他の科との連携を考える
2006年 08月 24日
いったい全体、この残暑は なんざんしょ。
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さむ〜いダジャレで涼んで頂いたところで、今日の話。
昨日、「第1回山形GERD研究会」というものに出てきました。ちなみに” GERD"というのは胃食道逆流症のことです。胃酸が食道に逆流することによって、胸焼け、ゲップ、のどの詰まる感じ、しつこい空咳 などが続く病気です。ちなみに、似たような病名で、逆流性食道炎というのがありますが、こちらはGERD(胃食道逆流症)のなかでも食道に明らかな炎症のある物を言います。
きのうの研究会では、耳鼻科と消化器内科の医者が一人ずつ、プレゼンテーションし、聴衆も耳鼻科医と消化器内科医が半々ずつという構成でした。テーマはGERDについてと、最近の消化器内科のトレンドである、「経鼻内視鏡(けいびないしきょう)」というものについてで、いずれも耳鼻科と消化器内科にまたがって関連している問題です。GERDなんていう病気は数年前まではあまり有名じゃなかった病気です。経鼻内視鏡というのも胃カメラの細い物を作るのが技術的に可能になってはじめて、口からよりも苦痛の少ない鼻から入れられるようになったもので、これも数年前まではなかったものです。ということで、時代のニーズがあって実現したとも言える耳鼻科と消化器内科の合同の研究会であったわけです。
(例えば、脳の病気は脳神経外科、皮膚の病気は皮膚科、、、、という風に、)西洋医学というのは、病気を臓器別に診るという特徴があります。それはそれで、長所もありますが、短所もあります。短所の一つとしては、病変の起こっている部位にのみ注意が払われすぎて、全身的な問題が時として忘れられてしまうこと。もう一つは、既存の診療科の分類では境界領域や複数の科にまたがる病気、たとえば胃食道逆流症、めまい、アレルギー疾患、カゼ症候群や睡眠時無呼吸症候群など、を診療する際、各科において診療方針が変わってしまうなどの弊害が出てきます。
境界領域や複数の診療科にまたがる病気を診る場合、どうしても、自分の科のやり方が最良と信じてしまいがちですが、診療科が違えば、また違うやり方も存在するわけで、どちらがよいかはもちろんケースバイケースです。診療のための手段は、その都度いくつかの選択枝から選んでいくわけですが、そのための引き出しは多い方が理想的です。引き出しを増やす意味でも、他の科の流儀を学んだり、必要に応じて連携して治療に当たるのも重要であると実感した次第です。
私の病院では、耳鼻科でめまいでかかると「心理療法」なるものがあって精神化と連携をとっているそうです。「そうです」というのは、私には縁がなさそうで、別ルートで知りました。私には縁がありませんでしたが、こういう連携は大事で「内耳」だけが悪いのではなく、他にも目を向けるためにも必要なのではと思います。
かといって、自分のところでカウンセリング等しているかといえば、ほとんどしておらず、その辺どうするか、特に今後は考えて行かなければならないと思います。
しかし開業の耳鼻科の先生が見るには限界がありますね。うちの病院は心理士を2人雇っているので何とか対応できていますが私一人では外来がパンクしてしまいます。
耳鼻科と精神科の境界にある問題を抱えている患者さんをどう診るか、自分に当てはめるとなかなか難しいです。
耳鼻科外来で診る場合は、診察室の構造上プライバシーが保たれないこと、時間的な制約、診療報酬として全く報われないことなどが、問題になってくると思います。
ただし今後避けては通れない問題ですので、考えていかなくてはいけないと思います。