アレルギー性鼻炎 Q&A
2008年 03月 06日
Q: 原因は何ですか?
A: アレルギーとは過敏症ともいいますが、自分を守ろうとする働き(免疫)が強くなりすぎている状態です。免疫能は身体にとって有害なウイルスや細菌、寄生虫などに対抗するために必須の機能なのですが、アレルギーは人体に無害なものまで徹底的に排除しようとしてる状態です。
人体に無害なものに対してまで反応するようになってしまうのは、遺伝的な要素、環境による影響、食事、心理的な要素などが重なってのことと考えられます。
原因となる抗原は、通年性アレルギーではハウスダストとダニ、季節性アレルギーは、スギなどの樹木花粉、カモガヤ、ホソムギなどのイネ科雑草の花粉、ヨモギやブタクサなどのキク科の雑草花粉などが多いです。
Q: 自然に治ることはありますか?
A:全くあり得ないとはいえませんが、自然に治るのはせいぜい数パーセント程度の割合です。
Q: 風邪との違いは何ですか?
A: アレルギー性鼻炎と風邪による急性鼻炎は似ていますが、症状で見極めるのなら、アレルギー性鼻炎では鼻水がずうっと続くのに対し、風邪では最初は水っぱなですが、徐々に濃く、また黄色い鼻汁になり、そしてまた色が薄くなり、治っていくという違いがあります。
ただし、初期にはどちらも似たような鼻症状を示し、特に、2月から3月上旬にかけての時期は、風邪の流行期とスギ花粉症発症の時期が重なりますから、判断の付きにくいこともあります。その場合は症状の経過と鼻の中の状態、検査の結果などで総合的に判断していく必要があります。
Q: 最近は増えているのでしょうか?
A: アレルギー性鼻炎全体では増加傾向。
ハウスダストとダニによる通年性アレルギーは横ばい状態。
スギ花粉症は増加傾向で、特に、子供の増加が著しいです。
スギ花粉症増加の原因は、かつて一斉に植林されたスギの木がちょうど花粉を多く飛ばす樹齢になってきたことが一番と思われます。その他、地球温暖化や大気汚染なども関連している可能性もあるかも知れませんが、よく分かっていないことの方が多いです。
また住環境が清潔になったために、本来は寄生虫や細菌、ウイルスなどに向かうべき免疫力が発揮されなくなり、そのバランスが崩れてきていることも、アレルギー性鼻炎増加の要因として考えられています。
Q: 遺伝するのでしょうか?
A: 両親のうちのどちらかが、喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎などの場合は約50 %、両親ともアレルギー疾患がある場合は80〜90 %位の割合で、アレルギー性鼻炎になるようです。アレルギー性鼻炎になりやすい体質というのは確かに遺伝しますが、さらに発症までのプロセスには環境などの要因も関係します。
遺伝性はありますが、それが全てではないということになります。
Q: 根性がないから、なるのでしょうか?
A: 年配の方にはそう考えている方がいらっしゃるようですが、それは間違いです。
「昔からあったのに分からなかった。」
「最近増加傾向にはあるが、それは環境などの要因が大きい。」
というのが本当のところであり、根性とは無関係です。
アレルギー性鼻炎は、精神論だけでは解決できない病気です。
Q: 小さい子供でも花粉症になりますか?
A: かつては、乳幼児の花粉症は非常に稀といわれましたが、最近では2歳以上でスギ花粉症になる子供が増えてきています。
もともとアレルギーのない子でも、小学生頃から突然花粉症になることもあります。
Q: 花粉症で咳が続くことはありますか?
A: 花粉症は全身疾患ですから、鼻以外にもいろいろの症状がおこります。
多いのは、咳、喉の違和感、喉の痛み、目の痒み、全身倦怠感などです。微熱がでることもあります。
Q: アレルギー性鼻炎かどうかは、どうすればわかりますか?
