アンチエイジングについて考えてみる(その3)

引き続きアンチエイジングについてです。少し基礎的な話が続いて退屈されている方も多い(汗)かとは思いますが、いづれ、聴覚の老化についての話に結びつけたいと思っていますので、もうしばらくおつきあい下さい。

さて、前回は活性酸素・フリーラジカルが細胞の壊死やアポトーシス(細胞の自殺)を引き起こすという話をしました。

活性酸素・フリーラジカルが増え続けるという状況は生体にとって不都合なわけですから、そうならないように活性酸素・フリーラジカルの量を制御する仕組みが備わっており、これを抗酸化ネットワークといいます。構成する抗酸化物質には、ビタミンC, ビタミンE, コエンザイムQ10, リポ酸, グルタチオンの5種があります。

活性酸素・フリーラジカルの量というのは、産生が多くなったり、消去系である抗酸化ネットワークの機能低下で増えすぎてしまうわけですが、こういった状態を酸化ストレスといい、これがエイジングを引きをこします。逆に、酸化ストレスを軽減することがすなわち、アンチエイジングであると言えるわけです。

具体的なアンチエイジングとしては、まずミトコンドリアから発生してくる活性酸素を可能な限り抑制することですが、そのためにはカロリー制限と、過度な運動を慎むことです。運動神話といいますか、運動はすればするほどいい、運動さえすれば食事もガンガン摂っていいっていうような考え方もあろうかと思いますが、身体を苛めすぎると筋肉が損傷をうけてそこで活性酸素が発生しますし、大きなエネルギーを産生するにはやはりミトコンドリアの働きが強まるわけですから、そこで活性酸素が発生します。ということで、少なくともアンチエイジングという立場からいえば、過度の運動や食べ過ぎは明らかに寿命を縮めたり健康を損なう原因になるということです。まあ、何事もほどほどにしておくことが肝心なんですね。

アンチエイジングを実現する方法としてもう一つ、抗酸化ネットワークの機能向上ということも当然考えられるわけです。実際、ビタミンC、E、コエンザイムQ10なんていいうのはサプリメントとしてよく名前を聞きますし、実際服用している方も多いことでしょう。ただし、こうした抗酸化薬が実際効いたかどうかを研究した結果では、いずれもが寿命を延ばした証拠がないどころか、ある種のサプリは内服していた群がしていない群よりも死亡リスクが高かったという研究結果もあるそうです。

ということで、細胞レベルでの活性酸素・フリーラジカルの増減ということから、アンチエイジングを考えた場合、有効なのは、「カロリーを摂りすぎない」、「運動はそこそこに」、「禁煙」、「化学物質(食品添加物や大気汚染)を避ける」、「紫外線に当たりすぎない」ということに集約されてくるんだと思います。

今日はここまで。活性酸素・フリーラジカルについて書いてみました。アンチエイジングの話、もうしばらく続きます。

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Commented by FCC_HIRO at 2010-08-07 01:39
そういえば、一昔前に活性酸素を除去する活性水素水というものが流行った時期がありましたが実際のところ効果はあるのでしょうか??
ふと気になりました^^;
Commented by jibikai at 2010-08-07 08:46
FCC_HIROさん、
活性水素水、そう言えばと思いウィキペディアでしらべましたら
確かに活性酸素除去を効果として謳っていたようですが、
効能としてそこまでは言えないとして、関連の販売会社に
公正取引委員会が排除命令を出したとの経緯があるようです。

ということで、効果の程は公に認められてはいないという
ことのようですね
by jibikai | 2010-07-20 18:41 | 耳のはなし | Comments(2)

山形市の耳鼻咽喉科 あさひ町榊原耳鼻咽喉科  院長のブログ


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