耳管開放症と低音障害型感音難聴の合併例

原則的には耳管開放症単独で難聴を伴うことはありません。しかしながら、耳管開放症の耳閉感や自声強聴を避けるために、意識的に(半ば無意識に)鼻をすすることによって鼓室内を陰圧にして、鼓膜を凹ませている方は、伝音難聴になっていることがあります。それとはまた別に、検査をしてみると低音部の感音難聴を伴っていることもあります。その場合自覚的な難聴はあったり、なかったりです。
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あさひ町榊原耳鼻咽喉科医院で耳管開放症の治療を受けた方 62名のうち純粋に低音部のみの感音難聴のあった方が11%。左右対称性に高音部も障害されている方を含めますと24%の方に低音部の感音難聴を認めました。
当医院の例だけではなくて、耳管開放症について書かれた他の論文や学会の抄録などを見てみましても、耳管開放症で低音障害型感音難聴を伴うことは、さほど稀ではないようです。
これをどう考えるかですが、論文では実際に耳管開放症によって起きている中耳腔の圧変動が何らかの内耳障害を引き起こしている可能性を考えているものもありますし、実際は内耳障害はないにも関わらず、呼吸の音がダイレクトに中耳に伝わってくるために正確に聴力検査ができず、実際の聴力よりも悪く出てしまうのではないかという意見もあるようです。
当医院の例を細かく見てみますと、検査時に呼吸音聴取の症状はなかったにも関わらず、低音障害型感音難聴を呈した例も多く、また、一部の症例は内リンパ水腫の治療薬であるメニレットゼリーで聴力が改善していることから、耳管開放症に内耳障害、特に内リンパ水腫の合併はあり得るのではないかと考えているのです。

ネット検索しますと、耳閉感を主症状に耳鼻科で診てもらったところ、急性低音障害型感音難聴と診断されたが実は耳管開放症だったとか、逆に耳管開放症と診断されたが急性低音障害型感音難聴だったというかたの体験談をたまに見かけるのですが、実はこの2つの疾患は合併することも結構多いのではないかと思っているのです。

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by jibikai | 2013-09-13 08:49 | 耳のはなし | Comments(0)

山形市の耳鼻咽喉科 あさひ町榊原耳鼻咽喉科  院長のブログ


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