を検討すると、有意差がありそうですが、もう少し見てみたいと思います。
医師にもよるのかもしれませんが、一般的に膿瘍切開するのとしないのと、炎症が治まるのはやはり切開したほうが早いですか?
重症化しやすい理由は喫煙とか、関係あるのでしょうか?
膿瘍切開の意味として最も大きいのは、排膿して減圧することです。
ただ、プレショックのようになることもあるので、慎重になること
もあるのだと思います。ただし、膿がたくさん溜まっている時には
切開は必要です。
重症化と喫煙との関係、う〜ん、どでしょうか?最近喫煙率は男性減少
女性は上昇傾向と聞きますし、扁桃炎発症の因子としては考えられますが
重症化の因子としての可能性は低いと思いますが、はっきりしたことは
文献でも見たことがないし、自分で統計をとったわけでもないので、
何とも言えないところです。
組織に付けられた名称でして、例えば甲状腺とか唾液腺なんて
いうのがあります。扁桃はリンパ組織であって腺組織じゃない
のですが、なぜか扁桃腺って一般的にはいわれています。