タミフル問題
2007年 03月 22日
問題、皆さんすでにご存じの方も多いかと思いますが、ニュースサイトでは
下のリンクのように報じています。
<タミフル>保護者も不安…医療機関で混乱も [ 03月21日 21時42分 ]
この問題についてはこのブログでは過去に
どうする!?タミフル
タミフルと異常行動死
などの記事で、この問題を取り上げてきました。
マスコミの報道をみますと、厚生労働省の見解がコロコロ変わるので
医者や患者が混乱して困っているとの論調ですが、そうでもないんじゃ
ないかなと、私個人としては思います。厚生労働省はタミフル内服後の
異常行動が、タミフルそのものと因果関係については、「不明」という
点では、何ら変わらないからです。当院としての対応も従来通り。
「インフルエンザは特に免疫の低下や、極端な体力低下がなければ、
特に薬を使わなくても治る病気であること。」
「熱の出る期間を短縮するには、ウイルスの増殖を抑える薬が有効で
あること。」
「有効な薬としてはタミフルとリレンザがあり、効果はほぼ同等といわれて
いるが、タミフル内服後に異常行動を起こした症例が何例かあり、
今のところ因果関係がはっきりしていないこと。」
などを説明して、相談の上で薬をどうするか決めています。
その結果、リレンザという吸入薬を処方するケースが多くなっていますが
これだって、薬である以上100%安全とは言い切れません。
要は薬を使うことによって起こりえる利益、不利益、また望ましくない反応が
起こるとすればその確率も考えて、冷静に判断していくしかないと思います。
また、特にインフルエンザ対策ということに限っていえば、近年早期診断と
原因治療ができるようになったので、医者の側も患者さんの側もそれに
頼りすぎていたということも反省すべきかも知れません。
またあまり知られていない弊害としては、タミフルやリレンザを使うと、
熱が37℃代にすぐ下がるのをいいことに、職場や学校へのすぐに復帰して
しまうケースが多く、これがインフルエンザの蔓延につながっていないか
心配しております。実は解熱後も数日間は感染力がありますので、患者さんの
同級生や職場の同僚にとっては、以前のように少し長めに休んでもらった
方が良いということになります。
今後は、タミフルの使用は症状が重い場合、合併症が懸念される場合などに
限定されていくことが予想されますから、従来から行われてきた薬以外の対処
法が、また見直されてくることと思います。
すなわち、「ワクチンの接種」、
「流行期には人混みを避けたりマスクを付けたりして予防すること。」
「うがい、手洗いを特に帰宅後などはまめに行うこと。」
「もしかかってしまったら、適度に加湿、保温した部屋でゆっくり休養すること。
水分を十分に摂ること。」
などの基本に立ち返るのも必要かと思います。
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追加ですが、紹介したエキサイトの記事中にある内科医の談話として、「10代でも
女性だったら異常行動は報告されていないので大丈夫」ということが書いてあります。
確かに異常行動を示したのは男性が多いようですが、女性でも報告がないわけでは
ありません。
このエキサイトの記事の元は毎日新聞の記事なんですが、こういった一人の
内科医(しかも専門は人工透析)の言っていることを、あたかも医者の代表意見の
ごとく取り上げるのはいかがなものかと思いました。
せめて呼吸器や感染症を専門に診ている医者に聞けば、もう少しまともな答えが
得られると思うのですが・・・