タミフル問題〜続報〜
2007年 03月 24日
<タミフル>因果関係否定、白紙に…異常行動で厚労相が強調 [ 03月23日 12時33分 ]
今日の記事にはちょっとびっくり。厚労省は『タミフル服用後の異常行動による死亡事例は分析してきたが、死亡事例以外は今月20日まで詳しく検証していなかった。』
とのこと。これは、さすがに非難されても仕方のないことかと思います。
これまで、タミフル内服と異常行動の因果関係は、不明であると言われていました。
「不明」というのは十分に疫学調査をして上で、タミフルを内服した患者さんの群と内服しなかった群との間で、異常行動を示した割合に統計学的な差が認められなかったものと、私は理解しておりました。ところがこの記事を読むと、3月20日までは、死亡例以外は十分な調査がされていなかったということになります。死亡例に限って調査すれば症例数が少ないので、統計学的に有意差がでないのは当たり前です。そこで、普通に考えれば症例数を増やすために、死亡例以外の異常行動例について調査するのは当然のことです。未だ当然行われるべき調査を行っていなかったのは、怠慢といわざる終えません。
ところで、私が薬の副作用情報などを知るためによく利用しているのは、「独立行政法人医薬品医療機器総合機構」というところで運営している、医薬品医療機器情報提供ホームページというサイトなのですが、サイト内の「副作用が疑われる症例情報」というところを見ますとタミフルに関しても2004年分、2005年分の集計結果が出ていました。それによりますと、中枢神経症状、あるいは精神障害と分類される主だったものは
それぞれ2004年、2005年の例数で集計しますと、
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けいれん:7例、6例
意識レベルの低下:6例 、2例
認知症:1例、0例
嗜眠:1例、0例
意識消失:1例、1例
失神:0例、1例
不安:1例、0例
譫妄:4例、8例
激越:0例、1例
鬱病:1例、0例
幻覚:5例、2例
幻聴:1例、0例
幻視:1例、1例
落ち着きのなさ:0例、1例
精神障害:1例、3例
異常行動:2例、2例
精神症状:0例、3例
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このうち、2004年のデータについてはそれぞれの症例の年齢、性別、転帰が書いてある『症例一覧」という資料もあり、そちらも参照しますと、確かに、譫妄、異常行動、幻覚、幻聴、幻視、意識レベルの低下などは、10代、あるいは10歳未満の世代に多く、性別では男に多い傾向はあるようです。
問題はこれらの症状が、インフルエンザそのものによるものなのか、タミフルによる副作用によるものかということになります。現時点では答えが出ないとしても、各ケースについて詳細に検討していけば、いずれ分かってくるものと思います。
今のところ当院では、ほとんどリレンザに切り替えておりましたが、リレンザも今年の分はもうなくなったとのこと。これからは、10代の方には悪いのですが、抗ウイルス薬は原則使えない(A型だけに効くアマンタジンというのはありますが・・・)ようになってしまいましたので、とにかく罹らないように予防と、罹ってしまったら対症療法中心にやっていくしかないですね。
タミフル投与中止で議論 新型インフル対策の専門家会議 [ 03月23日 10時04分 ]
それから上の記事でも触れているように、一番大きな懸念は、やはり新型インフルエンザのパンデミックが起こったらどうするか?ということですが、ワクチンが間に合えばよいのですが、仮に罹ってしまったら、これはもう迷わずタミフルを使うしかないでしょう。現在流行しているインフルエンザとは、桁違いの死亡率になるでしょうから、タミフルで死ぬより新型インフルエンザで死ぬ方がよほど怖いです。まあ、新型インフルエンザにタミフルが有効かどうかも、もちろんまだ分からないわけですが、効果があるようお祈りでもするしかないでしょう。
最後に、日本中で、まだまだA型も、B型も流行中のインフルエンザですが、皆さんくれぐれも罹りませんよう、まずはしっかり予防していきましょう。また、罹ってしまった方は、周囲の人に伝染させないようマスクをつける、外出を避けるなどの思いやりある行動をお願いします。
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家庭の医学
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このタミフルと異常行動に関する報道姿勢に疑問を感じていました。
「この薬を飲んだら、こういう目にあった人がいる!だから、この薬は怖い薬なんだ!」と「ひどい!かわいそう!怖い!」と視聴者の感情をあおるような偏った報道が多く、改めてマスコミの姿勢を疑わざるを得ませんでした。
また、一方で先生がおっしゃられているように厚生労働省の怠慢にも、あきれてしまいます。
さらに、ライブドアの一連の事件も、「時代の寵児」、「私の息子」とまで持ち上げて、捕まれば、手のひら返し。年間に数百万円も水道光熱費に使う大臣や、国の中枢にいる人間にはまともな人がいないんでしょう。そう批判すると、「選んだのは国民。」と・・・いうことになりますが納得がいきません。。。

話は、ライブドアに移りますが、ライブドア事件で損をしたと賠償請求をしている元株主達も、「株にはもうけられる可能性も有るけど、損をするリスクもある」ということを理解した上で、投資をしていたんでしょうか?理解していないで、「損したから賠償請求!」と責任転嫁。ライブドア旧経営陣のやったことは確かに悪いことではありますが、「時価総額経営」を掲げていた企業に、投資した株主にも非があるんじゃないでしょうか?
最近、他人のせいにばかりする人が急激に増えているような感じも否めません。なんだか、おかしいですよね?最近のニュースに腹が立って仕方がありません。
毎度毎度のことなのですが、医療問題についてマスコミは、ヒステリックに騒ぎすぎの傾向はありますね。厚労省の怠慢と、あたかもマスコミの圧力に屈したかの様なタイミングでの、若年者への使用制限の勧告はどうも納得のいかないところです。感情的な意見のみ先走りして、科学的検証が後回しになっている点が、ちょっと心配なところですね。
ライブドア事件も、ホリエモンのようなことをやっている様な人間はもっと大勢いそうですが、マスコミ主導で騒ぎになりあれよあれよと起訴、一審有罪まで行ってしまいましたね。株はやらないのでよく分かりませんが、ライブドア株を買った人の多くは、同社の将来に期待して投資したというよりも、投機というギャンブルを楽しんだだけのように思います。ギャンブルだとしたら損害賠償というものが通るのかどうか、これも司法の判断が見物ですね。

ギャンブル感覚で損して損害賠償。司法がどう判断するか、先生のおっしゃるとおり見物です。