耳鼻科医のお絵かき〜内リンパ水腫〜
2009年 01月 29日
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さて、前回までは耳小骨を伝わってきた音の振動が、いかにして
神経の興奮という電気的な信号に変換されるかということについて
説明してきました。最も重要な役割を担うのは、コルチ器という
システムです。コルチ器は内、外の有毛細胞、基底膜、神経などから
成ります。
基底膜はリンパ液を伝わってきた振動に呼応して振動する働き、
外有毛細胞は振動のエネルギーを増幅する働き、
内有毛細胞は基底板の振動によって活動電位を作り、接続している
沢山の求心性神経を興奮させる働きをそれぞれ担っています。
(下図参照)

さて、ここからは病態についてのお話です。
難聴は伝音性難聴(伝音難聴)と感音性難聴(感音難聴)と、伝音性の
成分と感音性の成分が両方障害された混合性難聴(混合難聴)に
分類できます。そのうち、感音性難聴の多くは内耳性、すなわち内耳が
トラブルを起こして起こります。内耳に起こるトラブルにも色々あるの
ですが、「内リンパ水腫」という病態が難聴の直接的な原因となっている疾患は
多いものと思われます。代表的なものを挙げると、メニエール病、
低音障害型感音難聴、遅発性内リンパ水腫などなどです。
内リンパ水腫でなぜ難聴が起こるかということについては、実はまだ
はっきりとは分かっておらず、候補としては二つの説があります。
一つが「圧説」というもので、もう一つが「化学説」というもの。

まず圧説ですが、内リンパの液量が増えますと、ライスネル膜や
基底膜に圧力がかかり、それにより有毛細胞での活動電位の発生が
減少するとするものです。(下図参照)
内リンパ水腫では最初に低音部の難聴が起こりますが、それは蝸牛のうちで
低音部を担当しているのは頂回転(蝸牛の先端の部分)なのですが、ここの
部分でライスネル膜の幅が最も広いので、内リンパ圧の影響を受けやすいと
いうことで説明されています。

一方、化学説ではある程度内リンパ圧が高まると、ライスネル膜の一部が
破綻して難聴が起こると考えられています。カリウムイオンの濃度が高い、
内リンパ液がまずは前庭階の外リンパに漏れ出し、それが鼓室階に拡散。
本来ナトリウムイオンを多く含む細胞外液に変わって、カリウムイオンの
濃い液体が有毛細胞や、神経を包むことによって、細胞障害を起こすという
ものです。化学説では内リンパ水腫で低音障害型の感音難聴が起こる理由
として、頂回転において前庭階と、鼓室階の外リンパの連絡があるからと
説明されております。
さらには、内リンパ水腫が出来る原因というのも、まだ分かっていない
ことがあって、この辺の話題は興味深いことがたくさんあるのです。

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先日はライスネル膜の破綻という事でコメントをいれましたが、それまでも聞いた事はあったのですが、破綻というのではなくてもイオンの急激な変化でも起こるのではないか?とも言われているそうです。
私の体感としては、頭の中でスイッチをおされたように急に始まるので、「破れる」は、体感としては納得でしたが、破れなくても同じぐらい急なのであれば、そうかもしれない・・・ですね。
ライスネル膜が破れるまでいかなくても、
内リンパ水腫の機械的刺激で
膜迷路の透過性が亢進してカリウムイオンが
漏れ出すといわれているようですね。
体感的にも、「スイッチをおされたように急に始まる」と
いうお話し、なかなか興味深いです。

耳の構造って複雑ですね…何回も読んでみたけど、やっぱりよくわからないや
(-.-;)
アタシも治療前は中等度の難聴って言われてたんです。聞こえにくいのは不快感があったけど特に生活に支障はなかったから病院には行かなかったんですけど、2年前に浜崎あゆみが突発性難聴で片方の耳聞こえなくなったって知って……本当に聞こえなくなったら不安だったんで病院に行くようになったんです。
耳は大切にしないとアカンなぁと思います。
難解です。いわばD難度。
浜崎あゆみが難聴になったことを告白したことは、人々の関心を
耳やきこえに向けてくれたと思っています。なんだかんだいって
影響力大きいですね。

4日前、耳が塞がった感じで音がする度ゴ~と頭の中で響きます。
耳鼻科で受診して薬を処方してもらい3日経過ですが効きません。
かつて3回メニエルの発作で苦しみましたが、今回眩暈は無し。
左耳にのみ発症しています。
左右で音を聞き比べると左はくぐもった音で、
半音近く音程が低く聴こえます。
車が通ったり、テレビの音がする度ゴ~、もう限界です。
内耳のリンパ圧を下げる薬は処方されていません。
放置しておいていいですか?
メニエール病の治療は急激に聴力が変動する発作期と、症状が
安定している時期では使う薬が違います。ただ、一概に言えるのは
どんな薬でも3日飲んで効かないから、無効と判断するのは
早計かと思います。まずは、主治医にご相談を。