妊婦さんと花粉症

スギ花粉前線は現在東日本を北上中。ここ山形でも、もうすぐスギ花粉の飛散が始まります。昨年は数年に一度のスギ花粉の大豊作であることが、早くから予想され、テレビや新聞などでも盛んに特集を組んで、スギ花粉症を取り上げてくれました。その効果もあってか、今頃の時期にはすでに、早期治療を希望される患者さんが大勢受診されていましたが、今年はまだあまりいらっしゃいません。本当は、そろそろ薬を飲み始めた方が良い方もいるんですが、、、、。

それはさておき、スギ花粉症で受診する方で一番多い層は、実は20〜40代の女性なんです。というわけで、妊婦さんの花粉症というケースも多いわけです。この場合困るのが、胎児に影響を与える可能性のある薬は使いづらいということです。まず、妊娠4ヶ月まではほとんどの薬は使わない方が無難です。5ヶ月目になったら、ステロイドの点鼻は比較的安全ですので、処方します。ただし、飲み薬はいずれも胎盤を通って胎児に移行しますので、あまり使いたくないところです。

薬に頼れないとなりますと、余計に日常の注意が必要になります。まず、テレビ、新聞やネット上の花粉情報はこまめにチェック。一日のうちでは、午後2時から4時頃までは花粉の非常に多い時間帯なので、要注意です。また、雨上がりに急に晴れたりすると、花粉も多く飛ぶし、水分を含んで破裂した花粉から、抗原そのものが飛び散るとも言われておりますので、特に要注意です。こういった日には外出を控えるとともに、窓を開けない、洗濯物を外に干さないなどの注意が必要です。もし外出した場合、洗濯物も外に干してしまった場合は、衣服や洗濯物をはたいて花粉を落とすことは有効です。外出時の衣服の素材によっても、家の中に持ち込まれる花粉の量は違ってきます。ナイロンや綿など表面のツルッとしたものの方が、毛やフリースなどよりも良いと思います。外出時、マスクとメガネもできるだけ付けましょう。マスクは花粉症用のものの方がやはり有効なようで、使用頻度にもよりますが、2〜3日に一度ぐらいは取り替えましょう。

とりあえず、今思いつく日常の対処法を挙げてみましたが、それでもひどくなったらどうするか。医薬品を使わない治療法としては、昔から温熱療法っていうのが良いとは言われています。これは鼻から暖かい水蒸気を吸入するもので、要するにスチームですね。専用の機械もあるようですが、なければ風呂で、お湯に浸したタオルを鼻の表面に当てて暖めるのも有効でしょう。それから、良く聞かれるのが健康食品はどうなの、っていうことです。これは、口コミや、マスコミが花粉症に効くと宣伝してはいるものの、科学的に効果が証明されていないものが多いので何とも言えず、あまり胡散臭いのはお勧めしたくないです。ただ、ビフィズス菌BB536っていうやつを含んだヨーグルトは、科学的に効果が証明されているようです。また、これは健康食品ではないのですが、よく駅伝の選手なんかが鼻に張っている絆創膏みたいなテープ、「鼻腔拡張テープ」っていうですが、あれは貼る場所をきちんとすれば、鼻づまりに効果があるそうで、これらは、きちんと論文にもなっております。

以上、ずらずら〜っと花粉症の妊婦さん向けのアドバイスを書いてみました。どこかで元気な赤ちゃんを産むため人ために、すこしでもお役にたてればうれしいです。

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Commented by lily at 2006-02-17 23:55 x
ほんと、妊婦さんの薬には気を使います。
蕁麻疹でこられた妊婦さん、とっても痒くて辛そうでした。薬は使いたくなかったので、わらにもすがるつもりで維持輸液の点滴をしました。(実は、治療指針に書いてあったんです。)すっと良くなったそうで、ラッキーと思った経験があります。
Commented by jibikai at 2006-02-18 16:16
>lilyさん。女性はもちろんのこと、男性からも「これから子供を作りたいんですが、薬飲んで大丈夫ですか。と聞かれることもあります。」
by jibikai | 2006-02-17 12:27 | 花粉症・アレルギー | Comments(2)

山形市の耳鼻咽喉科 あさひ町榊原耳鼻咽喉科  院長のブログ


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