麻疹の抗体検査
2007年 05月 25日
ところが、昨日検査会社の職員がさりげなく、というか こっそりとこのような書類を置いていきました。

要するに、麻疹の抗体を計る血液検査のための試薬が在庫切れのため、当分検査ができず、回復のめども立たないということなのです。大流行だから仕方ないという、文面なのですが、現場の医者の立場からすると、「この肝心なときになんで検査ができなくなるんだ!!試薬なんか、もっと在庫を置いておけよ。」と文句の一つや二つも言いたくなるところです。
タミフル問題後に、もう一つのインフルエンザの特効薬であるリレンザが、あっという間に市場から姿を消したこともありましたし、「まったく検査会社や製薬会社はたるんでるよな。」、と非難するのは簡単です。ただ実際はどうなんでしょう?リレンザの使用期限はたしか2〜3年、試薬などはもっと使用期限が短いと想像されますから、在庫を抱えていざ対象となる病気が流行らなければ、全部廃棄せざる終えないわけですよね。特に、インフルエンザや麻疹などの感染症の場合、流行の予測はある程度するものの、確実ではありませんから、最低限の在庫しか備蓄していないのでしょう。しかも、薬価も検査の診療報酬もここ数年に渡る医療制度改悪によって、これでもかと削られまくっていますので、なかなか余分な備蓄などできないのでしょう。
そう考えますと、我が国は医療先進国のような幻想は見ているものの、実はかなり危うい橋を渡っているように思えます。政府がもう少し医療に金を使ってくれないと、事態はますます悪い方へ向かうでしょうね。医療にはある程度の無駄はつきものです。ぎりぎり最低限を狙っていくと、今回の麻疹の流行のような不測の事態(これだってもともと政策のミスが招いたこと)の時は、結局は国民が十分な医療を受けられないということになってしまいます。
感染症の大流行時に大量に必要になる検査試薬、ワクチン、治療薬などは、保険をかけるつもりで備蓄しておくのが望ましいと思うのです。一企業ではなく、国が何とかしてくれるとありがたいんですが・・・
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