在宅医療〜いわゆる往診〜

耳鼻科、特に開業医レベルで診る病気としては、余り切羽詰まったものがないせいもあるかと思いますが、往診を頼まれることはめったにありません。

いままで一番多かったのは(といってもこれまでに2人だけですが)、ALS(筋萎縮性側索硬化症)という病気で動けない方が、滲出性中耳炎となったケースで、その他には、脳血管障害で寝たきりの方の耳かす取り、同じく寝たきりの方が嚥下性肺炎を起こしたケースなどです。

耳鼻科の診療は普段はいろんな道具がまとまった、”ユニット”というものを使って行いますが、往診の場合は最小限の器具しか使えません。私の場合は、まずヘッドランプというものを欠かさず持って行きます。これで、ベッドサイドでも耳、鼻、のどを診ることが出来ます。
また、必要があればファイバースコープも持って行けますので、喉頭までは診ることができます。あとは処置の必要性に応じて、携帯用の吸引器などを持って行くこともあります。

ということで、最低限の処置は往診でも出来るように備えてはあるのですが、問題は時間と交通のことです。
時間については、花粉症の時期以外は一般の外来は余り混みませんので、まあ、何とか昼休みなどを利用して行けるようになりました。
交通の問題とは、患者さんのお宅まで無事たどり着けるかどうかということです。なにしろ私は方向音痴なもので、何十年と住んでいう地元なのに、平気で道に迷います。しかも、一度も行ったことのない患者さんの家に行けるかどうかが問題でした。しかしこれも、カーナビという文明の利器を使うことで無事解決しました。

以前ならば、なかなか苦労が多かった往診も、いろんな道具の助けもあり対応できるケースが増えてきましたので、近所の方、もし困っていらっしゃるようなら、ご相談下さい。

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Commented by osha-p at 2006-09-15 22:37
往診とは一昔前の話で今でも対応してもらるなんて思っていませんでした。メニエルの大発作の時は頭が動かせないので嘔吐がひどい人にはとてもいいでしょうね。私は、「頭を動かさないでじ~っと寝てる」で対応してきてしまったので、往診の必要はなかったのかもしれませんが、「脳がめまいに慣れる」前に、そういういちばんひどい時の眼振をみてもらいたかったなとは思います。
Commented by jibikai at 2006-09-16 08:48
>osha-pさん、おはようございます。
往診は、私のところでは、動けない人限定で対応しております。

めまいの急性期も確かに動けないわけですが、
昼休みなどを利用してということになりますので、
直ぐに対処して欲しいという場合でも、外来の時間中は
行けないのがネックになります。
また、中枢性が疑われる場合や、聴力低下も疑われる場合などは、
聴力検査やMRIなどがどうしても必要となってきますので、それが
問題かなと思い、今のところめまいは在宅では診ていません。

ニーズはかなりあるとは思うのですが.....
Commented by osha-p at 2006-09-17 11:16
そんないい手があるなんて!と思わず書き込んでいましたが、そうですね。めまいは24時間いつ起こるかわからないし、、、。眼振を見てもらうようにという医師の言葉に従って無理して救急に行った事もありましたが、その時の救急担当は外科医。これで、じっと寝てるのが一番、または診察の日に偶然めまい発作になるしかない・・・と思いました。(^^;;
Commented by jibikai at 2006-09-17 22:03
>osha-pさん、
たとえば、メニエル病と診断がついていて、その発作と分かる場合は、ベッドサイドで眼振を診て、めまい止めや吐き気止めの注射をするぐらいはできそうですが、まあ、あくまでも応急処置までで、起きられるようになったら、外来で聴力検査などはしなくてはならないでしょうね。
それから、確かに夜間の急なめまい発作などには、開業医では対処できないのが欠点ですね。
by jibikai | 2006-09-15 10:25 | 耳鼻科全般 | Comments(4)

山形市の耳鼻咽喉科 あさひ町榊原耳鼻咽喉科  院長のブログ


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