音の暴力

『奈良の“騒音おばさん”に懲役3年の求刑』  とのこと。サンスポ.comより。

記事によると検察側はCDラジカセを大音響で流したことにより、隣の家の主婦に不眠や頭痛を生じさせたことが、傷害罪にあたると主張。一方、弁護側は音を流したことは傷害とは言えないと反論しているようです。果たして騒音が傷害として認められるのかどうか、裁判の成り行きを見守っていきたいと思います。

このおばさん、三三七拍子あるいはラップ調のリズムで、布団をたたきながら「引っ越し、引っ越し、さっさと引っ越〜し」と叫んでいるシーンが、繰り返しテレビで放映されましたので、覚えている方は多いと思います。妙にリズム感が良くて、彼女のパフォーマンスには隠れファンまでいたとのことで、才能はもっと違うところで生かすべきだったと思います。

冗談はさておき、あの程度の騒音では、難聴にはならないことは、『音響外傷・騒音性難聴』に以前書きました。ただ、難聴を来さない程度の騒音であっても、毎日聞かされる方はたまったものではありません。もし、彼女が有罪になるなら、突然、住宅地にスピーカー付きワゴン車で乗り付けて大音量で演説を始める政治団体、やたら吠えまくる犬を、訓練することもなく飼い続ける飼い主なども、度が過ぎると、逮捕され裁判で有罪になる可能性もなくはありません。

また、アメリカではアップルコンピュータが、iPodで難聴を来す可能性があるとして、訴えられているとか。確かに、目一杯ボリュームを上げれば110 dB位の音が出るとのことですが、それは何もiPodに限らず、他の携帯型プレーヤでも同じと思われます。ただ、訴訟を起こしている人の言い分としては、「特にiPodでは長時間の再生が可能なので、難聴を起こす危険性が高い」とのこと。iPodを褒めてるのか、けなしているのかよく分からない訴えで、長時間聴くか、聴かないかはユーザ側の責任と思います。ただ、何しろアメリカのことですのでどんな決着になるのか想像もできません。日本では、たぶん同じ理由でアップルコンピュータが訴えられとは思いません。それよりも先に、パチンコやあたりが訴えられる可能性はあるかも知れません。BGMやアナウンスなどが店によっては90 dBを超えるところもあると思われ、また難聴や耳鳴などの耳の異常を感じても、勝負を優先して打ち続ける人が多いと思われます。店員や常連客は、騒音性難聴になっていてもおかしくはなく、ちょっと心配です。

きょうは、久しぶりに耳の話でした。

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by jibikai | 2006-02-25 17:15 | 耳のはなし | Comments(0)

山形市の耳鼻咽喉科 あさひ町榊原耳鼻咽喉科  院長のブログ


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