SAS(睡眠時無呼吸症候群)の原因と治療

睡眠時無呼吸症候群の原因というのは人によって少しずつ異なるのですが、大抵の場合それは単一のものではなく、 様々な要因が複合して起こります。
全身的な原因としては肥満を初めとした体型の問題で、局所の問題としては、上気道の狭窄。これは鼻と咽に分けられます。
鼻の問題としては鼻づまりを来す種々の疾患、鼻中隔湾曲症、鼻アレルギー、肥厚性鼻炎、慢性副鼻腔炎やそれに伴う鼻茸などがあります。しかも、これらもまた、単一の疾患が起こっている場合よりも、例えばアレルギー性鼻炎と鼻中隔湾曲症というふうに、2つ以上の疾患が合併していることが多いです。
咽の問題としては、まず扁桃肥大やアデノイド増殖症があります。これは小児のSASの原因としては最も重要ですが、成人でも時に大きすぎる扁桃やアデノイドが問題になることがあります。扁桃もアデノイドももともと身体を最近やウイルスから守る免疫という働きをしており、免疫系の発達が著しい小児期にサイズを増すのですが、時として働きを終えてからも大きいままでいることがあります。それが気道を閉塞するのです。風邪を引けばさらにサイズが増大しますので、粘膜の腫れとともに症状を重くします.このため普段はSASの症状がはっきりしなくても、風邪を引くと無呼吸となる方もあります。その他の咽の問題としては、軟口蓋といってノドチンコの根元の部分が下に下がりすぎている場合や、舌が厚すぎる場合があります。
一人一人の患者さんのSASの原因を検索していくと、以上の要因の1つが極端にひどくて発症している方というのはむしろ稀で、多くはいくつかの要因は複合しています。その中でも多いの鼻づまりを来す種々の疾患と、咽の狭さに関係する軟口蓋の問題が複合しているケースです。これは、まず、鼻づまりが起こって口呼吸になり、そうすると軟口蓋や舌根(舌の付け根)が咽頭にかかった陰圧によって引き込まれ、さらに咽頭を狭窄してしまうというメカニズムで起こると考えられます。
SASの治療法としてはnCPAP療法が有効ですが、3割ぐらいの方では継続することができません。これはnCPAP療法というのが、鼻から強制的に少し圧を加えた空気を鼻から送り込んで気道が虚脱しないようにする治療であるため、鼻が通っていないと器械が自動的に圧を高めてしまい、今度はマスクと顔面の間からの空気の漏れや、鼻の乾燥感、高い圧などが気になって続けられない、ということが多いようです。終夜ポリソムノグラフなどで重症だからと、鼻の通りの評価をきちんとしないでCPAPを始めた場合は、この問題が起こりやすいです。
解決法はnCPAPを継続出来ない原因を調べて、鼻づまりが根底にあるのであれば、これを治療することです。薬物療法でいいこともあれば、手術が必要となることもありますが、鼻づまりを解消することで、nCPAP療法がよりスムーズに行えるようになるのみならず、上手くいけばnCPAP療法が不要になるケースもあります。

nCPAP療法を受けていて、どうも上手くいかない方は、一度耳鼻科できちんと鼻を診てもらうのが良いと思います。

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by JIBIKAI | 2014-05-26 08:47 | 睡眠時無呼吸症候群 | Comments(0)

山形市の耳鼻咽喉科 あさひ町榊原耳鼻咽喉科  院長のブログ


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