扁桃肥大

ある耳鼻科診察室にて。
今日は、小学校1年生の男の子を、お母さんが連れてきた、という想定。
(フィクションです。)
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医者「今日は、初めてですね。どうなさいましたか。」

お母さ「実は、子供が学校の耳鼻科健診でこんな紙をもらってきまして。」

(お母さんは、学校から発行された健診票というものを見せる。それには、”扁桃肥大”、“要経過観察”と言うところに○がつけてある。)

医者「なるほど、扁桃肥大ということで、一度診てもらうよう言われたわけですね。」

お母さん「はい。でも、そんな風に言われたのは、今回が初めてですし、別に何ともないみたいなんですけどね。」

医者「じゃあ、診てみましょう。う〜ん、やっぱり扁桃は大きいようですね。」

お母さん「はあ。扁桃ってどこにあるんですか。」

医者「口をあ〜んと、大きくあいたとき、のどちんこの両脇に見える、桃の実の種みたいな格好をしているのが扁桃です。で、診てみますと、両側の扁桃がほとんど真ん中でくっつきそうなぐらいなので、かなり大きいといえるわけですよ。」
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お母さん「そう言えば、この子の父親も、小さいとき扁桃腺が大きいから、とったっていってたっけ。これって遺伝するんですか。」

医者「ある程度、遺伝性もあると思いますよ。」

お母さん「ところで扁桃腺が大きくて、何か困ることがあるんですか。」

医者「上の図で説明しますと、扁桃は口から咽にはいるところの両脇にあるんですが、あまりに大きいと、呼吸の妨げになるんですよ。」

お母さん「呼吸の妨げ?」

医者「具体的には、口で息をするようになったり、いびきをかいたり、ひどくなると睡眠時無呼吸といって、夜寝ている間に、呼吸が止まる原因になるんですよ。」  

お母さん「そういえば、いびきは、よくかいているみたい、、、、。」

医者「いびきが途中で途切れて、息が止まっているようなことはありませんか?」

お母さん「そこまでは、ないみたいですけど、、、、。」  

医者 「そうですか。じゃあ、少し様子を見ていびきだけじゃなくて、呼吸が止まっているような様子もあったら検査することにしますかね。」

お母さん 「検査って、どうやるんですか。」

医者「ポリソムノグラフィーといって、寝ている間の呼吸の状態や循環の状態をモニターするんですが、入院してやる場合と、こちらから器械を貸し出して、家で検査する場合があります。」
  
お母さん「検査すると、何がわかりますか?」  

医者「寝ている間に呼吸が止まっていないかどうか、止まっているとすれば、その回数や時間がわかります。それから同時に、血液中の酸素飽和度というものを調べますので、酸素不足に陥っていないかどうかもわかります。」       

お母さん「検査の結果、無呼吸がひどい場合は、どうするんですか。」

医者「扁桃をとったほうがいいと思います。」       

お母さん「扁桃を取るってどうするんですか、ここでもできるんですか?」  

医者「まあ、取ると仮定した場合、全身麻酔も必要だし、入院も必要なので、うちの医院ではやってません。でも、信じて任せられる耳鼻科の常勤医がいて、手術のできる病院を紹介しますから心配ありませんよ。」       

お母さん「入院期間はどのくらいかかるんでしょうか。」 

医者「手術前が1〜3日、手術後が8〜10日程度なので、10日から長くて14日間位です。」

お母さん「ところで、前に扁桃腺を取ると身体が弱くなるような話を聞いたことがあるんですけど、取っても大丈夫なんですか?」

医者「扁桃の働きって、乳幼児期に世の中にはどんな細菌やウイルスがいるのか、身体が覚えるため、口の中に入ってきた病原体を捕まえて、全身の免疫系にその情報を受け渡すような、役割をしているらしいのですが、あまりはっきりしていないのです。5歳を越えると扁桃はまず有益に働いてはいる可能性はないので、取ったからといって身体が弱くなる心配はありません。」

お母さん「わかりました。とにかく、まずは呼吸の様子をよく見ておくことにします。」

医者「そうですね。それで、心配なことがありましたら、いつでもいらっしゃってください。」


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(補足)
扁桃は年齢とともに大きさが変化します。一生のうちで7歳頃が最も大きくな時期なので、幼稚園や小学校低学年のお子さんは、潜在的に扁桃肥大になりやすいと言えます。その内で、手術が必要になる子のわりあいはそう多くはありませんが、睡眠時無呼吸のある場合は手術適応となるケースが多いです。
健診票に「要 経過観察」となっていた場合、呼吸の状態を観察して、心配があれば早めに耳鼻科を受診しましょう。

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by jibikai | 2006-06-09 16:33 | のどのはなし | Comments(0)

山形市の耳鼻咽喉科 あさひ町榊原耳鼻咽喉科  院長のブログ


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