「割りばし事故」の判決
2006年 03月 28日
以下、Yahoo! Japanより。
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「延命の可能性低い」医師に無罪…割りばし死亡事故
1999年に東京都杉並区の保育園児杉野隼三ちゃん(当時4歳)が綿あめの割りばしをのどに突き刺して死亡した事件で、業務上過失致死罪に問われた元杏林大学付属病院医師・根本英樹被告(37)の判決が28日、東京地裁であった。
川口政明裁判長は診断上のミスがあったことを認めたが、「治療したとしても延命の可能性が極めて低かった」と述べ、無罪(求刑・禁固1年)を言い渡した。
隼三ちゃんは99年7月10日、割りばしをくわえたまま転倒し、翌朝死亡。その後の解剖で、頭蓋(ずがい)内から約7・6センチの割りばし片が見つかった。
検察側は、耳鼻咽喉(いんこう)科の当直医だった根本被告が、コンピューター断層撮影など、必要な検査を怠ったまま、帰宅させ、死亡させたとして起訴していた。
(読売新聞) - 3月28日15時14分更新
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「治療したとしても延命の可能性が極めて低かった」として、無罪の判決。遺族側と担当医師のどちらに肩入れをするわけでもありませんが、妥当な判決だと思います。
子供が生きているうちに診断できず、亡くなってからはじめて死因が分かったという点で、ご両親が不満をもつのはわかりますが、だからといって、死亡した原因が担当医にあるとまでいうのは行き過ぎた論理です。
CTを撮っていれば、おそらく診断はついたでしょう。しかし、診断がついたからとはいえ、咽から刺さって、小脳の中に取り残された割りばしを取り除くのは、容易ではなかったでしょう。咽から摘出するにしても、頭の方から摘出するにしても、かなりの危険を伴うことは、容易に想像できます。
今回の判決、医療に従事するものとしては、正直いって、ほっと胸をなで下ろすものでした。しかしながら、この担当医は、裁判で争った数年間、どうしていたのか知りませんが、おそらく臨床どころではなかったのでしょう。患者さんの信頼も揺らいだかも知れません。医師の家族だって、さんざん嫌な思いをしたことでしょう。でも、そこまで悪いことをしたのでしょうか。
また、医療の現場へ与えた影響も少なくありません。本来検査というものは、診断や治療の為に行うべきなのですが、本質を逸脱して、とにかく「訴えられないように」検査するような風潮を生んだといえます。
6年間もの間、裁判で争って来たのだそうですが、亡くなった患者の遺族にとっても、訴えられた医師にとっても、医療界全体にとっても、なんだか、非常に不毛な裁判だった様な気がしてなりません。
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>「刑事責任は問えません。」というのはごもっともで、それは早く分かっていたはずなのですよね。なぜここまで裁判が長引いたのかということの方が、むしろ不思議なくらいだと思います。