鼻すすりは止めましょう
2010年 09月 28日
鼻をよくすする方の鼓膜を見ますと、鼓膜が薄くなったり、張りがなくなる(弾力が低下している)ことがあります。また、鼻すすりにより鼓室の空気が上咽頭の方に引っ張られますので、鼓膜は凹んだ状態になってしまい、なかなか元に戻らなくなります。
鼓膜が薄くなったり、弾力を失ったり、凹んだりすると、音が鼓膜に当たってエネルギーを耳小骨に伝達しようにも効率が悪くなってしまい、その結果伝音難聴を生じて、耳がつまった感じになるのです。
ところで、鼻すすりってどういう時にするのでしょうか。一つ目は生理的、あるいは正常な鼻をすする場面ですけども、臭いを嗅ごうとする時です。
二つ目は鼻の奥にたまった鼻汁を除去、咽に吸い込んで飲み込もうとする時です。これはちょっと汚いですが、呼吸を楽にしようとすることなので、正常な行為とも云えます。しかし鼻汁には咽の炎症を引き起こす物質も含まれますので、鼻はすすらず飲み込まず、かんだ方がいいでしょう。
三つ目は癖になっている場合です。特に、耳管開放症では、耳管が開いていると自分の声が耳管を通じて耳に響いたり、呼吸音が聞こえたりして不愉快ですから、自分で耳管を閉じることを覚えてくるのです。鼻をすすることによって、鼓室の空気は咽頭の側に引っ張られて、鼓室は陰圧になります。そうすると耳管は、虚脱してぺちゃんこになりますから、ますます鼓室内の陰圧が取れななくなって容易には元に戻らなくなります。
さて、鼻すすりによって耳の不調のある方への治療ですけれども、まずは鼻すすりを止めて貰うことなんですが、これがなかなか厄介です。まず、自覚のない方がほとんど。いわれて初めて「ああ。」と気付いてくれるんですけれども、「鼻すすりは止めて下さいね。」と念を押しても、「わかりました。 ズズ〜。」っと直ぐ無意識にやってしまう方も多いのです。もちろん、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎など、慢性的に鼻づまりや鼻汁の症状を起こす病気があればそれを治療します。耳管開放症の方の場合は、まずは漢方の内服、それから生理食塩水の点鼻などが有効のこともあります。
原因が何にせよ、鼻づまりから生じた鼓膜の異常というのは、ひどくなりますと癒着性中耳炎や真珠腫性中耳炎など、なかなか厄介な中耳炎を引き起こしますから、鼓膜の凹みがひどければチュービングが必要になることもあります。
今回は無意識でついついやってしまう鼻づまりが、耳の不調の原因となることをお話ししてみました。
=============================

ブログランキングに参加しています!
宜しければご協力を!
(アイコンをクリックするとランキングのページにジャンプします。
そしてなんと!耳鼻科医に10ポイントが入ります!!)
=============================

話を読んで「そりゃそうだな」と理解。頭では納得するのですが、癖はなかなかとれないものですね^^;
頑張ります!
と書いているうちにも又鼻をすすっている自分(--;)

鼻すすりって、耳の不調の原因になる場合もあるんですね。
勉強になります。
実は今朝から、ホームページのアクセス解析タグを修正していて、
私自身もちょっと鼻すすりをしてしまってました。。。
私はアロマオイルマッサージが大好きで、ときどき行くんです。
マッサージ師の方は、60分~80分はうつむいて作業をしますよね。
鼻の調子が悪ければ、鼻すすりをされるかたもいます。
私、個人的には、途中でマッサージの手を止めて、鼻をかまれたとしても、
あまりに気にならないと思います。
でも、ほとんどのお客様には、
途中でマッサージを止めることもできなくて、大変だろうなって想像しています。

私も子どものころから片耳がよく詰まりまして、鼻を押さえてふんっと息を吐くと直ります。・・がすぐにまた詰まってきます。
鼻すすりの記事を読みまして、一日気にしてみましたら、無意識にずいぶんすすっておりました。これが原因かもしれないと思いました。気をつけます。
まずはアレルギー性鼻炎を治すことだなと久しぶりに耳鼻科へ行きました。随分鼻が楽になりました。
ありがとうございます。
記事が参考になったようでよかったです。
小さい頃から耳がつまるのは、耳管のトラブルが
多くて、しかもそれは鼻が悪いことが原因となっている
ことが多いです。
耳と鼻、どっちも奥まっているところにありますから
イメージしにくいかも知れませんが、実は密接な関係があるのです。