下鼻甲介焼灼術とは?
2006年 01月 12日
この手術は、アレルギー性鼻炎の中でも特に鼻づまりのひどいタイプの人に有効です。
手術の原理について説明します。以前「なぜ、鼻はつまるのか?」という記事で書きましたが、鼻炎の鼻づまりの原因は鼻甲介の腫れです。そのうちでも、特に腫れやすい下鼻甲介を、高周波やレーザーで灼いてボリュームを減らすことによって、鼻の通りをよくします。
当院にては高周波を用いていますので、特に「高周波による粘膜下下鼻甲介焼灼術」について説明します。下の略図中のAは手術前の状態で、下鼻甲介が腫れて鼻づまりの状態。局所麻酔後、Bの様に下鼻甲介の前面から後方に向かって、双極針を刺入していきます。双極針というのは平行に並んだ電流を流すための針で、3cm位刺入したところで、高周波という電流を流します。高周波というのは電子レンジにも使われているのですが、水分のあるところでは熱を発生します。下鼻甲介粘膜下のごく狭い範囲で、60~70℃まで熱が出ますので、そこでは熱変性ということが起こり、下鼻甲介の体積が減るのです。また同時に、粘膜下の鼻水を出す、鼻腺や、くしゃみを起こす末梢神経も一部焼灼されますので、くしゃみ、鼻水にもある程度の効果が期待できます。図Cは手術後、下鼻甲介の腫れが引いた状態のイメージです。ちなみにレーザー手術もほぼ同様の手術です。

手術そのものの時間は、左右併せて15分程度です。術前の局所麻酔や、術後安静にして頂く時間も含めますと、約1時間は院内にいて頂くこととなります。また手術当日でも、術後の経過が良ければ、デスクワークなど、肉体的にきつくない仕事は可能ですし、食事などの日常生活は、ほとんど普段通りで大丈夫です。
手術後の合併症としては、術後2,3日は鼻血が少し出易いこと、術後1週間程度は、鼻づまりが一時的に強くなることです。鼻づまりを良くするための手術で、逆に鼻づまりがひどくなるのは不本意なのですが、一時的な反応ですので、これだけは我慢してもらっています。
手術の費用は、もちろん保険適応ですし、もともとが手術としては非常に安い方の部類ですので、左右両方やっても、窓口でお支払い頂くのは、1万円で十分おつりがきます。通年性アレルギーの人はもちろん、花粉症でも重症な人ほど効果があり、私個人としてはいい手術だと思っているのですが、実は、今ひとつ流行ってません。それは、あまりに報酬が安すぎるため、医者の方が積極的に勧めないためかも知れません。しかもレーザーだと必要な器械はとても高いのです。(参考資料レーザーの見積書)
そんなわけで、レーザーにしても高周波にしてもすべての耳鼻科でやっているわけではありませんし、手術適応についての考え方も、医師によって少しばらつきがありますので、まずは耳鼻科主治医に相談してみましょう。
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勉強不足で恥ずかしいです。
ただし、ネット上の情報や医療相談はあくまでも一般論です。あなたのお子さんにとって一番いい方法は、ここでよりも、もう一度主治医の先生に相談した方がいいと思います。