麻疹の抗体検査、その後。
2007年 05月 31日
ところが、先日もお話ししましたとおり、麻疹の抗体検査は試薬の供給が追いつかず、当院で契約している検査会社ではとうとう検査不能の状態にまで陥っています。ということは、麻疹の予防接種が必要かどうかも判断できないということなのです。
結局、残っているワクチンを有効に利用するため、通常予防接種を行う乳幼児に優先的に回して、大人はちょっと我慢しといてね、っていう対策しか立てられないのだそうです。大人でも予防接種を受けておらず、未だかかったことのない人は、免疫がありません。麻疹は一時期非常に減りまして、長年医者をやっておりましてもほとんど診たことが無いほどになっておりました。しかし麻疹は非常に感染力の高いウイルスですので、今回の大学生などを中心とした麻疹の集団発生は、まだまだ拡大傾向にあり、これまで運良く難を逃れてきた抗体の無い人は、これからますます要注意ということになります。
で、一応麻疹の症状について簡単に書いておきます。
まず、9〜11日の潜伏期間を経て、38℃台の発熱と咳、鼻水、結膜充血などの症状が現れますが、この時点では風邪との区別はなかなか難しいです。こういった風邪症状の続く時期をカタル期といい3日間ほど続きます。カタル期の後期には一旦熱が少し下がってきます。麻疹に特徴的なコプリック斑(頬の裏側の粘膜にできる、周りが赤くて、中央が灰白色の直径1ミリ程度の小さい斑点)が数十個出現します。
カタル期の終わりに熱は38℃位まで下がりますが、半日から1日して、今度は40℃前後の高熱が出ます。また、この頃から発疹が耳の後や顔面から出て、次第に下の方へと広がります。発疹は融合傾向といって、互いに斑点同士がくっついていくという特徴があります。
高熱と発疹は3日ほど続いて、皮膚の色素沈着を残して回復していきます。
抗体検査もできない現在、こういった臨床経過とコプリック斑が診断の決め手となろうかと思いますので、自分自身の復習も兼ねて、記事にしてみました。
まあ、自分の周辺ではあまり流行しないで欲しい、というのが本音なんですけどね・・・
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38度台の熱と風邪症状が出たら、私なら「風邪かなぁ。解熱剤でも飲んで寝てようか~病院行くのも辛いし…」と思っちゃいます。でも患者数が確認されているっていう事は、皆さんそんな状態でも受診するんですね(大学生じゃ親がおぶって来るわけもないし)。
大学生ばかりクローズアップされていますが、その年代で働いている人達は外に出ないわけにもいかないし、どうしているんでしょうか。若さゆえ「自分は平気」と思っているかな… では♪