耳垢
2006年 06月 13日
耳垢には、茶褐色でベタつきのある「湿性耳垢」と、黄白色でカサカサした感じの「乾性耳垢」があります。どちらの耳垢になるかは、メンデルの法則に従い、遺伝的に決まります。日本人には乾性耳垢の方が多いですが、湿性耳垢が病気というわけでは、もちろんありません。
耳垢はどこで作られるかというと、鼓膜表面や外耳道で作られますが、正常な状態では鼓膜の中心から外側に向かって、さらには耳の穴に向かって、耳垢は自然に移動してきます。そして顎を動かした時などに、勝手に耳の外に出て行ってしまっています。ですから、通常は耳の掃除というものを、頻回にやる必要はないのです。むしろ、毎日耳掃除をしたり、竹などの堅い材質のもので、強くこすると、外耳道炎を起こしてしまいますので、やりすぎは禁物です。
せいぜい、週1回ぐらいの割合で綿棒を使って、耳の穴から1cm位の所までを、掻き出すように掃除するだけで十分です。もしそれでも、耳垢が貯まってしまう場合(耳の穴が塞がるほどになるのは耳垢栓塞というのですが)は、家庭ではおそらく安全に取るのは不可能ですから、耳鼻科を受診した方がいいと思います。なお今の時期、幼稚園や保育園、小中高校などでは耳鼻科健診が行われていますが、「耳垢」とか「耳垢栓塞」という病名があれば、耳鼻科で取ってもらって、鼓膜の状態なども確認してもらいましょう。
また、よく小さいお子さんを持つお母さんから、「耳かすだけで、耳鼻科にかかっていいんでしょうか?」という質問を受けますが、全く問題ありません。大歓迎です。家で無理に取ろうとして、傷つけたりするよりずっといいですし、ついでに外耳道や鼓膜の病変もチェックしてもらえますから、遠慮せずにお子さんを耳鼻科に連れてきて下さい。ちなみに、私にも小学生の子供がおりますが、生まれてこの方、家では子供の耳掃除はしたことがありません。家では耳の中を見る顕微鏡などがないため、闇雲に掃除するのは危険だからです。ただ、私は取らなくてもいいと言っても、母親は気にしますし、それこそ学校の耳鼻科健診で「耳垢栓塞」と書かれるのもさすがに恥ずかしいのです。で、どうしているのかといえば、実は、たまに診療所に連れてきてチェックしています。
え、自分の耳はどうしているかですって?自分で顕微鏡を使って取るわけにはいきませんので、とりあえず、今のところ週一で家で掃除する程度で、問題はないようです。でも、今は自分の耳でもかなり詳しく見られるんですよ。耳の中をいかに覗くか、という話はいずれそのうちに、、、。
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鼓膜の写真を撮るのは、数年前なら結構な機材や熟練を要しましたが、最近は簡単になりました。