地域の特色
2006年 06月 22日
以前、河北町というサクランボの名産地にある、病院に勤めていたときの話。10数年前のちょうど今頃、早期癌の患者さんが受診しました。確か60代ぐらいの男性だったと記憶しています。とにかく早めに入院する必要がありましたので、そうするよう勧めたのですが、サクランボの収穫を控えているので、出来ないとのこと。1ヶ月後では駄目か、と言われました。最初、悪性とは告知していなかったため、そんな悠長な事を言っているんだろうと思い、「このままだと悪性になって、命も脅かしますよ。」というようなことを言って、何とか早く入院するよう説得しました。命も危ないと脅せば、観念してくれるだろうと期待していたのですが、返ってきた答えは、収穫の時期を逃せば、数百万の損害になるから駄目だとのこと。結局、家族にも説得してもらって、なんとか入院していただき、事なきを得ました。

その他、田植えや稲刈りの時期には、患者さんは具合が悪くても、医者にかかるのは後回しにするため、病院全体が暇になったりなど、農業主体のところならではのペースというものがありました。かと思うと、海辺の町の病院に勤めていたときは、ウニやアワビの解禁日にはほとんど患者さんが来なかったりと、特に第1次産業の盛んなところには地域の特色がありました。
今、開業している山形市は、そういった特色はあまりない方で、医院が混む、混まないは、曜日や、学校行事などに影響を受けることの方が多いようです。
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1年間丹精込めたさくらんぼ、収穫時期を逃せない生もの 自分の体の事なんかかまってられないんでしょうね。
昔主人が免許取立ての頃さくらんぼ畑に突っ込んで木を1本駄目にしてしまって、後の弁償が100万チョット掛かったと、お母さんから聞いたこと
あります。
それはさておき、自分の身体よりサクランボの方が大事、という立場も多少わからなくもないのですが、一刻を争う病状の場合は、妥協ばかりもしていられないのが、難しいところです。