耳鳴について考える 〜耳鳴のいろいろ〜
2008年 06月 10日
【自覚的耳鳴と他覚的耳鳴】
自分にしか聞こえない耳鳴が自覚的耳鳴で、他人にも聞くことの出来る耳鳴が他覚的耳鳴です。他人にも聞こえるといっても、ごく小さい音が出るだけですので、オトスコープというゴム管を、医者と患者が片側ずつお互いの耳に入れることにより、何とか聞こえるレベルです。原因は耳の周りの、筋肉の痙攣や血管の雑音など、聴覚に直接関係ない部位の異常なので、通常 難聴は伴いません。
それに対して、自分にしか聞こえない耳鳴は自覚的耳鳴といい、耳鳴のほとんどを占めます。難聴を伴うもの、伴わないもの(無難聴性耳鳴といいます)、いずれもあります。
【発生部位による分類】
中耳性、内耳性(もしくは蝸牛性)、中枢性等に分けられます。
内耳性が最も多いのですが、耳鳴の発生するメカニズムは複雑で、未だに解明されていない事も多々あります。また、中耳炎などの伝音難聴は、難聴は鼓膜の響き方が悪くなったり、耳小骨をうまく音の振動が伝わらなったりして起こるのですが、それに伴う耳鳴は内耳で発生していることもあり、なかなか事情は複雑です。
また、最初は内耳の障害で発生した耳鳴が、内耳自体の病態は安定しているにもかかわらず、増強したり持続したりすることもあります。それには音を不快なものかそうでないものかを認識している、大脳の働きも関係していることがわかってきました。
【原因となる疾患】
中耳疾患
急性・滲出性・慢性などの各種中耳炎、耳硬化症、耳小骨離断、耳管機能不全など。
内耳(蝸牛)疾患
突発性難聴、メニエール病、低音障害型感音難聴、老人性難聴、急性音響外傷、騒音性難聴など。
脳(中枢神経)の疾患
聴神経腫瘍、神経の変性疾患や血管疾患、心因性難聴、鬱病などの精神病など。
聴器以外の疾患
高血圧、動脈硬化、頭蓋内や頸部の血管の走行異常、耳の周囲の筋肉の痙攣など。
以上、耳鳴の原因となる疾患を挙げてみました。みなさんには、聞き慣れない病気も含まれていたかと思います。とりあえずここでは個々の疾患について解説することはしませんが、まあ要するに結構いろんな病気で耳鳴の症状が生じ得るわけです。
【今回のまとめ】
耳鳴の原因疾患や発生部位は今回紹介しましたように様々なものがありますし、発生のメカニズムもまだ詳細不明の点もあります。
耳鳴の治療については、また別のエントリーで触れたいと思いますが、どんな耳鳴に対しても、まずは原因疾患の治療が重要です。従って、できる限り耳鳴の原因となっている背景を調べていくことが大切と思います。
耳鼻科は受診したのでしょうか?
もし受診しているとすれば、聴力は異常なかったのでしょうか?
耳鳴の治療は、急性期には原疾患の治療が重要ですし、慢性化した
ものや、何かしらの耳疾患の後遺症としての耳鳴であれば、
カウンセリングなどが必要なこともあります。
治るか治らないかということは、原因によっても異なりますし、
どこを治療のゴールに定めるかによっても違いますので、なんとも
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ただ、一般的な観点から言えば低音障害型感音難聴でも、高音性のキーンという耳鳴りがすることはあります。