抗ヒスタミン薬の変遷
2013年 02月 23日
この作用を和らげることにより鼻炎の症状を抑えるのが抗ヒスタミン薬というわけです。
ところがこのヒスタミンという物質は脳内では情報を伝達する物質として使われていますので、これを全般的に抑えてしまうと脳の活動性が低下して、具体的には眠くなったり集中力がなくなったりします。
抗ヒスタミン薬は風邪薬などにも入っているのですが、風邪薬で眠気がでるのも実は抗ヒスタミン薬の副作用であることが多いのです。
そこで20数年前より脳には移行しにくい、つまりは眠くなりにくい抗ヒスタミン薬が開発され始めました。これを第2世代抗ヒスタミン薬といいます。第2世代初期の抗ヒスタミン薬としてはザジテン、アゼプチン、セルテクトの3つが非常に有名で、なおかつたくさん使われました。ところが眠気は第1世代の抗ヒスタミン薬に比べれば大分少なくなったとは言え、それでも実際には結構な頻度でありました。(添付文書には再審査終了時のデータが示してあっていずれも眠気の頻度5%以下なのですが、実際に患者さんに処方してみた感じではもっと多かった。)
そこで眠気のない抗ヒスタミン薬として開発されたのがトリルダンというお薬。効き目も良くて一時期結構使われたのですが、不運なことに、ある薬との飲み合わせが悪く心臓への副作用が出ることがありました。その結果、しばらく続くかと思われたトリルダンの天下もあっさりと終息し、再びザジテン、アゼプチン、セルテクトに戻らざるを得なかったのです。
心臓への副作用の心配もなく、眠気も少ない抗ヒスタミン薬が色々と発売されるようになったのは1990年代後半のこと。アゼプチン(1994年発売)、エバステル(1996年発売)、ジルテック(1998年発売)、アレグラ(2000年発売)、タリオン(2000年発売)、アレロック(2001年発売)、クラリチン(2002年発売)、ザイザル(2010年発売)などで、第2世代後半の抗ヒスタミン薬といわれます。
鼻アレルギー診療ガイドライン2013によれば、第2世代抗ヒスタミン薬の特徴(第1世代と比較して)として、
1:中枢抑制、抗コリン作用などの副作用が少ない。
2:全般改善度はよい。
3:鼻閉に対する効果がややよい。
4:効果の発現がやや遅いが、持続が長い。
5:連用により改善率が上昇する。
と総括しております。
さらには、
「第2世代の抗ヒスタミン薬のうち、後期に開発されたものにおいては眠気などの中枢抑制作用は著明に改善されている。」と記載されています。
新しいものがすべて良いわけではないのですが、スギ花粉症をはじめとしたアレルギー性鼻炎では第2世代後期の抗ヒスタミン薬がファーストチョイスといって、まず間違いはないと思います。唯一第1世代のものや第2世代初期のものに劣るとすれば薬価なのですが、今回長くなりましたので、その辺の話はまた改めてしたいと思います。
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