情報公開します。
2006年 03月 30日
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A:「私は、風邪を引いたら、まず耳鼻科に行くわね。その方が早く治るような気がするし、それに、、、診察の時服を脱がなくてもいいし。」
B:「耳鼻科って1回も行ったことないから、なんだかよくわからないよ。たぶん一生かかんないんじゃないかな。」
C:「子供の時よく通ってたけど、すごく混んでて待たされて、鼻とか耳にちょっと薬付けられてお終い。でも、毎日通わされてた。時々、痛い処置とかもあったし、あんまりいい印象ないな。できれば、行きたくない。」
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A、B、Cのどれが正しくて、どれが間違いという話をしようというわけではありません。ただ、人の話を聞いていると、ごくまれに耳鼻科をうまく利用している人もいますが、一方では、本当は耳鼻科を受診すれば解決するかもしれない、身体の不調をいつまでも抱え込んでいる人も多く見かけます。その原因として、耳鼻科というだけで何か敬遠されがちな、マイナスのイメージがあるのかも知れないと思います。その理由として、治療している対象が、耳だの鼻だの喉だの、いずれも奥まった場所にあり、イメージしづらいことが、一番大きいのでしょう。また、もともと病院や診療所って何か特殊な所っていうイメージで、近寄りがたい所があるのかも知れませんが、内科などですと、自分でなくとも家族や親戚の誰かが通院していたりして、何となく病気についても、高血圧だの、糖尿病だの、胃潰瘍だのと、結構名前ぐらいは誰でも知っているものが多く、馴染みやすいのかも知れません。しかし耳鼻科に通っている人って結構限られてくるので、その辺の情報が伝わりにくく、それがまた耳鼻科の敬遠される理由じゃないかと考えました。
非常に、前置きが長くなりましたが、そこで耳鼻科というのはどういうものなのか、とにかく知ってもらおうと考え、今回は、「耳鼻科に通っている人っていったいどんな人たち?」っていう話をします。
図1は、昨年当院を初めて受診した人の男女別、年齢別分布です。昔、耳鼻科に通ったことのある人は、耳鼻科って子供とお年寄りが多いっていうイメージかも知れませんが、意外と老若男女、幅広い層の方が受診していることがわかります。
また、詳しくみてみますと10歳以下の男の子と、21歳から40歳までの女性が多いことが分かります。この結果は、自分としても結構意外です。耳鼻科開業医のところの患者さんというのは、子供と高齢者が多いというのは、かつては常識でしたから。実際、自分の医院の統計をとってみて、若い人もこんなに受診しているんだと、驚いているところです。(ちなみに、当医院のある場所は、山形市街地の東のはずれで、県庁が近くにはありますが、どちらかというと住宅地です。受診している患者さんは、職場が近いからという方もいらっしゃいますが、どちらかというと、住所の近い方の方が多いと思います。)
では、なぜ予想や、かつての常識と異なり21歳から40歳ぐらいまでの人も多いのでしょうか。一つの仮説として、アレルギー性鼻炎の増加、特にスギ花粉症の増加ということを考えました。図2は昨年、初診した患者さんの中、アレルギー性鼻炎の方とそうじゃない方を色分けしたものです。驚くべきことに、男女とも21歳から40歳までは、約半数もの人がアレルギー性鼻炎で(もちろん他の病気も合併していることもありますが)、受診しているのです。
図2:当院を受診した人のうち、アレルギー性鼻炎の患者さんの割合。
かつて耳鼻科といえば、中耳炎、副鼻腔炎、扁桃炎などの感染症がおもな対象疾患だったのですが、現在は花粉症を中心とした、アレルギー疾患を持つ患者さんが多く、そのため受診する患者さんの年齢層も変わってきていると考えた次第です。
こういった、統計的な話題はこれからも時々取り上げていこうかと思っています。
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1980年代後半の田舎町です。蓄膿症と言われてましたが、今の言葉で言えば、慢性副鼻腔炎でしょう。鼻がいつも詰まっていて、強く鼻をかむと、粘稠で濃い黄色の鼻汁がべっとりとペーパーにつく。
近所に耳鼻科診療所は1箇所しかないから、選択の余地はなく、何度行っても、ネブライザーで薬液を入れられるだけで、治らない。半年にわたる通院は、ほとんど何の効果もありませんでした。通院をやめて1年くらいしたら自然治癒してました。
大学の同級生の女の子は
「近所の耳鼻科で半年かかっても治らなかった副鼻腔炎が、ちょっと遠出して大学病院へ行ったら1ヶ月で治った」
と言ってましたので、やはり診療所による技術格差は著しいものがあると思います。
眼科診療所も同様で、白内障の老人に目薬を処方するだけで、手術のサジェスチョンすらしないで放置しているところが存在します。自分でできないなら、他院を紹介すればいいと思うのですが。
それはさておき、副鼻腔炎の治療というのも90年代前半頃に劇的な変化がありました。以前は治りにくい病気の代表的なものだったのですが、一つにはマイクロライドという抗生剤の内服療法、もう一つは内視鏡手術の発達により、治癒率はかなり上がっています。
そのほかにも様々な発展はあるのですが、世間のイメージとしては前近代的な診療科と思われているのでないでしょうか。そういった誤解を取り除いて、耳鼻科の役立つ面をアピールしていくのが、実はこのブログの大きな目的なのです。
また、患者さんにとっては、ある程度理論武装していただいて、医者を選ぶ眼を養う助けとなれば幸いと考えています。
そういえば、10年ぶりに行った歯科診療所の治療も、ほとんど苦痛がありませんでした。子どものときは、歯科のドリル音を聞くだけで震え上がってしまって、頬がはれ上がるぐらいになるまで我慢していたものですが。
また、眼科にとっての白内障とは、耳鼻科では老人性難聴が、多くの老人がかかり、機能障害を来すという点で似ている点が多いと思います。しかし、白内障は仰るとおり、眼内レンズで視力回復が見込めるのに対し、老人性難聴は今のところ有効な治療法はなく、この辺も今後の課題かも知れません。