アンチエイジングについて考えてみる(その6)

さて、加齢による難聴の話ですけれども、それを防ぐことは出来るのか、という話の前にもうひとつお話しすることがあります。それは後迷路性難聴(こうめいろせいなんちょう)について。

加齢による難聴というのは、単に内耳だけの問題ではなく、後迷路性難聴というものを合併してきます。それは脳の中の聴覚伝導路の働きが悪くなって起こります。
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脳内の聴覚伝導路ですが、音によって生じた情報は、まず内耳から蝸牛神経という神経が内耳道という管を通って頭の中に入っていきます。蝸牛神経は延髄にある蝸牛神経核へとつながっていきます。そこからさらに脳幹にあるいくつかの中継核を通って、最後は大脳へと情報が伝わっていくのです。脳の中では音を言葉として聞き分けたり、音の聞こえてくる方向を感知したり、雑音の中から目的とする音のみを聞き分けたりといった複雑なことをしています。
加齢による難聴の場合は、脳幹から大脳に至るまでほぼ一様のレベルで(つまり一部だけ極端に悪くなるわけでなくて)働きが低下します。

ということで、加齢による難聴では、「言葉の聞き取りが悪くなる。」、「音の方向感が悪くなる。」、「早口が理解できなくなる。」、「雑音の中で人の話が聞き取りにくい。」ということが同時進行的に起こってくるわけです。同じ感音難聴でも後迷路性難聴を合併した場合は、内耳性難聴ののみよりも、いろいろと不都合なことが起こってくると言えると思います。

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Commented by FCC_HIRO at 2010-08-26 13:14 x
後迷路性の難聴に対する補聴器フィッティングは本当に難しいです^^; 中でも一番のネックとなるのが内耳性に比べて強くでる語音明瞭度の低下でしょうか・・・。
次にSN比の改善。性能の良い補聴器を両耳みするより、FMシステムや低利得のポケット型の利用等、より環境に応じた補聴器選びや使い分けが必要になるケースもございます。
そして補聴器の効能と限界をしっかり伝える。
いや・・・難しいです。。
Commented by jibikai at 2010-08-26 23:02
FCC_HIROさん、的確なご意見いつもありがとうございます。そうですね、後迷路性
難聴の場合は内耳性のみの場合よりも、考慮しなければならない項目は多いですね。
なかなか一筋縄ではいかないのでしょうが、その中でもベストな方法を探っていく
しかなさそうですね。
補聴器の効能と限界をしっかり伝える。これも非常に重要なことと思います。
by jibikai | 2010-08-26 08:10 | 耳のはなし | Comments(2)

山形市の耳鼻咽喉科 あさひ町榊原耳鼻咽喉科  院長のブログ


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