9月9日は、 救急の日です。
2008年 09月 09日
最近、救急医療に関する問題がいろいろと表面化していますが、今に始まったことではありません。現場の人手不足や、訴訟リスクの高さ、軽症でも深夜でも平気でコンビニ感覚で受診する患者などなど、問題が山積みなのは、私が勤務医をしていた10数年前も同じでしたが、いつまで経っても状況は良くならないどころか、さらに悪くなっているのは何故だろうと思います。
病院にとっても救急はやればやるほど赤字になるし、医者個人としては専門以外の患者を診なくちゃいけないし、睡眠時間は削られるしで、医療者側からすると、あまりにも報われないのが救急医療です。
大抵の病院では当直医を1人ないし2人当番でおきます。医者1人に当直の回ってくる頻度は、中規模の病院ですと月に1,2度くらいですが、年齢制限を設けているところもあるし、率先して(ある時には強制されて)先輩の当直を肩代わりしたりすることも多いですから、若い医者はもう少し多くなることもあるでしょう。夜眠れるかどうかは、ある意味運次第で、運が悪いとほとんど眠れず、夜通し働いて、またすぐに日常の診療に向かわなくてはいけません。それでも、やりがいのある仕事なら良いんでしょうが、患者の何割かは日中受診してもいい患者だったり、不注意による怪我だったり、やたらと悪態をつく患者だったりと、なかなか心情的には親身になりにくいことが多いというのが、TVドラマとは違うところです。
そんなわけで、自分の科の仕事は好きだけど、当直が嫌で辞める勤務医はかなり多く、一人辞めれば残された者への負担がさらに増えるという悪循環まで生み出しています。救急医療に「きゅうきゅう」としているのは、まさに医者の方で、何とか早急に報われるシステムに変えていって欲しいところです。
最近、あちこちの病院で、時間外診療に対して独自に割増料金を設定しているところがあり、賛否両論あるようですが、コンビニ受診を排除することと、自分の身をすり減らしながら働く勤務医の、時間外報酬を増やす意味でも、私は良いことと思っています。