扁桃炎と病巣感染症
2005年 11月 25日
今回は耳鼻科医らしい話題。
扁桃(へんとう)っていうのは、どこにあるかご存じでしょうか。扁桃(一般的には扁桃腺といわれていますが)とは、私の下手なイラストにあります様に、のどちんこからつながるヒダの間、口の中と咽との境目のところにあります。左右に1個ずつあり、形は桃の種に似ていることから、扁桃といいます。

大きさ:人によってまちまちで、中には咽の空間が狭くなってしまうほど、大きい人もいます。幼児期から大きくなり始め、7歳くらいで最大となり、大人になるとだんだん萎縮して小さくなります。
扁桃の働き:身体を細菌やウイルスから守る”免疫”という仕事の、一端を担っています。扁桃の表面は月のクレーターのような凹凸(陰窩といいます)がたくさんあり、表面積が大変広くできています。この広い表面積を利用して、細菌やウイルスを捕まえて、その情報を全身の免疫のシステムに受け渡す、いわば防空レーダーのような役割をしています。ただし有益に働いているのはせいぜい幼児期までで、その後は細菌やウイルスがくっつきやすいという性質故、病原体の巣となり、厄介者となってしまうことも少なくありません。
急性扁桃炎:カゼに引き続いて、扁桃に細菌が感染した状態。扁桃が腫れ、白い膿がくっつきます。飲み込む時に強い咽の痛みが生じます。40度近い高熱が出ることも、まれではありません。よく小児科の先生が心配する、溶連菌(ようれんきん)も急性扁桃炎の原因になりやすいです。
習慣性扁桃炎:急性扁桃炎を繰り返すもの。年に4〜5回以上繰り返す場合や、溶連菌感染を繰り返す場合には、扁桃腺を手術的に取ることが勧められます。
慢性扁桃炎:ひどい痛みや高熱こそ起こさないものの、咽のひりひり感や痰の絡まる様な感じがずっと続きます。扁桃が少し赤い状態が続いたり、少しの量の膿が陰窩にたまった状態が続きます。急性炎症がきちんと治りきらなかったりした場合や、たばこを吸う人に多いです。時々、変なにおいのする淡黄色の膿の固まりが口から出てきたりして、においを嗅いであまりの臭さにびっくりしたりします。
病巣感染症:基本的には慢性扁桃炎があるのですが、咽の症状にはあまり気づかずにいて、扁桃の陰窩で作られた免疫複合体(いわゆる毒素と考えてください)が血液に乗って、全身を巡り巡って、扁桃から遠く離れた場所に悪さをするものです。掌蹠嚢胞症やIgA腎症などが有名です。掌蹠膿疱症は手のひらや足の底に小水疱や膿疱を伴う炎症を起こす病気ですが、皮膚科的な治療では治りにくい場合でも、扁桃を取ることにより、ほとんどの人が治癒もしくは軽快します。特に発症後1年以内の掌蹠膿疱症では、治癒率が高くなるというデータがあります。IgA腎症では、腎機能障害により透析が必要なぐらい進行してしまった後では効果がありませんが、初期であれば扁桃腺を取ることにより、進行を止める効果が期待できます。
以上、今回は耳鼻科医らしく扁桃について書いてみました。
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扁桃(へんとう)っていうのは、どこにあるかご存じでしょうか。扁桃(一般的には扁桃腺といわれていますが)とは、私の下手なイラストにあります様に、のどちんこからつながるヒダの間、口の中と咽との境目のところにあります。左右に1個ずつあり、形は桃の種に似ていることから、扁桃といいます。

大きさ:人によってまちまちで、中には咽の空間が狭くなってしまうほど、大きい人もいます。幼児期から大きくなり始め、7歳くらいで最大となり、大人になるとだんだん萎縮して小さくなります。
扁桃の働き:身体を細菌やウイルスから守る”免疫”という仕事の、一端を担っています。扁桃の表面は月のクレーターのような凹凸(陰窩といいます)がたくさんあり、表面積が大変広くできています。この広い表面積を利用して、細菌やウイルスを捕まえて、その情報を全身の免疫のシステムに受け渡す、いわば防空レーダーのような役割をしています。ただし有益に働いているのはせいぜい幼児期までで、その後は細菌やウイルスがくっつきやすいという性質故、病原体の巣となり、厄介者となってしまうことも少なくありません。
急性扁桃炎:カゼに引き続いて、扁桃に細菌が感染した状態。扁桃が腫れ、白い膿がくっつきます。飲み込む時に強い咽の痛みが生じます。40度近い高熱が出ることも、まれではありません。よく小児科の先生が心配する、溶連菌(ようれんきん)も急性扁桃炎の原因になりやすいです。
習慣性扁桃炎:急性扁桃炎を繰り返すもの。年に4〜5回以上繰り返す場合や、溶連菌感染を繰り返す場合には、扁桃腺を手術的に取ることが勧められます。
慢性扁桃炎:ひどい痛みや高熱こそ起こさないものの、咽のひりひり感や痰の絡まる様な感じがずっと続きます。扁桃が少し赤い状態が続いたり、少しの量の膿が陰窩にたまった状態が続きます。急性炎症がきちんと治りきらなかったりした場合や、たばこを吸う人に多いです。時々、変なにおいのする淡黄色の膿の固まりが口から出てきたりして、においを嗅いであまりの臭さにびっくりしたりします。
病巣感染症:基本的には慢性扁桃炎があるのですが、咽の症状にはあまり気づかずにいて、扁桃の陰窩で作られた免疫複合体(いわゆる毒素と考えてください)が血液に乗って、全身を巡り巡って、扁桃から遠く離れた場所に悪さをするものです。掌蹠嚢胞症やIgA腎症などが有名です。掌蹠膿疱症は手のひらや足の底に小水疱や膿疱を伴う炎症を起こす病気ですが、皮膚科的な治療では治りにくい場合でも、扁桃を取ることにより、ほとんどの人が治癒もしくは軽快します。特に発症後1年以内の掌蹠膿疱症では、治癒率が高くなるというデータがあります。IgA腎症では、腎機能障害により透析が必要なぐらい進行してしまった後では効果がありませんが、初期であれば扁桃腺を取ることにより、進行を止める効果が期待できます。
