鼻水の量をコントロールしている神経というのは、主に鼻の中のセンサーである三叉神経と、分泌を促す副交感神経であることを前回の記事でもお話ししました。また、三叉神経に、鼻の中で何事かが起きており、鼻水の分泌が必要な状況であることを知らせるのが、ヒスタミンという化学伝達物質です。鼻水の分泌が必要な状況とは、例えば最近やウイルス、粉塵などの異物の侵入や、乾燥した空気の吸入などです。そういった状況でヒスタミンが分泌されるのは、下気道を守るために必要な免疫という働きの一つなのですが、時として、必要以上に分泌されてしまうことがあり、結果として鼻水がダラダラ、くしゃみ連発、鼻づまりによる息苦しさ、後鼻漏や咳ということを引き起こしてしまいます。そこで、鼻水の量をコントロールしようという目的で開発されたのが、抗ヒスタミン薬です。その中でも、今回は子供用の抗ヒスタミン薬に絞ってお話ししたいと思います。
上は、主だった小児用の抗ヒスタミン薬の一覧表です。小児用の抗ヒスタミン薬にも、第1世代と第2世代があります。表の上半分、タベジール、ポララミン、アリメジン、ペリアクチンは第1世代、下半分のザジテン、ジルテック、アレロック、ザイザルは第2世代に分類されます。第1世代と第2世代の違いですが、上気道炎に適応のあるのが第1世代、第2世代にはありません。風邪の時の鼻水止めとして、第2世代は使えないのかということが時に議論されることもあるのですが、保険診療のルールとしては不可です。実際の効果があるのかどうかは、何とも云えないところです。ただし、小児にもアレルギー性鼻炎は増えていて、今や3〜4人に一人ぐらいは確実にアレ鼻持ちです。実際問題として、風邪の初期に出る鼻水とアレ鼻の鼻水の区別が付かないことは多々あり、このような場合、私自身としては、より副作用の少ない第2世代を選ぶことが多いです。
作用の違いとしては、第1世代が抗ヒスタミン作用一辺倒なのに対し、第2世代ではメディエーター遊離抑制などの抗ヒスタミン作用以外の抗アレルギー作用を併せ持つという点があります。
副作用の違いは、眠気の強さ。ザイザルを除いて添付文書には眠気という記載がありるのですが、実際には第1世代のものは眠気が強く出やすく、第2世代はその点が改善されています。また、興奮や錯乱といった副作用も頻度は少ないものの、第1世代のもので生じる可能性があります。
もう一つ抗ヒスタミン薬で問題となる副作用に、痙攣があります。あまり頻度は多くないのですが、特に熱性痙攣などの既往がある児の場合は、なるべく痙攣の副作用のない薬、第1世代ならアリメジン、第2世代ならアレロックを選ぶのが良いのではないかと思っています。
以上、小児用の抗ヒスタミン薬についてまとめてみました。もともと、大人用に比べて種類が少なかったのですが、ここ数年の間に、第2世代を中心として選択の幅が広がってきました。子供は大人に比べて、あまり鼻水も鼻づまりも気にしない傾向にあるし、長期間薬を飲ませるのが心配、という親の気持ちが分からないわけでもないのですが、鼻炎の症状は起きているときはもちろん、睡眠中であっても生活の質を下げてしまいます。医者と薬を上手に使って対処していくのがよろしいのではないでしょうか。
なお、大人向けの抗ヒスタミン薬については、
などを、ぜひ参考にして下さい。
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