A: 耳鼻科では、症状、鼻の粘膜の状態などを診て判断します。さらに検査としては、鼻水の中の細胞成分をみてアレルギーかどうかを調べていきます。
Q: アレルギー性鼻炎かどうかは、どうすればわかりますか?
A: 耳鼻科では、症状、鼻の粘膜の状態などを診て判断します。さらに検査としては、鼻水の中の細胞成分をみてアレルギーかどうかを調べていきます。
Q: 何のアレルギーかを調べるには?
A: 腕の内側にひっかき傷を付けて、アレルゲンを垂らして反応を見る方法(スクラッチテスト)と、採血して特異的IgE抗体を直接測る方法とがあります。
Q: 「花粉症では早めに薬を飲むとよい」と聞きましたが、どうしてですか?
A: スギ花粉は花粉の粒子として観測される以前に、ごく微量の抗原が空気中に漂い出します。
この微量な抗原で自覚症状の出てくる人はごくわずかですが、自覚症状のない人でも、気がつかないうちに鼻の粘膜は徐々に敏感になっていきます。
こういった下地があると、さらに症状を起こすだけの花粉を吸入した場合、アレルギー反応は強く出やすくなります。
そこで自覚症の出る前、2週間ほど遡って前もって抗アレルギー薬を飲んでおくと、重症化を防ぐことができます。
これを、「初期治療」といいます。
Q: 眠くならない薬はありますか?
A: 10年ぐらい前までは、(抗アレルギー薬)=(眠くなる薬)という図式が成り立っていましたが、その後発売になった抗アレルギー剤は、眠くならない薬ばかりです。運転や仕事にも支障を起こさずに治療できるようになったのは、非常に良いことと思います。
Q: 1回注射を打てば花粉症が治るという話を聞いたのですが、やってもらえますか?
A: これは長期間効果が持続するタイプのステロイドの注射のことで、確かに一度注射すればその年は薬を飲まなくとも済むかも知れません。ただし、効果はあくまでも1〜2ヶ月程度なので、決して「治る」わけではないのです。
また、一番の問題点は副作用として生理不順になったり、注射部位の筋肉が萎縮して陥凹したりすることです。短期間で効き目の取れるステロイドであれば、副作用が出たら止めればひどくならないわけですが、この長期間効くステロイドではそういうわけにはいきません。
確かに1シーズンに一度だけ注射さえすれば済むというのは、忙しい現代人にとっては魅力的な治療法なのでしょうが、副作用を考えるとお勧めできるものではなく、当院では行っておりません。
Q: スギ花粉症ではいつ頃まで薬を飲まなければいけませんか?
A: スギ花粉の飛散が終息するのは、地域によって異なりますが、関東地方では4月中旬、東北ですと4月末か5月初め頃です。
ただし、飛散終了後も家屋の床やカーテンなどに残った花粉が舞い上がることにより、症状がでますから、飛散終了後も1週間程度は薬を続けた方が良いです。また、スギ花粉症の方はヒノキ花粉症も合併していることが多いのですが、その場合はもう少し長く抗アレルギー薬を飲む必要があります。
Q: 抗アレルギー薬を長く飲むと副作用が心配なのですが?
A: もともと、抗アレルギー薬は長く飲む必要があるケースが多いので、危険な副作用を持つものはないですし、長期間内服しても大丈夫なものがほとんどです。
古いタイプの抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬には、眠気や口の渇きなどを起こすものがあります。
また、重症の場合はステロイドを含むお薬を処方することもありますが、この場合は長期間内服すると、血糖値の上昇や胃潰瘍、骨粗鬆症などの副作用の現れることがありますので、短期間の使用に止めておくべきです。
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以上、サイトに掲載しました、アレルギー性鼻炎 Q&Aを、ブログにも転載いたしました。
あとで、もう少し項目を増やすかも知れません。
是非、サイトの方ものぞいてみて下さい。