聴力検査〜その2〜
2007年 07月 09日

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今回は聴力検査に話を戻します。
代表的かつ最も基本的な聴力検査である、標準純音聴力検査では、気導と骨導それぞれの閾値を求めます。気導はヘッドフォンで、骨導は振動板という物を耳の後ろにある骨の出っ張り(乳突部)に当てて測ります。

気導では耳介→外耳道と音が導かれ、鼓膜を振動させて、その振動は3つの耳小骨を順々に伝わり、蝸牛(かぎゅう)へと到達します。蝸牛では物理的な振動のエネルギーが、神経の興奮という電気的なエネルギーへと変換されます。この電気的エネルギーあるいは電気的なシグナルは蝸牛神経を通って、脳へと伝わっていきます。
一方、骨導では最初の部分が省かれて、いきなり側頭骨から蝸牛へと音の振動が伝わりますので、外耳や中耳の機能は全く関係なく、音が伝わっていきます。ただし、蝸牛以降の信号の伝わり方は、気導と同じです。
耳は大きくは、耳介や外耳道からなる外耳と、鼓室、耳小骨などからなる中耳と、蝸牛や三半規管からなる内耳の3つに分けますが、聞こえが悪い場合、そのうちのどこにトラブルが起こったのかを知ることは重要なことです。
そのために、標準純音聴力検査では、気導と骨導の両方を調べます。

聴力検査〜その1〜でオージオメータを紹介しましたが、この器械では125~8,000 Hzの周波数でそれぞれ、小さな音から大きな音まで出すことが出来ます。ぎりぎり聞こえる大きさの音を「閾値」といい、それを気導と骨導両方について調べます。(本来は横軸は周波数、縦軸は聴力レベルとして閾値をグラフ化した物をオージオグラムといいますが、今回は周波数は表示していません。)
ある周波数で閾値を求めたとして、右耳を例に取りますと、気導の聴力レベルは○で、骨導はカタカナのコの字を左右逆に書いたような記号で表します。左のように気導の閾値が上昇していても、骨導が正常ならば、外耳から中耳に至るまでの音を伝える機構である、伝音系の異常が考えられますので、伝音性難聴といいます。
気導と骨導が同じ様に閾値上昇していれば、ほとんどが内耳、頻度としては少ないものの、その他には内耳道や脳幹などの異常が想定され、感音性難聴といいます。
ということで、純音聴力検査では単に聴力レベルを知るだけではなく、もし難聴があれば原因となっている部位の想定もある程度出来ることになるのです。
今回は、聴力検査の基本的な事項として、気導と骨導についてお話ししました。
ちょっとわかりにくかったかも知れませんが、
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まず小耳症と出合い、感音と伝音性の違いを知ったことを懐かしく思いました。先日骨伝導のヘッドフォンを子供に体験させましたところ
初めて両耳から聞く音に驚きと感動をあらわにしていました。
私としては頭の中で音がなっているような不思議な体験でした。
丁度、ばななさんのブログでも骨導ヘッドフォンの話をしておられましたよね。私も雑誌か何かで見たことがあり、興味を持っていました。
伝音性難聴の場合は色々役立つ場面がありそうですので、メーカーが製品バリエーションを増やしてくれたり、機能の改善もしてくれるとありがたいですよね。