以上、今回は耳鼻科医らしく扁桃について書いてみました。
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
うーん、確かに紹介して頂いたHPでは、前橋先生ははっきりと病巣感染説を否定し、ビオチン欠乏症であると結論づけていらっしゃいますね。内科医や小児科医の意見と、耳鼻科医の意見が食い違うことはままあることなのですが(その件についてはまたあらためて記事にします)、それにしても、掌蹠嚢胞症についての考え方は随分と相違しているように思われます。私なりに、もう少し文献検索して見ますので、しばらくお待ちください。
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こんにちは
またまた、恐縮です。
何科に行こうか迷います。前橋先生の治療を行う都内の診療所に行こうか、子供の頃から通う近所の耳鼻科にいくか、インフルエンザ予防接種を受ける内科に行こうか・・・
この耳鼻科の先生に相談したい所なのですが、他の患者さんが何人も見ている、聞いている中での診察ですし、さらに秒診のごとくですから、少し落ち着いて話せないなど・・・
(このような時に、単に昔からかかっているというだけでなく、本当に意味でのかかりつけ医を持たないといけないかなと思います。)
またまた、恐縮です。
何科に行こうか迷います。前橋先生の治療を行う都内の診療所に行こうか、子供の頃から通う近所の耳鼻科にいくか、インフルエンザ予防接種を受ける内科に行こうか・・・
この耳鼻科の先生に相談したい所なのですが、他の患者さんが何人も見ている、聞いている中での診察ですし、さらに秒診のごとくですから、少し落ち着いて話せないなど・・・
(このような時に、単に昔からかかっているというだけでなく、本当に意味でのかかりつけ医を持たないといけないかなと思います。)

古い記事を引っ張りだしてのコメント、失礼します。
2年程前から、手と足の湿疹でずっと皮膚科にかかっていたのですが、病名不明のまま。今年の1月、めでたく?掌蹠嚢胞症との診断が下りました。かといって治療は変わらず・・・。
骨関節症も出てきたので、4月から大学病院にて扁桃誘発検査を受けたところ、これがビンゴ!!でした。
金属アレルギーはあるかもしれないとは思っていたのですが、扁桃に原因があるとは全く想像もしていなかったので、びっくりしました。
今は扁桃摘出の手術を受けようと思っていますが、不安でいっぱいでした。こちらで、ほとんどの人が治癒、軽快すると書かれていたので、とても嬉しく、勇気づけられました。
まだ一ヶ月以上も先のことになるとは思いますが、術後の経過も報告させていただきますね。
2年程前から、手と足の湿疹でずっと皮膚科にかかっていたのですが、病名不明のまま。今年の1月、めでたく?掌蹠嚢胞症との診断が下りました。かといって治療は変わらず・・・。
骨関節症も出てきたので、4月から大学病院にて扁桃誘発検査を受けたところ、これがビンゴ!!でした。
金属アレルギーはあるかもしれないとは思っていたのですが、扁桃に原因があるとは全く想像もしていなかったので、びっくりしました。
今は扁桃摘出の手術を受けようと思っていますが、不安でいっぱいでした。こちらで、ほとんどの人が治癒、軽快すると書かれていたので、とても嬉しく、勇気づけられました。
まだ一ヶ月以上も先のことになるとは思いますが、術後の経過も報告させていただきますね。
>まいさん、ようこそ。手のひらや足の裏の水泡の原因が、扁桃にあると言われてもにわかには信じがたいでしょうが、結構多い病気です。以前勤めていた病院の、皮膚科のDr.が扁摘(扁桃摘出術)推進派でして、多くの掌蹠嚢胞症の方に手術をした経験があります。術後、一時的に掌蹠嚢胞症が悪化する場合が多いのですが、術後2〜3ヶ月後にはほとんどの方に効果が出てくるようです。

先生に質問したいのですがダメだと言う事で・・・・
私の聞いた話と本に書いてあったことを書きますね
前橋先生は 病巣感染否定派だったのですね 知らなかったです
★扁摘で治る方は50% ためしてガッテン2014/1022
扁摘しても治らない人は こないだもおられました
★それ以外で 堀田修先生が病巣感染説で治した症例は
上咽頭炎治療=Bスポット治療で治った症例があります
初期から堀田修先生のBスポット治療
★20年前に扁摘したけどまったく改善しなかった人が
Bスポット治療で 上咽頭の浮腫んだ粘膜を治療したら
手の湿疹と胸の骨の痛みが改善したっと言う事
【慢性免疫病の根治治療に挑む】本からの症例
★頭痛といびきで扁摘した患者さんは
掌蹠膿疱症が半分改善した
まだ頭痛が残るので 調べてみると
慢性副鼻腔炎が確認されたので
その治療をしたら 掌蹠膿疱症がすべて綺麗な手になった
★歯の治療をしたら 掌蹠膿疱症が治った方
歯性感染が原因だった 病巣感染で考える歯科先生のお話
扁摘しても治らないと凹みますからどれか解らない時は まず上咽頭治療はリスクがすくないと思います でも病院に行くと扁摘から勧められます
個人それぞれの扁桃特徴や研究が待たれます 扁桃はまだ未知の世界ですか?
