急性副鼻腔炎(その1)     〜診療シミュレーション〜

長らく更新をさぼっておりましたが、今日からまた復活です。

早速、今回は診療シュミレーションということで、もしこんな症状で耳鼻科にかかったら、どんな感じで診療が進んで行くのか、なんてことを、症状や疾患を想定して、医者と患者さんの会話形式で書いてみます。

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ある耳鼻科診療室にて
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今回の患者さんはAさん。43歳の女性

医師「今日はどうなさいましたか。」

Aさん「3週間前から風邪を引いてまして、、、、、、。」

医師「一言で風邪と言いましても、色々な症状があるのですが、具体的には何が気になりますか。」

Aさん「最初は熱があったのですが、それは下がって、咽も痛かったんですが、それは内科から薬をもらって良くなりました。」

医師「といいますと、結局、いま気になる症状というのは?」

Aさん「鼻づまりと、鼻汁です。あと痰がからんで咽がイガイガします。」

医師「頭痛はしませんか?」

Aさん「右目の奥が痛いです。」

医師「では、先ず鼻とのどを診させてください。
・ ・・・・・右の鼻の中の粘膜が腫れていますし、黄色い鼻がのどに流れ落ちていますね。急性の副鼻腔炎が考えられます。
・ 副鼻腔(ふくびくう)というのは鼻からつながる空洞で、顔面の骨の中にありますが、レントゲンでその状態を見てみましょう。」

----------------------------レントゲン検査後----------------------------

医師「顔面の骨の中には、額のところ、目の内側と、あと頬のところに部屋があるのですが、左のように透き通って黒く写っていれば、空気が入っている証拠なので正常です。
それに対して、右側の頬の中の部屋は全体的に白く写っていますね。これは粘膜が腫れ上がっているか、膿が溜まっていることを表します。
昔は、蓄膿症といいましたが、副鼻腔炎(ふくびくうえん)というのが、正式な呼び方です。
副鼻腔炎には慢性と急性があるのですが、今回は急に悪くなったので、急性副鼻腔炎ということになりますね。」

Aさん「蓄膿症は治らないって聞いたことがあるんですが、本当ですか?」

医師「いいえ、きちんと治療を受けていただけば、ほとんどの場合は2〜3週間ぐらいで治りますので、ご心配なく。ただし、慢性化したり、風邪を引くたびに繰り返し副鼻腔炎を起こすことも、人によってはあります。」

Aさん「治療はどんなことをするんですか?」

医師「先ず、鼻の中に薬を付けたりして、鼻から副鼻腔へとつながっている部分を広げて、副鼻腔へと空気が入りやすくします。それから、ネブライザーといって霧状にしたお薬を鼻から吸って、直接副鼻腔へと入るようにする治療をします。これは週3回ぐらいやった方が効果的なんですが、、、、、。」

Aさん「え〜、週に3回なんてとても通えません!!」

医師「どうしても無理なら仕方ありませんが、でも、頻回にきて頂いた方が、やはり治りはいいです。
それから、飲み薬もお出ししますが、抗菌薬といって細菌を増殖を抑える薬と、粘液溶解剤(これはハナの切れを良くする薬)です。」

Aさん「わかりました。」

医師「じゃあ今日は、先ほどお話しした、ネブライザーをやってお終いです。どうぞ、お大事になさってくださいね。」

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Commented by 大翔パパ at 2006-10-05 19:54 x
先生お久しぶりです。
相変わらず僕のためにあるブログのように感じました。

しかし「蓄膿症=副鼻腔炎」とは知りませんでした。

僕は昔(小学・中学の頃)、鼻ばかりすすってる子でした。その時親から「鼻ばっかりすすってると蓄膿症になる。蓄膿症は鼻を切ったりして手術をしないとダメなんだ」って言われていて恐怖に思っていた記憶があります。
今でも鼻はつまり気味で、強烈な臭い以外はあまり分かりません。
先生がおっしゃる治療は痛くはないのですか?
Commented by jibikai at 2006-10-05 23:22
>大翔パパさん、毎度です。
蓄膿症とは、副鼻腔に”膿が蓄えられる”ということで、付いた病名と
思います。まあ、一般的には蓄膿症の方が通りがいいかも知れま
せんが、正式には副鼻腔炎という病名になりますね。

記事に書いた治療は手術的治療に対して「保存的治療」という
ものですが、さほど苦痛なく受けられますし、むしろ治療後は
鼻の通りも良くなるはずなので、爽快感があると思います。
ただ、あまりに鼻の中が腫れていて、そこを広げる必要がある場合は
最初は少し痛いかも知れません。
Commented by apricot at 2006-10-06 13:56 x
先生こんにちわ。こまめに更新される先生が久しく更新されていなかったので心配してました。

私もちょうどこのシュミレーションに出てくる女性のような症状がありました。

3週間ぐらい前に風邪を引いて、微熱が出ました。その後、黄色い鼻水が出ていました。ただの風邪だろうと思っていたところ、なかなか治まらなかったんです。一週間ほど前から鼻水が透明に近くなり、今ではすっかりよくなりましたが、もしかすると副鼻腔炎だったんですかね?

次回調子が悪くなったら、早めに診てもらうようにします。
Commented by jibikai at 2006-10-06 15:04
>apricotさん、御心配おかけしてすいませんでした。
ちょっと充電してました・・・・・(←何を偉そうに・・苦笑)

ところで、急性副鼻腔炎(その2)にも書きましたが、実はこの病気、風邪引きの時には、結構当たり前に起きているのです。
ただ程度が軽ければ、自然に治っているわけで、治療が必要になるのは、症状が強いときと長引くときということになりますね。
もちろん軽くても、早めに治したいときと、繰り返すときは耳鼻科を受診した方が良いと思います。

充電期間は終わり、また、元のペースぐらいではアップしていきますので、また、よろしくお願いしますね。
Commented at 2006-10-07 22:54 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by jibikai at 2006-10-09 09:45
22:57鍵コメさん、
あまりお役に立てなかったかも知れませんが、
また何かあればご相談ください。
Commented by apricot at 2006-10-11 13:18 x
先生こんにちは。急性副鼻腔炎(その2)にも書いてありましたね。軽くても、診ていただけば、早めに治る可能性があるということですね。ありがとうございました。
Commented by jibikai at 2006-10-12 15:57
>apricotさん、こんにちは。
そうですね、軽い副鼻腔炎の場合、知らず知らずのうちに罹って、
いつの間にか治っている、ということも多いのですが、確かに
治療を受けられた方が、不快な症状は早く取れると思います。
ただ、働き盛りの人にこの病気は多く、なかなか直ぐに受診するのが
難しいと、皆さんよくおっしゃいます。
by jibikai | 2006-10-05 19:06 | 鼻のはなし | Comments(8)

山形市の耳鼻咽喉科 あさひ町榊原耳鼻咽喉科  院長のブログ


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