『パピラ』続報。〜免疫療法とは?〜
2007年 02月 27日
すが、今朝の新聞、テレビ、ネット上のニュースサイトでも報じられて
いました。
詳細は、和歌山県に住む40歳代の女性が、パピラ服用後にテニスを
していたところ、全身にじんま疹が出て、息苦しくなり病院に運ばれたが、
口の中と気道が浮腫を起こし、窒息し重体になったとのこと。
幸い、一命はとりとめたようですが、食品衛生法、薬事法に違反した容疑で
製造元(山形市 健森)は立ち入り調査を受けるとのことです。
なおパピラ服用と症状との因果関係などについては厚労省がこれから
調査するとのこと。商品はまずは自主回収の予定と、地元の山形新聞
では伝えていました。
やはりアナフィラキシーショックで間違いなさそうですが、逆に言えばたぶん
この「健康補助食品」かなりの人には効果はあったものと推測されます。
少しずつ抗原を身体に入れることで、有害で過剰な免疫反応すなわち
アレルギーを逆に抑え込んでしまおうという治療は、有効性が確認され
実際の医療現場でも行われているからです。
それは免疫療法、あるいは減感作療法といいまして、アレルギーを”治す”
ことのできる唯一の治療法です。実際、我々のやっている方法はスギ花粉症
であれば、濃度を調整したスギ花粉のエキスを、定期的に皮下注射する
方法です。最初はごく薄い安全と思われる量と濃度から始めて、徐々に
量や濃度を上げていき、極端に強いアレルギー反応のおこる一歩手前の
濃度で維持していく、という治療法です。当然ちょっと濃度が濃かったりすると
アナフィラキシーショックといって、急激に起こる全身性のアレルギー反応に
より、気道浮腫による呼吸困難、血圧の急激な低下、全身のじんま疹などが
起こりえます。ですから、注射するアレルゲンエキスの量は徐々に、徐々に
慎重に増やしますし、前回注射後に少し強く反応が出た場合には一旦量を
減らしたりします。それでも確率として注射数万回に1回、この治療を受けら
れる患者さん、数千人に一人ぐらいの割合で、アナフィラキシーショックが
起こるといわれています。ただし、もしアナフィラキシーショックが起こっても
それが院内にいるうちであれば、適切に対処できますので、死亡事故とか
後遺症を残すという心配はそれほどありません。
アナフィラキシーショックは注射後30分以内に起こりますから、それまでは
病院内で安静していて、何ともなければその後は特に副作用の心配もない
のです。
今回の事故で明るみに出た、パピラの問題点は、いくつかありますが
第一に「自然食品なので絶対に安全です。」と謳ってしまいまったこと。
自然だから安全なんて、誰が決めたのでしょうか?
自然にだって、フグ毒、ハチ毒、キノコの毒、以前殺人目的で使われた
トリカブトなどなど、危険なものは山ほどあります。
第二の問題点は、身体に入る抗原の量を調整できないこと。
医者が治療用に使うアレルゲンでさえ、実は濃度を一定にするのが
難しいとされています。ましてや、法の規制もない「健康補助食品」が
医薬品並みにきちんと品質管理され多とは思えず、アレルゲンの
濃度にはかなりばらつきがあったものと推測されます。
第3には実は、身体にアレルゲンを入れるという危険を伴う治療で
あったにも関わらず、医師の管理下で行われなかったこと。
幸い一命は取り留めたとのことですが、搬送が遅ければ死亡した
可能性や低酸素脳症などの後遺症を残した可能性も十分に考え
られます。
第4に、服用後の指導も十分ではなかったのではないでしょうか。
服用後、テニスをしたというのはやはり良くなかったです。
例えば、インフルエンザの予防接種後は、激しい運動はしないように
必ず注意書きに書いてあるか、口頭で指導されるはずです。
それは、インフルエンザワクチンでも、特に卵アレルギーの方などは
アナフィラキシーに注意しなければならないのですが、運動によって
アナフィラキシーショックがより起こりやすくなるからのです。
おそらく、「パピラ」の製造元は(なんと我が地元、山形の会社なの
ですが)、薬事法違反は免れないものと思いますが、他にも怪しい商品は
ネット上にあふれております。医者が使う医薬品であれば、もし副作用が
起きても救済、保証するシステムがあるのですが、こういった「クスリもどき」
の場合、何かあったら販売元や製造元相手に損害賠償請求するしかなく
へたをすれば、泣き寝入りということも考えられます。
ネットで評判が良いからという理由でどうしても、いかがわしいクスリに
手を出す場合、あくまでも自己責任でということになろうかと思います。
わたしの意見としては、素直に医者に行った方が良いんじゃないかと
思うんですがね。
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ご無沙汰してしまってました。
やはり、花粉症シーズンということでテレビでも花粉症関連の話題の特集が多いようですね。土曜日夜のSMASTATIONでも減感作療法について話が出ていました。注射だけでなく、舌の下(変な響きですね。)に滴下するタイプも試験が行われているそうですね。
パピラをはじめ健康補助食品の種類も非常に増えてテレビでもひっきりなしにCMをやってますけど、いつも「本当に効くのかな?」と疑ってみてます。飲んでよかったという人までテレビで商品を勧めてますが、なんとなく胡散臭くて抵抗があるんですよね。しかも驚くほど高い!
スギ花粉症~サプリにしますか?薬にしますか?~でも先生がおっしゃられていたように、診察していただいて、先生の指示通りに薬を飲んだ方が割安なような・・・。
そんな私も、このところ目がゴロゴロとしたり・・・花粉に反応しているのかもしれません。
舌下(ぜっか)減感作療法は、最近のトレンドで今研究中の分野です。
一般的には皮下注射が行われていますが、やはりアナフィラキシーの
可能性は0ではないので、病院でも診療所でもニーズはあっても
なかなか医者がやりたがらないというのが、実情です。
サプリは本当に沢山ありますよね。医者から処方された薬よりも、
自分で選ぶ楽しさがあるんでしょうかね。不経済だし、
効果や安全性の面では、医者が処方する薬の方がずっと
有利なのですが。
なくてはならない点にちゅうちょしています。
パピラ→山形と新聞で見て、先生を思い浮かべてしまいました。
すみません(笑)
民間療法も色々試しましたが、私の場合医師処方薬が一番
効いています。って当然な話ですね。
でも○○を食べて本当に治るのかなと、結果が楽しみな患者の気持も
わかってくださいね。
辛いならそんな遠回りはよせ?!はーい
こちらの地方版のニュースでは、「パピラ」の問題を大々的に取り上げ
ていました。医者の処方が一番効くとは思いながらも、民間療法も
気になるという心理、この頃は少しは分からないでもないな、
と思うことがあります。そのうち、ブログネタにしたいと思います。