科学・非科学・ニセ科学

最近ネット上では、ニセ科学に対する批判が厳しいのはご存じでしょうか。

代表的事例としては、「水からの伝言」、「ゲーム脳」、「マイナスイオン」などは特にやり玉に挙がっています。いずれの事例においても問題なのは、実は科学的な検証が不十分か、検証したとしても確からしさが証明出来ないことを、あたかも実証済みのごとく、宣伝されてしまったことです。これらのニセ科学を発表した方にも問題があったのかも知れないが、その信憑性には目をつぶって、学校教育や商品の宣伝に利用してしまった人々は、反省が必要かと思います。

(ここまで、読んで「何のこっちゃ?」と思われる方は、「ニセ科学」で検索してみてください。)

ところで、そもそも科学とはなんぞや?ということになりますが、科学の定義は一つだけで「科学とは、常に反証できるものである。」ということだそうです。これは20世紀の科学哲学者カール・ポパーという人がいいだしたものです。現在ほとんどの科学者は、この定義を支持していますが、それに従うと、一つ困ったことが起きます。それは、科学が常に反証可能ということは、いつでも本当か嘘かひっくり返る可能性があるということを意味し、それではいつまで経っても真実といいますか、物事の真理にはたどり着かないということです。すなわち、目で見えることだって、もしかしたら嘘かも知れないということになります。ただし、限りなく本当らしいとか、限りなく嘘に近いということはありますので、検証されていく過程で、本当らしいとか、嘘らしいとか揺れ動くわけです。ニセ科学というのは、本当らしいという触れ込みで世の中に浸透はしたものの、その後の検証の段階でどうも嘘らしい、ということがわかって、もう引っ込みがつかない状態とも言えます。ニセ科学が科学になるためには、反証を認めてどうも自分のデータの取り方がおかしかったということを認めるか、反証を覆すだけのデータを再度集めるしかないと思うのですが、そういったデータが出たという話はまだ聞いていません。

では、非科学的なものというのはどういったことかといいますと、逆にいいますと「反証できないもの」ということになります。具体的には、宗教やおとぎ話が該当するのではないでしょうか。たとえば、ある宗教家が奇跡を起こすとして失敗した場合、「この中に奇跡を信じない者がいたから失敗した。」といわれれば、反証のしようがありません。ただ、誤解しないでいただきたいのは、非科学的なのは悪だとか、役に立たないとかそういうことを言いたいのではありません。以前の記事神頼みでも書きましたが、初詣にも行きますし、生きる指針として神様や仏様の教えを参考にすることもあります。

繰り返しますが、ニセ科学が問題なのは、その事象を発表した人の意図を超えて、色んな人の都合で、真実として宣伝され、利用され、どうも嘘らしいということがいわれても、反証が許されない様な状態になってしまっていることです。反証が許されない状態ということは、もうその時点で科学ではなくなってしまっているのに、「科学的に証明された」事象として、伝えられていくということは、かなりまずいことなのです。

非科学的なことがあたかも科学的なことのように宣伝されるというのは、実は医療においても非常に多いです。医療における「ニセ科学」すなわち「ニセ医療」は大体が耳障りのいい「理論もどき」を振りかざしますので、時として、科学としての「医療」よりも患者さんにとっては、本当らしいものとして、受け入れられたりします。これは、真剣に医療とその基礎になっている医学という「科学」に取り組んでいるものとしては、非常に憂慮すべきことなのです。

久しぶりに長文となりましたので、今日はこのぐらいにしますが、
次回は、続編として「ニセ医療」について、もう少し掘り下げて見たいと思います。

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Commented by peanut-street at 2007-02-17 11:32
いまやニセ科学フォーラムまで開かれ、科学者の中で対立する
様子がうかがえますね。
特に「水からの伝言」に関しては道徳的な感情を結びつける仕掛けが存在するので、注意というか危険とも思えます。
血液型性格判断も疑問視ですね~。
私はマイペースのO型ですが・・・。
Commented by jibikai at 2007-02-17 16:48
>peanut-streetさん、こんにちは。
ニセ科学、自分が勝手に信じている分には害が無いのでしょうが、
それを他人に、しかも子供に教えるとなると、厳密に確からしさを
検証しなくてはならないと思うのです。
それには、例えば「水伝」を書いた著者の本ばかりでなく、
それに対する反対意見とか、氷の結晶はどうできるのか、
一般的な記述のある文献にあたる必要があると思うのです。
その上で、こういう風に言っている人もいる、という程度に話せば
まだ良かったのだと思います。
血液型も・・・・まだ、占い程度に思っていれば問題ないのかと
思いますが。ちなみに私はA型ですが、几帳面とは言い
難いです(笑)。
Commented by osha-p at 2007-02-18 11:57
的はずれでしたらゴメンなさい。
現在、西洋医学で治療法が確立されていない疾患、あるいは疾患とさえされないような症状に対して、いろいろな代替医療が存在していますね。
私は代替医療を否定はしないのですが、商売ベースに乗らされてしまうモノかどうかは、素人では見分けもつきにくいですよね・・・。
Commented by jibikai at 2007-02-18 22:05
>osha-pさん、私も代替医療の一部には、実際に有効なものもあるし、
西洋医学の欠点を補うような方法もあるんじゃないかと思います。
問題があるところは、ある治療法が効くという説明をするときに、
一部、西洋医学的な理論をもっともらしくねじ曲げて利用し、
自分たちに不都合なところは、科学では解明できないとする
図々しさです。それでも効いている人もいると、彼らは主張しますが
効かない人はどの位いたのかも教えてくれないと、その治療法が
有効なのかどうなのか、本当は評価できないですよね。
Commented by Braven at 2007-02-21 18:19 x
私自身もそうですが、実際の科学者でも効き目がないとわかっていてもマイナスイオンのドライヤーを使ったり、モーツアルトの音楽を自分の子供に聞かせたり、果てはお正月に初詣に行ったりしていますよね。 全部科学で割り切ったって、人間どこかで何かを信じていたいと思います。
偽科学が対決すべきは多分人間の信仰心ではないのかな?
Commented by jibikai at 2007-02-21 23:15
>Bravenさん、お久しぶりです。
マイナスイオンを発生するというドライヤーは、実は家でも愛用して
います(苦笑)。
ちなみに髪の毛がサラサラになるらしいのは、静電気除去の
作用によるもの、という記載は何かで見ましたが、それとて定かでは
ありません。

>人間どこかで何かを信じたい
そう、まさにその通りだと思います。科学的に突き詰めていくと、
確かなものなど何一つ無い・・・・ということになりますので、それはそれで、すごく不安ですから、それぞれ自分なりの、信じられる心の拠り所、みたいなものは必要なんでしょうね。
by jibikai | 2007-02-17 00:23 | Comments(6)

山形市の耳鼻咽喉科 あさひ町榊原耳鼻咽喉科  院長のブログ


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