今度の口腔・咽頭科学会でも 上咽頭の事を発表されるそうです
私はクレアニンが基準値をすぎたので不安になり
堀田先生のところで私は血尿+-がでて その血尿が
赤血球の変形とわかり=IgA腎症
堀田先生の所で上咽頭炎だとわかり
されに調べていくと 扁桃マッサージで膿栓があるとわかり
さらに無自覚の副鼻腔炎があり これが血尿+-を出していた
Bスポット治療で 翌年から2年連続で血尿が消えました
IgA腎症の初期の初期を消すことに成功しました
扁桃炎
私の聞いた話と本に書いてあったことを書きますね
前橋先生は 病巣感染否定派だったのですね 知らなかったです
★扁摘で治る方は50% ためしてガッテン2014/1022
扁摘しても治らない人は こないだもおられました
★それ以外で 堀田修先生が病巣感染説で治した症例は
上咽頭炎治療=Bスポット治療で治った症例があります
初期から堀田修先生のBスポット治療
★20年前に扁摘したけどまったく改善しなかった人が
Bスポット治療で 上咽頭の浮腫んだ粘膜を治療したら
手の湿疹と胸の骨の痛みが改善したっと言う事
【慢性免疫病の根治治療に挑む】本からの症例
★頭痛といびきで扁摘した患者さんは
掌蹠膿疱症が半分改善した
まだ頭痛が残るので 調べてみると
慢性副鼻腔炎が確認されたので
その治療をしたら 掌蹠膿疱症がすべて綺麗な手になった
★歯の治療をしたら 掌蹠膿疱症が治った方
歯性感染が原因だった 病巣感染で考える歯科先生のお話
扁摘しても治らないと凹みますからどれか解らない時は まず上咽頭治療はリスクがすくないと思います でも病院に行くと扁摘から勧められます
個人それぞれの扁桃特徴や研究が待たれます 扁桃はまだ未知の世界ですか?
今度の口腔・咽頭科学会でも 上咽頭の事を発表されるそうです
私はクレアニンが基準値をすぎたので不安になり
堀田先生のところで私は血尿+-がでて その血尿が
赤血球の変形とわかり=IgA腎症
堀田先生の所で上咽頭炎だとわかり
されに調べていくと 扁桃マッサージで膿栓があるとわかり
さらに無自覚の副鼻腔炎があり これが血尿+-を出していた
Bスポット治療で 翌年から2年連続で血尿が消えました
IgA腎症の初期の初期を消すことに成功しました
扁桃炎
kidさん、コメントありがとうございます!
IgA腎症に対しては、腎機能が悪くなる前に扁摘を行うのが有効と
いうことは、明らかにされているようですね。
とはいえ、扁摘は入院が必要で、リスクも比較的少ないがゼロとはいえません
ので、病巣感染症の場合は特に、術前にどの程度の効果が見込まれるのか
その辺がはっきりすれば良いと,私も思います。免疫はここ数年で進歩している
分野のようですので、色々と明らかになってくるのではないでしょうか。
IgA腎症に対しては、腎機能が悪くなる前に扁摘を行うのが有効と
いうことは、明らかにされているようですね。
とはいえ、扁摘は入院が必要で、リスクも比較的少ないがゼロとはいえません
ので、病巣感染症の場合は特に、術前にどの程度の効果が見込まれるのか
その辺がはっきりすれば良いと,私も思います。免疫はここ数年で進歩している
分野のようですので、色々と明らかになってくるのではないでしょうか。
by jibikai
| 2005-11-25 16:42
| のどのはなし
|
Comments(7)